2 / 35
2週間
しおりを挟む
ロボット先生が学校に来てから2週間。あれから生徒達、特に三年生達は馴染んでいた。
最初の1週間はスマホで写真を撮る生徒がほとんどで人だかりだったがそれも次第に落ち着いていく······。
「ロボット先生来てから2週間たったけどさっ、何か普通ね」
「うん、そうだな」
「桜きれいよね~」
「うん、そうだな」同じ返事だけを繰り返す高弘にイラつく秋、
「あんた本当ゲーム好きね」
「好きだぜ! お前もやれよ!」
「いいっ、あたしパス」
ほとんどの学生は休み時間ゲームをしているのが日常。仕方なく、席に着いてスマホ出して隙をもて余し、休み時間も終わりロボット先生の授業が始まる。
「――ということで授業は終了です。ちゃんと復習してください」
授業が終わると、ロボット先生は扉を開き大井先生を先に通してから自分も通って閉めた。
ロボット先生は先生をしてから、1日も欠かすことなくやっている。
その結果、女子高生に人気があり、いつものように職員室に戻ると、
「ロボット先生」
「はい、なんでしょ、大井先生」
「2週間経ちましたがどうですか?」
「特に異常はありません」
「そうですか~、う~んとっ、気持ちとかはどうです?」
「ん、生徒でしょうか?」
「いえっ、ロボット先生の~······」
「私はロボットなので生徒達が元気でいてくれればいいですね」
「そっ、そうですか」
大井先生はロボット先生の気持ちを訊いてみたかった。
それほどロボット先生の働きはこの2週間、間近で見てきた大井先生にとって完璧に見えていたから。
「大井先生」
「あ、はい、なんでしょう?」
「最近授業中に高弘君が何故か隣の隣の席に座っているパールさんの方ばかり見ているのですが、何か心当たりはないですか?」
「え、そうなんですか?」
彼女は全く気づいていなかったが直感が働き、
「それはっ、ズバリ恋ですねっ!」
「恋ですか、特定の相手と一緒にいたいという」
「はいっ、間違いありませんっ!」
大井先生はキッパリ言う、
「では、どうすればよろしいでしょうか」
ロボット先生は冷静に訊いた、
「う~ん、難しいですね~、やっぱり自分の好きな人のことは人には話したくないと思いますね~」
するとロボット先生が立ち上がり、
「では私が訊いてみますよ」
「えっ、だから人には」
「問題ありません、ロボットですから」
「いや、あの~」
そして昼休み中ゲームをやっていると、
「高弘君」
「はい」
「放課後、お話があります」
「分かりました」
「では放課後」
「んっ、なんだろう?」
「高弘~、あんたなんかやったんじゃないの~?」
「んなわけねえだろ······たぶん」
秋にちゃかされながらも、彼は全く思い当たらなかった。
――放課後になり呼ばれた高弘は、ロボット先生と一対一で話すことに、
「最近のことなのですが」
「はい」
「授業中、高弘君はパールさんのことを見ていますが、恋ですか?」
「ええーっ、ち、違いますよ~」
「え、違うんですか?」
「全然そういうことじゃないんですよ」
「そうですか~、ではなぜ?」
高弘は下を向いて困った顔をしながら語り出した。
「······実は14日の午後2時ぐらいだと思うんだけど、オレがスマホ見な、普通に歩いていたら」
「――ねえ、お金くんない?」
「エッ、スイマセン」
道端でパールは同級生くらいの女子3人に絡まれていた。それを見かけた高弘は関わったら色々と面倒だと思い通りすぎてしまう。
しかし声が聞こえる。
「あんたさあ、わざと片言で喋ってんじゃないの?」
「イエ、ワタシ日本ゴ、ムズカシクテ」
「じゃあ、オカネクダサイ、分かるか、おいっ!」
「ヤメテクダサイ」
歩いてるうちに会話が止まったのか聞こえなくなり気になって戻ったら、
パールは泣きながら帰って行った······。
「だからオレどうすればいいのか分からなくて、すいません」
高弘はあの時逃げ出した事をとても後悔していた。だから、パールのことが心配でしたかなかったのだ。
その話を聞いたロボット先生が、
「高弘君、勇気を出して言ってくれて、ありがとうございます」
しかし高弘は気持ちが沈んだまま、
「そこで明日は土曜日なので、来週の放課後、今度は高野 パールさんも一緒にお話ししましょう」
「ええっ、でも」
「大丈夫です。私も一緒ですから――高弘君、あの時に逃げてしまった自分と向き合ってみてください」
「······はい、やってみます」
「では今日はこれで、お疲れ様でした。気をつけて帰ってください」
「お疲れ様でした」
高弘は不安を抱えながら学校を後に。
「ロボット先生お疲れ様です。どうでした?」
「はい、問題ありません。来週の月曜日にまた大井先生に報告しますね」
ロボット先生は笑顔で答え、
「はい······」
とりあえず納得する大井先生であった。そして、月曜日の放課後······。
最初の1週間はスマホで写真を撮る生徒がほとんどで人だかりだったがそれも次第に落ち着いていく······。
「ロボット先生来てから2週間たったけどさっ、何か普通ね」
「うん、そうだな」
「桜きれいよね~」
「うん、そうだな」同じ返事だけを繰り返す高弘にイラつく秋、
「あんた本当ゲーム好きね」
「好きだぜ! お前もやれよ!」
「いいっ、あたしパス」
ほとんどの学生は休み時間ゲームをしているのが日常。仕方なく、席に着いてスマホ出して隙をもて余し、休み時間も終わりロボット先生の授業が始まる。
「――ということで授業は終了です。ちゃんと復習してください」
授業が終わると、ロボット先生は扉を開き大井先生を先に通してから自分も通って閉めた。
ロボット先生は先生をしてから、1日も欠かすことなくやっている。
その結果、女子高生に人気があり、いつものように職員室に戻ると、
「ロボット先生」
「はい、なんでしょ、大井先生」
「2週間経ちましたがどうですか?」
「特に異常はありません」
「そうですか~、う~んとっ、気持ちとかはどうです?」
「ん、生徒でしょうか?」
「いえっ、ロボット先生の~······」
「私はロボットなので生徒達が元気でいてくれればいいですね」
「そっ、そうですか」
大井先生はロボット先生の気持ちを訊いてみたかった。
それほどロボット先生の働きはこの2週間、間近で見てきた大井先生にとって完璧に見えていたから。
「大井先生」
「あ、はい、なんでしょう?」
「最近授業中に高弘君が何故か隣の隣の席に座っているパールさんの方ばかり見ているのですが、何か心当たりはないですか?」
「え、そうなんですか?」
彼女は全く気づいていなかったが直感が働き、
「それはっ、ズバリ恋ですねっ!」
「恋ですか、特定の相手と一緒にいたいという」
「はいっ、間違いありませんっ!」
大井先生はキッパリ言う、
「では、どうすればよろしいでしょうか」
ロボット先生は冷静に訊いた、
「う~ん、難しいですね~、やっぱり自分の好きな人のことは人には話したくないと思いますね~」
するとロボット先生が立ち上がり、
「では私が訊いてみますよ」
「えっ、だから人には」
「問題ありません、ロボットですから」
「いや、あの~」
そして昼休み中ゲームをやっていると、
「高弘君」
「はい」
「放課後、お話があります」
「分かりました」
「では放課後」
「んっ、なんだろう?」
「高弘~、あんたなんかやったんじゃないの~?」
「んなわけねえだろ······たぶん」
秋にちゃかされながらも、彼は全く思い当たらなかった。
――放課後になり呼ばれた高弘は、ロボット先生と一対一で話すことに、
「最近のことなのですが」
「はい」
「授業中、高弘君はパールさんのことを見ていますが、恋ですか?」
「ええーっ、ち、違いますよ~」
「え、違うんですか?」
「全然そういうことじゃないんですよ」
「そうですか~、ではなぜ?」
高弘は下を向いて困った顔をしながら語り出した。
「······実は14日の午後2時ぐらいだと思うんだけど、オレがスマホ見な、普通に歩いていたら」
「――ねえ、お金くんない?」
「エッ、スイマセン」
道端でパールは同級生くらいの女子3人に絡まれていた。それを見かけた高弘は関わったら色々と面倒だと思い通りすぎてしまう。
しかし声が聞こえる。
「あんたさあ、わざと片言で喋ってんじゃないの?」
「イエ、ワタシ日本ゴ、ムズカシクテ」
「じゃあ、オカネクダサイ、分かるか、おいっ!」
「ヤメテクダサイ」
歩いてるうちに会話が止まったのか聞こえなくなり気になって戻ったら、
パールは泣きながら帰って行った······。
「だからオレどうすればいいのか分からなくて、すいません」
高弘はあの時逃げ出した事をとても後悔していた。だから、パールのことが心配でしたかなかったのだ。
その話を聞いたロボット先生が、
「高弘君、勇気を出して言ってくれて、ありがとうございます」
しかし高弘は気持ちが沈んだまま、
「そこで明日は土曜日なので、来週の放課後、今度は高野 パールさんも一緒にお話ししましょう」
「ええっ、でも」
「大丈夫です。私も一緒ですから――高弘君、あの時に逃げてしまった自分と向き合ってみてください」
「······はい、やってみます」
「では今日はこれで、お疲れ様でした。気をつけて帰ってください」
「お疲れ様でした」
高弘は不安を抱えながら学校を後に。
「ロボット先生お疲れ様です。どうでした?」
「はい、問題ありません。来週の月曜日にまた大井先生に報告しますね」
ロボット先生は笑顔で答え、
「はい······」
とりあえず納得する大井先生であった。そして、月曜日の放課後······。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる