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公爵令嬢エリザベス
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母から貰った誕生日プレゼントを従姉が欲しがったと聞いた時は、正直鼻が高かった。あのネックレスを一目でお値打ち品だと見破るなんて流石、お母様の姉の娘ね、なんて思っていた。
だけど、エリザベスが彼女から奪ったものだ、と嘘をついたことは悲しく思った。あんな何も持たない娘から更に奪うような人物に自分が見られていたと言うことが堪らなく悲しかった。
兄や弟はそうでもなかっただろうけれど初めて見る従姉にエリザベスは少し期待していた。
兄や弟のせいか、エリザベスの周りには仲良くしている友人がいなかった。仲良くなっても少ししたら、スペンサーやサイオンに紹介して、と頼まれ、紹介したらエリザベスには見向きもしなくなる。エリザベスには彼女を利用して兄や弟に取り入ろうとする令嬢しかいなかった。
隣国の男爵の娘なら貴族ではないから、兄や弟には興味がなく、普通の従姉妹として関われるのではないかと思ったのだ。だけど、それは幻想でしかなかった。
最初の挨拶で彼女はカーテシーを見せた。彼女は堂々としていて得意満面だったけれど、それは昔の覚え立ての頃の自分を見ているようだった。初めてのカーテシーを見て、お母様は、彼女の力量を見極めたのだろう。従姉から手紙が届いた後割とすぐに母の差配で彼方には家庭教師を送っていたのだった。
侍女になりたいなら最低限、と決められたラインに到達していない彼女を見て、母は、平民として生きていきたい、と言う姪の意思を受け入れたのだった。
彼女が侍女のラインまで到達していたならば、エリザベスは主従関係ではあるけれど、従姉妹として偶に話をしたり、仲良くできないかな、と思っていた。
だけど平民として生きていきたい彼女には貴族の煌びやかな生活は毒にしかならない。泣く泣く諦めて、従姉と関わるのはやめよう、としていた時の、「いじめられている」発言である。
そもそもエリザベスや侍女達と下女は関わりを持たない。それはいじめではなく、棲み分けだ。仕事内容も仕事場所も違うのだから、働いている間に出会うことすらない。
だから初めは困惑した。何故そんな嘘をついたのだろう。
彼女の相談相手が全て男性なのもエリザベスには理解できない。男性に弱みを見せるのは怖くないのだろうか。他家の異性に不用意に近づくことも怖いが、弱みを見せることも怖い。まだ女性ならば、仲良くなる手段として、理解できる話だが。
平民は随分と男性との距離が近いのだと放心していると、お兄様に、「アレを平民女性の代表にされると、他の平民に叱られるぞ。アレは変わり者の類だ。近づいてはならぬ。」と釘を刺された。
良かった。それを聞いて安心した。この頃にはエリザベスももう従姉と仲良くしたい、などとは思わなくなった。母が実の姉の現状に手を差し伸べなかった理由がわかった。確かに彼女みたいな人間とは関わりたくないわ。
話を聞くと、下男の中にも、モニカの話を本気にしていない人間はいた。仕事もせずに話しかけにくるモニカを疎ましく思っていた彼らは度々家令に苦情を入れていたからである。モニカがやらなかった仕事は巡り巡って自分達の負担になる。最初から何故か偉そうに命令してくるモニカを彼らは注意深く見守っていた。
モニカの罰は、母が話を聞いてからと言うことになった。何か勘違いがあったのかもしれない。母としては、平民として生きていく、彼女の意思を汲んだつもりだったのだから、驚いたことだろう。正直なところ、エリザベスも彼女の言い分を聞きたかったが、兄と弟に止められた。
「お前が居ればアレは嬉々としてお前を悪者にするだろう。そんなのは腹が立つ。母上に任せよう。」
勝手に加害者にさせられたエリザベスだが、確かに、と思い直し、母に委ねることにした。
だけど、エリザベスが彼女から奪ったものだ、と嘘をついたことは悲しく思った。あんな何も持たない娘から更に奪うような人物に自分が見られていたと言うことが堪らなく悲しかった。
兄や弟はそうでもなかっただろうけれど初めて見る従姉にエリザベスは少し期待していた。
兄や弟のせいか、エリザベスの周りには仲良くしている友人がいなかった。仲良くなっても少ししたら、スペンサーやサイオンに紹介して、と頼まれ、紹介したらエリザベスには見向きもしなくなる。エリザベスには彼女を利用して兄や弟に取り入ろうとする令嬢しかいなかった。
隣国の男爵の娘なら貴族ではないから、兄や弟には興味がなく、普通の従姉妹として関われるのではないかと思ったのだ。だけど、それは幻想でしかなかった。
最初の挨拶で彼女はカーテシーを見せた。彼女は堂々としていて得意満面だったけれど、それは昔の覚え立ての頃の自分を見ているようだった。初めてのカーテシーを見て、お母様は、彼女の力量を見極めたのだろう。従姉から手紙が届いた後割とすぐに母の差配で彼方には家庭教師を送っていたのだった。
侍女になりたいなら最低限、と決められたラインに到達していない彼女を見て、母は、平民として生きていきたい、と言う姪の意思を受け入れたのだった。
彼女が侍女のラインまで到達していたならば、エリザベスは主従関係ではあるけれど、従姉妹として偶に話をしたり、仲良くできないかな、と思っていた。
だけど平民として生きていきたい彼女には貴族の煌びやかな生活は毒にしかならない。泣く泣く諦めて、従姉と関わるのはやめよう、としていた時の、「いじめられている」発言である。
そもそもエリザベスや侍女達と下女は関わりを持たない。それはいじめではなく、棲み分けだ。仕事内容も仕事場所も違うのだから、働いている間に出会うことすらない。
だから初めは困惑した。何故そんな嘘をついたのだろう。
彼女の相談相手が全て男性なのもエリザベスには理解できない。男性に弱みを見せるのは怖くないのだろうか。他家の異性に不用意に近づくことも怖いが、弱みを見せることも怖い。まだ女性ならば、仲良くなる手段として、理解できる話だが。
平民は随分と男性との距離が近いのだと放心していると、お兄様に、「アレを平民女性の代表にされると、他の平民に叱られるぞ。アレは変わり者の類だ。近づいてはならぬ。」と釘を刺された。
良かった。それを聞いて安心した。この頃にはエリザベスももう従姉と仲良くしたい、などとは思わなくなった。母が実の姉の現状に手を差し伸べなかった理由がわかった。確かに彼女みたいな人間とは関わりたくないわ。
話を聞くと、下男の中にも、モニカの話を本気にしていない人間はいた。仕事もせずに話しかけにくるモニカを疎ましく思っていた彼らは度々家令に苦情を入れていたからである。モニカがやらなかった仕事は巡り巡って自分達の負担になる。最初から何故か偉そうに命令してくるモニカを彼らは注意深く見守っていた。
モニカの罰は、母が話を聞いてからと言うことになった。何か勘違いがあったのかもしれない。母としては、平民として生きていく、彼女の意思を汲んだつもりだったのだから、驚いたことだろう。正直なところ、エリザベスも彼女の言い分を聞きたかったが、兄と弟に止められた。
「お前が居ればアレは嬉々としてお前を悪者にするだろう。そんなのは腹が立つ。母上に任せよう。」
勝手に加害者にさせられたエリザベスだが、確かに、と思い直し、母に委ねることにした。
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