私は聖女なんかじゃありません

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王子 裏側

変化

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エミリア達には、一週間と期間を言い、そのうちに帰るつもりだった。久々に見る自国に絶句する。何だこれは……

人間などいなかったような、錯覚に陥る。果たして生きている人間はいるのか。とりあえず、聖女様に全体的に結界を張ってもらう。うちのような小さい国なら結界を張っただけで、低位の魔物は存在を維持できなくなるらしい。だから、なのか。低位の魔物が消えてなくなり、生命を維持できなくなった残骸があちらこちらにある。元は子供であったのだろう。朽ち果てたそれは、おもちゃのように捨てられていた。人間ではなく、本当におもちゃならよかったのに。魔物にこんな所業ができるわけはない。

このおぞましいものを作り上げるのが、聖教会の実態だと言うのか。ジーク王子は拳を握りしめる。弟は父は何をしているのか、王宮で踏ん反り返るしかできない父と、引っ掻き回すのが大好きな弟。

まさか、関係している訳ではあるまい。ジークが怒りをあらわにしている中、リサは張った結界の中で不自然に動く生命体を発見していた。

「行きたくないわー。」嫌な予感しかしない。リサは正直だった。いつもならリサを宥めるビルも今回に至っては、何も言わなかった。ジークがひとしきり自分を責め、落ち着いた頃には、行かざるを得なかったのだ。

たどり着いた先には、王子の体があった。触ると既に冷たくなっていて、なくなっていることがわかった。ジークは、ずっと殺したいと思っていた男なのに、見た時に、気持ち悪くなって、吐いてしまった。第二王子の体には、魔物に襲われた跡がありありと残っていた。どうやらどこかで殺されて、ここまで連れてこられたようだった。

どうして、ここに放置したのか、わからないでいると、その答えはすぐにわかることとなった。

聖女の従者であるビルが詠唱する。魔法で隠されていた扉が現れた。地下に続いているらしい。聖教会が隠し持っていると言われていた研究施設への入り口だろうか。狭いところに入り込んで殺されたら、と考えるだけで足が竦んでしまう。王子として情けない。でも、これは私が逃げ続けた結果なのだから、ちゃんと自分の手で決着をつけなきゃいけない。

聖女とビルが後から来る。イーサンは念の為、地上に残ってもらう。何かあってこちらが全滅してもイーサンならこの国を譲ることが出来る。それだけ信頼の厚い部下をみすみす殺してなるものか。

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