私は聖女なんかじゃありません

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何で、ここに?

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「ララ?どうして、ここに?」
「お姉ちゃん、アーリオ!」
そこにいたのは、エミリアの歳の離れた妹のララだった。もふもふしたデカい魔獣に乗っている。
「無事で良かったよー。」

エミリアとララが、感動の再会をしている中、魔獣の気配がだんだん近くなって、アーリオは気が気じゃない。

「二人とも、今はそんなことしている場合じゃ。」
「あ、そうだった。ちょっとお姉ちゃんとアーリオは離れていてくれる?」
ララは、今まで乗っていたもふもふに声をかける。
「行ってこーい。」
もふもふが暴れている魔獣を一撃で仕留める。もふもふは、褒めてほしそうにこちらに向かってきたかと思ったら、ポンと音がして、もふもふ本来の形に戻った。

「チロ?」
エミリアの声で気がついた。
ああ、こいつ、犬じゃなかったんだな。やっぱり。

エミリアが森で拾ってきたチロは、彼女が言い張るので、犬とされていたが、誰が見ても犬とは言い難く、かと言って何かはわからなかったので、犬?になったのだった。

で?

エミリアはよく、拾ってくる子どもだった。チロもだけれど、ララも、本当の血の繋がりはなくて、拾った子どもだったはず。ララはエミリアに物凄く懐いていた。初めて会った時から。

「ララは一体、何者なの?」
アーリオの問いにすこし苦笑いを浮かべて、ララは、観念したように謝った。

「騙してて、ごめんなさい。私の正体は、」
一瞬でララがいなくなり、代わりに親指程の大きさのララが現れた。

妖精?
は、何それ。

妖精なんて、見たことがなかった二人は思考停止に陥った。小さなララはため息をついたのち、元の人間の姿に戻ったけれど、やっぱり二人の思考は戻って来なかった。

「ララ…本当に、ララなのね。」
ようやく、エミリアがララの顔に触れる。ギュッと抱きしめられ、恥ずかしいのか、話を変えるララ。
「それより、この子、褒めてあげて。あれからずっと走って追ってくれたの。」
チロは、嬉しそうにこちらを向いて褒めてほしそうにしている。

「あと、これ。預かってきた。」
ララが差し出したのは三通の手紙。

エミリアと、アーリオの両親からの物が一通ずつ。

あと、一つは、司祭様からだった。

恐る恐るあけると、聖女の儀式に手違いがあったことを詫びるものだった。そして、聖女を探し出す為に追っ手が王宮と教会から向かっているので、決して捕まらないように。頼るなら、隣国の聖女に貴方達のことはお願いしておきます、と。

アーリオは読んだ後、不思議に思った。王宮からの追っ手のことはわかるとしても、教会からの追っ手に捕まるな、というのはどういう意味だろう。

司祭様とは違う意図のものが動いているのか?

はたして、この手紙を信用して良いものか。

エミリアがアーリオの考えこむ様子を見て心配そうにしている。

「とりあえず、ここを離れよう。」
司祭様の思惑はわからないが、捕まらないように、というのは同感だ。

何か嫌な予感がする。
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