【完結】昔セフレ扱いして捨てた元恋人がドン底だったから拾ってやりました、けど……??

バナナ男さん

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12 トンチンカンな答えばかり

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( 冬司 )

◇◇◇◇

「 ふわぁぁ~……!しゅ、しゅごいねぇ~! 」

目の前にはキラキラした目でお肉料理を見つめる晴矢の子供< 秋人 >がいる。

まだ三歳になったばかりの秋人はとても晴矢に似ていて、なんだか本当にどこにでもいそうな普通の子供といった感じの外見をしていた。

そして、ひたすら夕食として並べられた料理を眺めて全てに感激している。


「 あ、秋人……あ、あんまりジロジロ見ないでくれ……。 」

「 今日はご馳走だね!しゅごいしゅごい!

でもおとうしゃん……今日は食べれる?

ポンポ……痛くない? 」


真っ赤な顔で恥ずかしそうにしている晴矢だったが……子供が心配そうに自分のお腹を叩いてきたので、困った様に笑っていた。


お金がなくて、ご飯もまともに食べれなかったんだもんね~。

か~わいそっ。


恐らく子供に罪悪感なく食べさせるため、お腹が痛いとでも言って自分は食べなかったに違いない。

昔から偽善者というか……そういう所があった事を思い出し、心底軽蔑して心の中で笑ってしまう。

付き合っていた時も、晴矢はこうして俺にバレない様なさり気ない気遣いをしていた様で、別れてから気づく事が多々あった。

別れた後、たまに晴矢の事を思い出してイライラするのは……多分そのせいだ。


ばっかみたいだよね~。

そんな誰にも気づいてもらえない気遣いなんて、感謝されないじゃ~ん。

現に俺は当時全然気づいてなかったんだし~どうせやるなら分かりやすく親切にして、何かの時に断れない状況にしないとさ。

損しかしないクソ人生!

おっつかれさまで~す。


心の中で大笑いしながら、俺は最上級の笑顔を秋人に向けたやった。


「 うん、いいよ~。

何でも好きなモノを好きなだけ食べていいよ。 」


「 ~……きゃ~っ! 」


秋人は喜びの声をあげそのままテーブルの席につくと、すかさず側にいたシッターが首元にナフキンを掛け、そのまま食べ方を教えながらご飯を食べさせていく。

その完璧な指導に晴矢はポカンとしていたが、秋人本人は今日一日でそれに慣れたのか、ニコニコ嬉しそうにしながらご飯を食べていた。


「 晴矢もご飯にしようよ。さぁ、座って。 」

「 あ。うん……。 」


素直に座る晴矢は可愛い。

だから俺は自分のお皿の上の料理を切り分け、それをフォークで刺して差し出してやる。


「 ほら、あ~ん♡ 」

「 ……いや、自分で……。 」


戸惑う晴矢に、笑顔で圧力を掛けてやると、ビクッ!と体を揺らした晴矢は俺の差し出したフォークを咥えた。

それが可愛くて、でもいやらしいモノにも感じて、そのままひたすら食べさせていると……秋人が不思議そうに首を傾げる。


「 ??おとうしゃんとお兄しゃん、仲良し? 」

「 ────それは……。 」

「 そうだよ~。俺達めちゃくちゃ仲良し!

これからよろしくね。 」


晴矢の答えを遮って答えた俺を見て、秋人はパァ~!と嬉しそうに晴矢に話しかけた。


「 おとうしゃん、良かったね~。

おとうしゃん、最近元気なかったから、お友達と沢山遊んでいいよ! 」

「 秋人……。 」


晴矢はグッ……と喉を詰まらせ、何も言えない様子だった。

莫大な借金に妻の病気……それに仕事に家事に子供の世話、それを一人でやって、更にご飯すらまともに食べてないのだ。


そりゃ~元気もないだろうね。


泣きそうになりながら下を向く晴矢に呆れて、ハァ~とため息をついた。


貧乏ってこういう事。

結局、金がないとだ~れも幸せにできないの。


最後は、こうやって母親がいなくて不安なはずの子供に気遣われる始末。

きっと晴矢は悔しくて、情けなさで一杯になっているだろう。


傷つき項垂れる晴矢を見ると…………凄く興奮した。

しかし────同時にイライラする気持ちも湧いてきて、首を傾げてしまう。


なんでイライラしてるんだろう???


その理由が分からず、不思議に思ったが……まぁ、いいかと気持ちを切り替え、食事を再開した。

そして、そのまま晴矢も秋人もお腹一杯になった頃には、秋人の方がウトウトし始めたので、晴矢がその体を抱きかかえる。


「 寝かしつけだけしてもいいか? 」

「 ん~……その後は直ぐに戻って来るならいいよ。 」


なんだかしょげてたし、今日は凄く気持ちよくしてくれたからご褒美をあげるか。

そんな気持ちで許可してやると、晴矢は悲しそうな顔で俺を見つめ────「 ありがとう。 」とだけ言って晴矢は子供を連れて出ていった。


「 あ~らら。あんなに凹んで可哀想。

そういえば、あんなに元気がない晴矢を見たのは初めてかも~。 」


その場に頬杖をついて、また一つ昔の晴矢の事を気まぐれに思い出す。



「 貧乏って可哀想だね。

お金がないと皆が普通に受け取れる幸せはなんにも手に入らない。

晴矢もさ、本当は今の自分が嫌でしょ? 」


散々セックスして満たされた気持ちの中で、ちょっとしたいたずら心が芽生えた。

いつも嫌な顔一つ見せずに淡々と努力し続ける晴矢だが、本心は違うに決まっている。


だって人間ってぇ~そういうもんでしょ?

羨ましいよねぇ~?恵まれている人間が。

自分の望む願望をあっさり叶えちゃう他人が羨ましくて、憎くて仕方ないんじゃない?


意地悪く笑いながら、キョトンとした顔で俺を見る晴矢を見つめ返した。


「 お金って凄いモノだよね~。

だって自分の望みが何でも叶う魔法のチケットみたいなモノじゃん?

ねぇねぇ、晴矢も欲しいでしょ?

そのチケットをさ。沢山沢山────。 」


「 …………。 」


さぁさぁ、偽善者の晴矢君はなんて答える?


ちなみに歴代の彼女たちの答えは凄く単純に二パターン。


” お金なんて全然大事じゃないよ!愛はお金じゃ買えないとっても大切なもの!

そんなモノがなくても、私は変わらず冬司の事が好き。 ” 


” そりゃ~お金は大事よ。だって生活できないし。

でも愛とは別物でしょ?

私は自分で稼げるから二人で働いてお金を貯めましょうよ。 ” 


要約するとこんな感じで、前者が最多。


でもさ~……?

こういう人たちって、目の奥に欲が丸見えなんだよね~。


愉快な気持ちになるのと同時に────どんどん気持ちは冷めていく。


大事じゃないって否定すればするほど、本当はそれが好き。

逆にお金は愛じゃ買えない大切なモノなんだもんね?

逆にお金は大事だって正直に言う奴は、自分の力で願いを叶えられるのに何で俺みたいなヤツを選ぶかって言うと────……ズバリ!お金も恋人も自分が身につけるアクセサリーだから!

分かりやすい欲望を持って近づいてくる奴らの事を思い浮かべ、口元は大きく歪む。


自分が大好き!かっこいい自分が好き~。

だから、自分の側に置くのは周りが羨むステータスの男じゃなきゃいや!

最高な自分を創るためには、お金を沢山持ってて自慢できるモノを置きたいの。

ねぇ、見て!私を見て!

こ~んなハイスペックな男の隣を歩いている私は凄い!だから羨ましいでしょ?


そういう欲望に塗れて、愛してるとか好きだとか────。



気っ持ち悪ぅ~♬



クスクスと笑う俺を見て、晴矢は少し考える素振りを見せて、納得する様に頷いた。


「 確かにお金って凄いモノだよな。人の努力の結晶だ。 」

「 ……はぁ? 」


初めて聞いた答えに目を丸くしてしまったが、晴矢は気にせずペラペラと話し続ける。


「 俺はそのチケットを持っている状況より、それを手にするまでの努力が好きだな。

それって頑張れた自分の何よりの証だろ? 」


「 …………へぇ~。

俺みたいに最初からたくさん持ってるスーパーイケメンには、その考えが分からないかな~。

じゃあ、晴矢はお金持ちの人の方が好きって事か~。だから俺の事好きって感じ?

それって金目当てってやつ?

ちょっとどうなのかな~、それ。 」


何となく気まずくて、わざと嫌な言い方をしてやったが……晴矢は気を悪くした様子もなく、それに答えた。


「 そうだな。俺は沢山持って生まれて、今も増やし続けている冬司が好きだよ。 」




「 ……やっぱり晴矢って変なヤツだったな。 」


俺はハァ……とため息をついて頭の後ろで手を組むと、そのまま椅子の背もたれに行儀悪く体重をかける。

俺が今でも晴矢の事を度々思い出すのは、こんなふうにトンチンカンな答えが多かったのもあるかもしれない。


「 ……なんで放流しちゃったんだっけ?

あ~……そうそう、ちょっと目をつけた女が他所に現れたからか。

────まぁ、3日で飽きたけど。

そもそも晴矢なら、俺にベタ惚れだったし、追いすがってくると思ったのにさ~。

……全然来ないんだもん。 」


不愉快な気持ちが湧いて、思わず舌打ちをしてしまった。


あんなに俺の事が好きだった晴矢。

だったら普通、別れたくない!って縋ってくるモンじゃないの~?

そしたら、端っこの方にならまた置いといてあげたのに……!


イライラ……。

イライライライラ~!


嫌な気持ちになったまま乱暴に立ち上がり、自室へ戻る。

そして少ししてやってきた晴矢に────イライラの全てをぶつけて解消してやった。

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