私は聖女なんかじゃありません

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懺悔編

ある令嬢

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第二王子には近づくな、と言われていた意味がようやく分かった。

あの人はただのバカ王子ではなくて、精神のおかしいバカ王子なのね。

顔が良すぎる。女好き。誘惑にすぐにのる。簡単に手に入ると思わせておいて、すぐに切り捨てる。

男爵令嬢だから、王子の結婚相手にはなり得ないけれど。一瞬だけでも、お手つきになれば良かった。だって、見た目は女性に優しくしていたし、精神に異常があるって知らなかったのだから。

まあ、でも嫌な予感はしてたのよ?
馬車で、森の奥にただいるだけって、危ないし、平民らしい格好にさせられて、誰かが通るまで、そこにいろ、だなんて。

しかも、あの怪しげな袋。
女性の力ではズッシリしていて、持ち歩くのは大変だったわ。
護衛の人が、持ってくれたからよかったけれど。袋を持った人が、掌をじっとみつめたり、首を捻ったりしていて、どうしたのかしら、と思っていたけれど、あれは魔力を吸われていたからなのね。
何かおかしい感じがしたのね。

第二王子の話をすると、皆一様に、気の毒そうな顔をしたわ。あれはわかってたのね。あの人の闇を。ついでに、私が処分されようとしているのもわかってたのかもしれないわ。

ああ、あの王子が追っていたのは、聖女なのね。平民の?何か関係あるの?女なら、何でもいいのでしょう?
自分に逆らわず、好きにできる相手ならなお、いいのよね。

あの袋の中身は、結局魔獣だったのだけど、あんなに近くにいたのに、私がこうして無事に生きているのは、その聖女様のおかげなのかしら。何か大きな光に包まれて…って気を失っていて全く覚えていないのだけど。

どうして覚えていないのかしら。生聖女を拝めるチャンスだったのに。私が覚えているのは、馬車で家まで送って貰ってから、護衛の方に、王子への報告で死んだことにするから早くお逃げなさい、と言われたことだけ。

きっと、貴方が無事だと知ったら、今度は貴方に執着するでしょうから、って。従者だけ連れて、母の実家に向かったわ。平民の家だけど、居心地が良いの。あんなに貴族だと言い張っていたけれど、もうどうでも良い。

幸せに生きられる人生が一番よ。
そう思わない?


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