親が決めた婚約者ですから

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当事者⑦ アルマ視点

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「私、女神様から天啓を受けたわ。」

 同じ伯爵令嬢ということで昔から何かと一緒にいた友人をアルマは頭がおかしくなったのかと思った。

「そんな目で見ないで。恥ずかしいわ。」
「エミリア、女神様って、神様は男性でしょう?神殿に見つかったら異教徒だと叱られてしまうわよ?」

「違うわよ、やあね、アルマ。この世界は私のための世界なの。私が幸せになる世界。私、主人公に選ばれちゃった。」

 アルマは急に元気になって話しかけてくる彼女を一瞥した。彼女の言っていることは何一つわからない。

 その日を境に、エミリアは全くの別人と言われても仕方ないほどになっていた。

婚約者のいるリチャードに声をかけ、当時の彼の婚約者に苦言を呈されていた彼女は、何を思ったかいじめを受けている、とリチャードに泣きついた。

彼女に乗せられて婚約者をいじめの件で糾弾しようとしたが、返り討ちに遭ったリチャードは自業自得としか言えない。それでもリチャードの死を引き起こしたのはエミリアなのに、恋人を亡くした彼女だと見られてしまう。

「リチャードは思っていたより早めに亡くなってくれてよかったわ。恋人になるのは良いのだけれど。主人公としては小物でしかないのよね。」

エミリアは満足そうにしていたが、アルマは恋人の突然の死を笑いながら話せることに背筋は凍っていた。

「しかも言うに事欠いて、亡くなってよかった、なんて。」

アルマはエミリアの涙を受け入れられなくなった。


リチャードの二度目の人生は、婚約者が変わっていた。

伯爵家の庶子だったエミリアは幼少期にリチャードと初めて出会い、初恋となるのだが、今回そんな展開にはならなかった。

とある理由から、リチャードが彼女を認識できなくて、エミリアとは恋仲にならなかった。

エミリアと恋仲にならないリチャードは、助かるのかと思えば、そんなことはなく、ちゃんと亡くなってしまう。

リチャードの死はエミリア曰くハッピーエンディングに入れるか否かの指標みたいなもので、リチャードは絶対に死んでもらわなきゃいけないキャラらしい。

アルマはリチャードに死んでほしくないと思っている人に頼まれた。アルマの能力はエミリアとほぼ同じ能力。

「全部嫌になれば、リセットしてしまえば良いのよ。」

エミリアが告げた言葉から推測するに何度もそうやってリセットをして来たのだろう。

彼女は何度もやり直しを試みる。その度に巻き込まれて死ぬリチャードを助ける為に、アルマも手を伸ばせるだけ伸ばす。
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