どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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懲りずに続編

ここ大事だぞー……

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 バケツを洗い終えた俺は、チェックインの時間に合わせて誠と一緒にホテルのフロントに集合していた。毎度の事ながら部屋割は奈良橋さんが仕切る。
 「嵯峨家、望月家、小田原家と隼人君はファミリールームね、統括部長は遵斗君とツインで宜しいですか?」
 「えぇ、構わないわ」
 「はい、問題無いです」
 二人は奈良橋さんに頷いてみせてる。
 「今年はダブルが二部屋あるから小泉バカップルと三條、牟礼をぶち込みゃいいわね?」
 「うん、それでいいですよ」
 と波那ちゃん。
 「何なんだよ『バカップル』ってよぉ……」
 と不服そうに言う兄さん、何だ今更ツンデレかよ。
 「折角のダブルなんですから初々しい高校生カップルにお譲りしたいと思いまーす」
 と牟礼さんは俺たちを見てニタニタしてる。えぇっ!いきなりそれハードル高くねぇか!?
 「じゃあ三條、牟礼はツイン……っと。高校生組はそれでいい?」
 俺たちは思わず顔を見合わせてしまう。もちろん嫌じゃないどころか棚ボタだけど、何と言うか変な緊張する……。
 「誠、問題無いか?」
 「伽月はどう?大丈夫?」
 「俺は勿論……」
 嬉しいに決まってんじゃねぇか。
 「はいはい見つめ合ってんじゃないわよ、君たち二人はダブルに入りなさい!」
 奈良橋さんに押し切られる形で俺たちのダブルルーム行きが決定した。すると隼人が俺の所につつつとやって来る、言いたい事は大体分かるがな。
 「まこちゃんを襲うなよ伽月ぃ」
 「襲うかバカタレ」
 とは表向きだけ、襲うに決まってんだろ。
 「諦めろ隼人君、今日で誠の純潔は失われるんだ」
 おい遵斗、小学生相手に表現が生々しいわ。横でお母さん思いっきり睨んでるぞ。
 「遵斗君、諦めちゃダメだよ!断固阻止しようよ!」
 煩いわ悪ガキ、くどい様だが誠は俺の恋人だ。
 「よしっ!この二人の部屋で座り込みだっ!!!」
 「いよいよ鬱陶しいわ!部屋ん中でくらい平和に過ごさせろ!」
 「はぁいそこまでっ!!!部屋割終わったから荷物持って」
 奈良橋さんは手をパン!と叩いて俺たちの低レベルな言い争いを仲裁する。残る奈良橋さん、大澄さん、須藤さんはツインルームにエキストラベッドを入れた三人部屋に決まり、毎年恒例の大移動で決められた部屋に入っていった。

 ……で、今俺たちは部屋でまったり、と言いたいところだが隼人悪ガキはベッドの上で本当に座り込みを敢行しやがる。そういう有言実行は要らねぇわマジで。
 「……どけ悪ガキ」
 俺と隼人は現在睨み合い状態、誠は呑気そうにお茶の準備、そして晋と遵斗も何故かこの部屋にいる。まぁ二人は巻き込まれただけだろうが。
 「ヤダッ!まこちゃんの純潔は渡さないぞ伽月ぃ」
 「うっさいわ!部屋に戻れバカタレが」
 「バカタレ言う奴がバカタレなんだぞ伽月ぃ」
 あーもう!こんの悪ガキ面倒臭ぇなぁまったく!
 「そんなに怒らなくてもいいじゃない、大勢の方が楽しいでしょ?」
 誠は五人分の日本茶をトレーに乗せてこっちに来る。
 「だからってずっとこうされるんは鬱陶しいわ」
 「そんな事しないよね隼人君?」
 誠は可愛い笑顔を悪ガキに向けて隣に座る。その笑顔俺に向けてはくれまいか……。
 「……まこちゃんアイツはオオカミなんだよ、二人にしてたら襲われちゃうよ」
 「大丈夫、そんな事にはならないから」
 ころ~っと口の聞き方を変えてきやがる悪ガキ相手に誠は真面目に諭してる。まぁ夜になれば狼さんに変貌を遂げる気満々ではありますが、本気でそう思ってそうだからそれはそれでやりづれぇわ。
 「ホント?何かあったら呼んでね、すぐ助けに行くから」
 「うん、ありがとう隼人君」
 おいそこは『ありがとう』じゃねぇだろ誠……。
 「隼人ぉ、あんまり人の恋路邪魔するもんじゃないよ」
 晋は駄々っ子みたいな行動をする幼馴染に呆れてる。取り敢えず晋は俺の味方をしてくれてるらしい。
 「晋ぅ、男心を察してくれ」
 「何ビミョーに大人ぶった事言ってんの?さむ兄ちゃんに何て言われてここに参加してるか分かってる?」
 うぅっ……隼人は珍しく言葉を詰まらせてる。理由は分からんが勇には逆らえないんだ小さい頃から。
 「あんまり度が過ぎるとさむ兄ちゃんに言いつけるよ」
 「ダメっ!それはダメッ!」
 どうやら効果てきめんだったようで隼人はササッとベッドから降りる。おい、勇の奴どんだけ暗躍してんだよ……?
 「勇に何言われてんだ?」
 遵斗だってそう思うよな。
 「遵斗君には後で教えてあげる、伽月君とまこ兄ちゃんには関係無い話だから忘れて」
 「そうだぞ、知らぬが華って事もあるんだぞ伽月ぃ」
 何かモヤモヤするんだが……まぁ邪魔立てしないんならそれでいいや。俺たちは遵斗が持ってきてくれたスナック菓子をつまみ、何とか悪ガキの牽制をして夕飯まで五人で過ごしていた。
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