【完結】美醜逆転!? ぽっちゃり令嬢のビボー録

酒本 アズサ

文字の大きさ
40 / 59

39.訪問の目的

しおりを挟む
「ふふっ、クスクス」


「いつまで笑ってるんだ、エドモン」


 今まで見た事が無い兄の大爆笑っぷりに、リオンヌ伯爵家の三男であるエドモンはフレデリクを視界に入れる度に笑いが込み上げてしまう。
 そんな2人を微笑みを浮かべたまま見ているアレクシアは、どうやってフレデリクかエドモンだけ連れて離席するか考えていた。


(とにかくこの子ら連れ出してマックスの好みを聞き出さん事には、今日来た目的が達成されへん。エドモンはお兄さんの好みとか興味無さそうやで、やっぱりここはフレデリクかな)


「ねぇ、フレデリク? 良かったらお庭を案内してもらえないかしら?」


「「「えっ!?」」」


 マクシミリアン、エミール、フレデリクの三者が同時に声を上げた。


「ダメかしら?」


 アレクシアはフレデリクの顔を覗き込む様にコテリと首を傾げると、免疫の無い美少女の可愛い仕草にフレデリクは顔を赤くしながらそっぽ向いた。


「べっ、べつにかまわない……けど……」


「わぁ、良かった! じゃあ一緒に行きましょう」


 嬉しそうな笑顔を見せるアレクシアに他の者は何も言えなくなってしまい、一緒に行く事も止める事も出来なかった。
 アレクシアは立ち上がると、ニコニコしたままスッと右手を差し出した。


「……?」


 意図が分からずフレデリクが首を傾げると、アレクシアは少し手をヒラヒラと動かしながら口を開いた。


「うふふ、小さな紳士は淑女をエスコートしてくださらないのかしら?」


「えっ、あ……っ!」


 お茶会でも男女共に殆ど相手にされないフレデリクは、エスコートするという概念自体養われておらず、慌ててアレクシアの手を取り庭へと向かった。
 扉の向こうに消えたアレクシアとフレデリクを呆然と見送ったマクシミリアンが、絶望を滲ませた声でオーギュストに話しかける。


「オーギュ……、アレクは年下の男が好みなんだろうか……」


「な……っ、違いますよ! アレク姉様は子供好きなだけです、ぼくもお仕置きされた後は必ずあんな風に一緒に過ごして仲直りしてましたから」


 マクシミリアンの言葉にエミールが慌てて否定した、その声は置いていかれたせいで明らかに拗ねているのが周りの者にもわかった。


「ボクはエミール様がうらやましいです、あんなにキレイでやさしくてたのしいお姉様がいるなんて……」


 同じく置いていかれたエドモンがポツリと零した。
 兄達とは剣の訓練を一緒にする事はあっても、暇な時に構って貰える事は殆ど無いせいだ。
 寂しそうなエドモンの姿を見て、普段目上の者から可愛がられてばかりのエミールに兄貴風を吹かしたい欲求が生まれた。


「それじゃあ週末にウチに遊びに来ればいい、そうしたらアレク姉様に遊んでもらえるよ。オーギュ兄様、いいでしょう?」


 エミールは細く小さな目を期待でキラキラさせてオーギュストを見た、目下の者に良いところを見せたい意気込みが伝わってきてオーギュストは苦笑いを浮かべる。


「ああ、その時はマックスに連れて来てもらえばいいさ。なぁ?」


 ニヤリと笑ったその目は「アレクシアに会う口実になるだろう?」と如実に物語っていた。
 オーギュストはマクシミリアンの恋が成就するとは思っていないが、今のところアレクシアは自分と同じくらいにはマクシミリアンに対して好感を持っていると思っているので、アレクシアの迷惑にならない程度の手助けであれば協力するつもりでいる。


 実際には同じくらいどころか、全く違うベクトルで好感を抱きまくっているという事実には全く気付かずに。
 一方その頃のアレクシアとフレデリクは、最後の盛りとばかりに咲く薔薇達が植えられている一画に来ていた。


「良い香り、ずっと深呼吸していたくなるわ」


「……た」


「え?」


「さっきは悪かったと言ったんだ、……です」


 今まで触れた誰の手よりも柔らかで優しい感触にドギマギしていたせいで、セリフを噛んでしまったフレデリクは耳を赤く染めながらそっぽ向いた。


「うふふ、もうお仕置きしたから気にしなくていいわ。話しにくければ普段のように話して良いのよ? 何ならエミールみたいにアレク姉様って呼んでくれてもいいし」


(クックック、マックスへのアプローチと同時進行で外堀も埋めていく……、目指せ『いつの間にか婚』!)


「わかった……」


「……ねぇフレデリク、マックスは来年最高学年じゃない? その……婚約話なんか出てたりするのかしら?」


「ハッ、リオンヌ家の人間に限ってそんなに早く結婚が決まるなんてあり得ないだろ。それよりオレの事はフレディって呼んでいいぞ」


「わかったわフレディ、それにしてもマックスは強くて素敵な紳士なのに周りは見る目が無いのね。………その方が私的に助かるけど」


「え?」


「いいえ、何でも無いわ」


 最後にポツリと呟いた言葉が聞こえずフレデリクが聞き返したがアレクシアはサラリと誤魔化した。


「兄上に対して素敵だなんて言うのはアレク……姉様くらいのものだよ」


(ふおぉぉ~! 美少年からの『アレク姉様』頂きました~! しかも照れとるとこがポイント高いわぁ)


 嬉しくてアレクシアは思わず笑い出した。


「ふふ、うふふふ」


「な、なんだよ」


「だってフレディがアレク姉様って呼んでくれたのが嬉しくて」


「何だそれ」


「ところでフレディ……、マックスが好ましく思う女性ってどんな人か……知ってる?」


 半分呆れて、半分照れた顔をするフレデリクにアレクシア的にはさりげなさを装って本題をぶつけた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

【完結】男の美醜が逆転した世界で私は貴方に恋をした

梅干しおにぎり
恋愛
私の感覚は間違っていなかった。貴方の格好良さは私にしか分からない。 過去の作品の加筆修正版です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

天使は女神を恋願う

紅子
恋愛
美醜が逆転した世界に召喚された私は、この不憫な傾国級の美青年を幸せにしてみせる!この世界でどれだけ醜いと言われていても、私にとっては麗しき天使様。手放してなるものか! 女神様の導きにより、心に深い傷を持つ男女が出会い、イチャイチャしながらお互いに心を暖めていく、という、どう頑張っても砂糖が量産されるお話し。 R15は、念のため。設定ゆるゆる、ご都合主義の自己満足な世界のため、合わない方は、読むのをお止めくださいm(__)m 20話完結済み 毎日00:00に更新予定

異世界転移したと思ったら、実は乙女ゲームの住人でした

冬野月子
恋愛
自分によく似た攻略対象がいるからと、親友に勧められて始めた乙女ゲームの世界に転移してしまった雫。 けれど実は、自分はそのゲームの世界の住人で攻略対象の妹「ロゼ」だったことを思い出した。 その世界でロゼは他の攻略対象、そしてヒロインと出会うが、そのヒロインは……。 ※小説家になろうにも投稿しています

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

処理中です...