私は聖女なんかじゃありません

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懺悔編

ある悪魔

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聖教会のために働きながら、司祭様をただ慕っていた少年が、悪魔と呼ばれるようになったのは、もう覚えていられないほど、昔の話だ。

天使は神様の言うことに逆らわないから天使でいられる。では神様の言う通り、悪魔が動けば、悪魔でも天使になれるのだろうか。

悪魔は、この世界しか知らない。他の国や、他の組織、他の偉い人、全てが要らないとは思わない。

司祭様が言うなら、誰だって始末する。司祭様の望みを全て叶える。

聖女を生捕りにするのは、少し難しいかもしれない。力加減を間違えてしまうことがよくあるから。

聖女を始末するなら、簡単なのに。
生捕りにして、飼い殺しにするつもりらしい。

目の前の男を見る。いつからか、司祭様の言葉を直接聞くことは、叶わなくなった。司祭様に会って頭を撫でて貰うことも、話を聞いて貰うことも、歌を一緒に歌うことも、なくなった。

この男の欲望に塗れた下卑た顔しか見ることは叶わない。司祭様を裏切らなければ良い。

この男が口にする言葉が、嘘なのかどうか頭の悪い少年にはわからない。司祭様の、聖教会のためだと、いいきるのなら、手伝いぐらいはしたいと思う。

聖女を捕まえるにあたって、邪魔は王族、あとは聖女の同行者。

実際、逃げる気のなかった聖女を無理やり逃したのは同行者の男だし、王族は、聖女を取り込んで、司祭様を陥れようとしている。

聖女の同行者に至っては、何の力も持たない平民だから、心配はない。

王族の方は、これから行って見てこよう。



探索系の魔法が使えるようだ。

体のゴツい男を見つけて、後ろにも誰かいるのを感じ取る。あれ、何だろ。

見たことのない、魔獣が結構な勢いで、近づいてくる。

いいな…もふもふ。
触りたい。


触る前に、とりあえず挨拶に行く。この中だと、僕が一番歳下だし。新参者は挨拶をしておかなくちゃ。


挨拶が終わると、さっきのおじさんが本気になったみたい。司祭様の邪魔さえしなければ、見逃してあげても良いよ。

ただし、欲しいものはちゃんと貰うけどね。






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