私は聖女なんかじゃありません

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王子 裏側

混乱

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意識が朦朧としている第二王子に話しかける。「貴方は生きたいですか?死にたいですか?」返事が返せない状態にしたのは自分達なのに、こんなにうまくいって何か落とし穴でもあるのではないかと、疑う気持ちもある。
「もし生きたいのでしたら、体を新しくしなければ。もし死にたいのでしたら、貴方の人間としての生はここまでなので、どうぞ安心してください。って、聞いてませんね。」

既に事切れた第二王子の体を眺めて、魔物に襲われたにしては綺麗に仕留められたことに、至福を覚える。残念ながら、第一王子の身体はまだ手に入っていない。人望もあり国民人気の高い第一王子の身体は、悪徳を極めてきた第二王子の身体より利用価値は高いが、ないなら仕方ない。第二でも王子は王子。しかもこの体は魔力に耐えうる身体である。丁重に利用して差し上げなければ。

男達は、罠にはめた第二王子の身体を担いで森の奥の奥の深い闇に連れて行く。平民の子ども達では受け止めきれない、魔物でも、第二王子ぐらいの器なら耐久性に問題はない筈だ。神官の望みは、魔物と人間の共存だ。今のところ、人間でなくなった体に魔物をいれていくのだが、最終的な目標は、生身の人間と魔物を融合したい。一度、成功したらしい方法でいつかは敬愛する司祭様に施したいのだ。

今司祭様には、この計画を当然知られてはならない。全てはサプライズで、とびきり驚かせて喜んでいただかなくては。だから邪魔な王族に目をつけた。司祭様を最高の至高の存在にするための、礎になってもらうために。王族を廃して新しい王になって貰うために。

その時、私達は死んでいても良い。司祭様に殺されたい、とは思うが、司祭様のために死ねるなら本望だ。

この実験はもう何年も前から繰り返されているが、成果が驚くほど出なかった。どこからか妨害があったりしたのだが、それがどこからくるのかはっきりしない。大方、王族が絡んでいるのだとは思ったが、第一王子は表に出ないし、第二王子は頭が回りそうにないし、違うのかもしれない。そのうち、子ども達の中に悪魔と呼ばれるほどの逸材が現れた。彼は少年ながら、魔力が高く、完全に身体に入り込んだ魔物をうまく使役していた。平民の中にも、稀に現れるらしい。彼は生身の人間でありながら、完全なる融合体となった稀有な存在だ。彼の存在が、我々を強く勇気づけている。

少し前に平民の聖女を追わせたが、生存反応が今では感じられない。ただ弱っているだけなら良いが、悪魔を倒せるほどの戦闘狂でも現れたのだろうか。



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