もふもふは魔王城から逃げられない

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リスは知らぬ間に結婚していた。魔王は自分の思いつきに満足していた。本人にはすでに首輪を渡してある。あの首輪とお揃いの指輪を自分がすればよい。

リスは今のところ、魔王城の中で住むことに慣れてきているし、このまま手懐けられれば良い。

魔王は、リスのために、魔王城の外壁の強化をした。着々とリスを逃がさない為の要塞ができていっている。勿論、リスは何も知らない。

最近日当たり悪くなったな、ぐらいにしか思っていない。魔王城の中とはいえ、リスは自立して過ごしていたので、洗濯は自分でする。そんなに服は持っていないものの、干していて日当たりが悪いのは困る。

魔王に聞くと、小さな太陽をくれた。
小さな太陽は、携帯版太陽で、日当たりが悪い時、もしくは闇に取り残された時に使えるアイテムらしい。

さすが魔王を名乗るだけある。闇に取り残された時、ってどんな時?
リスの想像が追いつかない。

ふと、自分よりも長いこと生きている魔王がこれまでどんな生き方をしてきたかに興味が湧いた。
これまでの魔王との会話といえば、新作のお菓子とかだったので、今度聞いてみたらいいか、と思った。

魔王から結婚した、と聞いた時はびっくりした。
「おめでとう?」
「ありがとう。お前も、おめでとう」
「…ありがとう?」
リスはどうして、自分がおめでとうなんだ?と訝しく思った。

魔王が結婚したことと何か関係があるのかな?もしかして、魔王が結婚したら、魔王城も進化して、より良い環境で暮らせるようになる、とか?

魔王はリスの首輪に触れた。光がたくさん出て、眩しいと目を瞑る。目を開けると、首輪とお揃いの形の指輪が二つ現れた。

魔王がリスの手を掴んで、指輪をはめる。リスは思考が追いつかずされるがままになっている。魔王はもう一つを自分の指に嵌める。

首輪を嵌めた時の経緯をリスが覚えていたなら全力で指輪を嵌めるのを拒否しなければいけなかった。が、しなかった。案の定、指輪は一度嵌めたらもう外れない仕様だった。

どちらかが、死ぬまで外れないそうだ。普通に考えて、魔王の寿命の方が長いよね。リスは自分の考えなしを呪った。

リスは考え方を変えた。違う見方をすれば魔王城にずっと住めるということだ。

後の難しいことは後で考えよう。
リスはずっと行き当たりばったりで生きてきたのだ。今更考えても仕方がない。

魔王は楽しそうだ。そんなに私と結婚したかったのだろうか。
リスの頭には疑問符がたくさん浮かんでいた。
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