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【一〇六前編最終話】女神降臨 女子高生になった神使セリエ‼️

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 西和、南和の両大陸から消え、並行世界で保護されていた人々の大陸は、海底に沈み海の藻屑もくずとなった。
 北和、中和、東和の三大陸は、巨大津波に剥ぎ取られ荒廃していた。
並行世界の神隠しから、たとえ戻っても衣食住は難しい。

 並行世界の女神パラリアは、東和の土地に彼らを戻すことを決断した。
言語は皇国語に変わり、肌は黄色人種に変わった。
 神は言語と民族の統一を実行したに過ぎない。

 彼ら彼女らは、海水の引いた東和大陸に戻された。
変わり果て不毛の大地になった所に居場所は無かった。

 皇国から消えた学者は皇国に戻されたが記憶の一部が消されている。



 地球の守護神女神アセリアは、地上を楽園に変える決意をし実行した。

 執務室のマジックミラーには、北和、中和、東和の茶色になった大地が確認できた。
 神使セリエが地球の守護神と共に徳田康代大統領の前に現れた。

「康代よ、地球の守護神アセリアじゃ」

「・・・・・・」

 徳田康代は、言葉を失う。

 神使セリエが、康代にアドバイスをした。

「女神のアセリアさまです」

『康代でございます』

「その前に・・・・・・不毛化した大地を回復させよう」

 康代たち大統領キャビネットと仲間は、奇跡を見せつけられることになる。

「地球は、地球の創造神の結果じゃ」

「神は破壊と創造ができることを知ることじゃ」

 女神アセリアは、大陸に息吹いぶきをかけた。
すると大地は元の自然を取り戻し、花々が咲き乱れ、田畑までが復活している。

 次に、女神はマジックミラーに見える東和大陸を指でなぞる。
巨大津波で消えた建物だけが、元の状態で現れた。
女神は最低限の慈悲を人間に与えた。

 並行世界から東和大陸に戻された人々は、目の前で展開した奇跡の連続に祈りを捧げた。

 世界は未曾有みぞうの天変地異から復活しようとしていた。

 康代たちも女神アセリアがした奇跡を目撃し、祈りを捧げずにはいられなかった。

花咲爺はなさきじいさんの御伽噺おとぎばなしでござる」

「天女よ、不敬じゃ」
 
「アセリアさま、静女に他意はございません」
神使セリエが静女をかばう。

「まあ、いい」

「ところで康代よ、地球は第三の時代を始めた。
ーー 言語も民族も統一された。
ーー 康代が、第三の時代を牽引けんいんするのじゃ。
ーー 無人化した大地に戻された者達を束ねて、皇国が人々を導いてくれるか」

『わたしがですか』

「そうじゃ、神に選ばれた聖女、徳田康代しか出来ない」

 神使セリエが康代にテレパシーを送っていた。

[康代、引き受けて]

『アセリアさま、わたしでよろしければお願いします
ーー ですが、その人達が従うでしょうか』

「彼ら彼女らの意識は書き換えられている。
ーー 康代よ、杞憂きゆうじゃ。
ーー 康代に全世界を任せる。
ーー 困ったことあれば、セリエか神使のセリウスに相談されよ」

「セリエよ、今からセリエはを名乗ることを許可しよう」

 セリエと徳田康代は女神アセリアに感謝していた。

 地球の守護神女神アセリアはセリエと康代に命令を残して、その場から消え金色の光になった。

「静女は、女神アセリアさまを初めて見たでござるよー」

 静女が嬉し泣きしている。

『静女も泣くのね』

「康代殿・・・・・・」



 神使セリエは、黒猫の姿から神聖女学園の女子高生に変身した。
静女の紫色の髪と違い、セリエの髪は水色に輝き瞳は水色をしている。
背丈は康代よりもやや高く、水色のロングヘアが神々しく輝いていた。

『セリエさま、素敵ですよ』

「康代よ、この方が都合がいいにゃあ」

『セリエさまも静女みたいになれるのですね』

「肉体は魂の容れ物に過ぎにゃあい。
ーー 大きな意味はにゃあいなぁ」

『セリエさま、これからどうされますか』

「天女の天宮静女と一緒で構わにゃあいが、
ーー 大仕事があるにゃあ」

『大仕事ですか?』

「不毛の大地に残された人々の救済にゃあ」

『世界はどうなるのかしら』

「悪党も悪魔もちりとなり消滅したからにゃあ。
ーー 康代たちは善人を導き、新しい世の中を作るだけにゃあ」

『新しい世の中ですか?』

「そうなるにゃあ」

『アトランティス時代から西暦時代のあとの新しい時代ですか』

「今がその時にゃあ」

『東亜元年で如何でしょうか』

「いいにゃあ。
ーー 次は人々の幸せにゃあ。
ーー 康代たち女子高生の仕事にゃあ」



 セリエは、静女と共に康代の側近になり、康代をサポートすることになった。
 徳田康代大統領は神の命を受け鎖国を解除した。
 徳田幕府は、セリエの転移魔法で幕府軍を東和大陸に派遣して救済に乗り出す。

 神聖学園都市は、神聖女学園文化祭で盛り上がっている。
徳田康代大統領の箝口令かんこうれいを受けて第二のアトランティス大陸の悲劇は一切報道されていない。
康代の幸せ政策は、まだまだ始まったばかりだった。

 神聖女学園は、東亜元年を記念して女学園の制服をリニューアルすることにした。

 セリエは神見習いに昇格して、神使セリウスを従えることになる。
徳田康代、織畑信美おりはたのぶみ姫乃水景ひめのみかげ和泉姫呼いずみひめこの四人は宝田劇団の秋のオーディションの準備をしていた。

 陰陽師おんみょうじ安甲晴美あきのはるみは、かるた部統一に尽力している。

 田沼光たぬまひかる博士、若宮咲苗わかみやさなえ助手は、小説マグニチュードテン~アトランティスの再来を執筆。
徳田康代大統領キャビネットは、生徒会と一緒にを執筆することになった。



「これから文化祭が始まるでござるよー」
 天女天宮静女あまみやしずめが笑い、隣には女子高生姿のセリエがいた。

 静女の紫色の瞳の隣で輝くセリエの水色の瞳。

「セリエさま、使でございます」

「セリウスよ、康代をサポートしてくれるにゃあ」

「セリエさまは、どうなされますか」

「わしか、わしは女子高生ライフを楽しみながら
ーー 御伽噺おとぎばなしを執筆してみるにゃあ」



【前編完結】
 お読みいただきありがとうございました。
このあと一〇七話エピローグに続き、一〇八話より後編に入ります。
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