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王子 裏側
脱出
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聖女様とその従者を連れて、ジーク第一王子はフォルシアの隠れ家を飛び出した。最初はどうやって脱出しようかと考え悩んだが、ヴェルナーのおかげで、魔法陣で一気に転移出来た。ヴェルナーは旧友の叔父なのだが、旧友同様頼りになる人だ。
ジークは、長く帰っていない自国がどのようになっているか知らない。王位継承のいざこざで、毒を盛られてから静養と称し引き篭もり、国外へと逃げていたから。元は命の危機から逃げるつもりだったが、いつからか、自国の問題を見ないようにすることで精神的にも自国から離れていった。
ある意味、国に留まって、やりたい放題していた弟の方がよっぽど自国のことを考えていたのではないかと思う。
ジーク達は、ヴェルナーの従者が行きに撒いた魔法陣を渡って、イーサンとの待ち合わせ場所にたどり着いた。こんなに早く着けるなんて、凄いと素直に感動するのと同時に、あの従者には、ヴェルナーには逆らわないようにしようと改めて思う。
ジークと聖女と、聖女の従者がどれくらい動けるかはわからないが、騎士団を率いるイーサンがいれば、弟が相手でも、聖教会の一部が相手でも不安はない。足手纏いにだけはならないようにしないと。自分の真価は、この争いを鎮めた後にある。自分が一番役に立たないのに、自分が死ねば聖女様達を危険に晒すなんてどんな爆弾だ。とりあえず倒すのは弟と王で、聖教会は一旦聖女様に任せよう。そして、最後に司祭様をお助けする。そうすれば万が一、自分が命を落としたとしても、司祭様がトップになって国は存続していける。
エミリアやアーリオのような平民を他国からの侵略などに怯えさせることのないように。やり方は違えど、司祭様をトップにすると言うのは、聖教会の一部と同じ結果を求めることになる。彼らと手は組まないが、なんとか納得してもらえないか考える。
ずっと黙っているジークをイーサンは見つめているが、特に声をかけることはない。これからの段取りを考えているのだと思っていたから。自分がジークのためにできること。まず、王と第二王子の排除。王は大したことないが、第二王子の魔法は厄介だ。魔法を封じることさえできたら、たぶん拘束ぐらいは可能だ。ジークは魔法が効かないから、安心だが、自分には効く。もしかしたら、止めは王子のお手を借りることになるかもしれない。まあ、本来はそうなることが理想的だ。自分の居場所は自分で確保してもらわなければ。それが一国の主の最初の仕事になる筈だ。
ジークは、長く帰っていない自国がどのようになっているか知らない。王位継承のいざこざで、毒を盛られてから静養と称し引き篭もり、国外へと逃げていたから。元は命の危機から逃げるつもりだったが、いつからか、自国の問題を見ないようにすることで精神的にも自国から離れていった。
ある意味、国に留まって、やりたい放題していた弟の方がよっぽど自国のことを考えていたのではないかと思う。
ジーク達は、ヴェルナーの従者が行きに撒いた魔法陣を渡って、イーサンとの待ち合わせ場所にたどり着いた。こんなに早く着けるなんて、凄いと素直に感動するのと同時に、あの従者には、ヴェルナーには逆らわないようにしようと改めて思う。
ジークと聖女と、聖女の従者がどれくらい動けるかはわからないが、騎士団を率いるイーサンがいれば、弟が相手でも、聖教会の一部が相手でも不安はない。足手纏いにだけはならないようにしないと。自分の真価は、この争いを鎮めた後にある。自分が一番役に立たないのに、自分が死ねば聖女様達を危険に晒すなんてどんな爆弾だ。とりあえず倒すのは弟と王で、聖教会は一旦聖女様に任せよう。そして、最後に司祭様をお助けする。そうすれば万が一、自分が命を落としたとしても、司祭様がトップになって国は存続していける。
エミリアやアーリオのような平民を他国からの侵略などに怯えさせることのないように。やり方は違えど、司祭様をトップにすると言うのは、聖教会の一部と同じ結果を求めることになる。彼らと手は組まないが、なんとか納得してもらえないか考える。
ずっと黙っているジークをイーサンは見つめているが、特に声をかけることはない。これからの段取りを考えているのだと思っていたから。自分がジークのためにできること。まず、王と第二王子の排除。王は大したことないが、第二王子の魔法は厄介だ。魔法を封じることさえできたら、たぶん拘束ぐらいは可能だ。ジークは魔法が効かないから、安心だが、自分には効く。もしかしたら、止めは王子のお手を借りることになるかもしれない。まあ、本来はそうなることが理想的だ。自分の居場所は自分で確保してもらわなければ。それが一国の主の最初の仕事になる筈だ。
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