ロボット先生

ヒムネ

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特別な日

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 最後はきらびやかなスターマインで花火大会は終わった。
 お客さんもそれぞれ帰るのを見て自分達も帰ろうと話していたらパールが、

「コンド花火、先生ト見タイ」

「先生って、どの?」

「ロボット先生デス!」

「そうねっ、良いかもっ!」
 この綺麗な花火を一緒に観れたらと秋も賛成した。
「でもよう~、ロボット先生って学校から出られないじゃん」

「あ、う~ん」
 高弘の言う通り確かにそうと悩んでいると、
「じゃあ······」
「何? 九美」

「今度の8月5日に花火大会あるから、学校で観るのどうかな?」

「ミエルノ?」
「うん」
「九美ナイスッ、じゃあ今度はそうしよっ」
 スマホで調べてくれた九美の助言により皆で8月5日に学校で集まることにして解散した。

 ――8月5日、幸運なことに今日も快晴だった。なので夕方の6時半ロボット先生はいつも通り掃き掃除や学校の見回りをしていた時に、
「ロボットせ~ん生」
「おやっ、皆さんどうしましたお揃いで」
 秋、高弘、パール、そして九美が集まりなぜ来たのか分からないと不思議そうな顔をするロボット先生。

「ロボット先生、あたし達ロボット先生と一緒に花火観に来たんです」

「来マシタ」
「パールさんが言ってさっ」
「そうですか」

「ロボット先生イツモ1人デ寂シイカラ、ダカラ皆デ入レバ、寂シクナイデスッ!」
 片言だけれども伝えようとするパールの気持ちを感じて笑顔で先生は、
「皆ありがとうございます。では、一緒に観ましょうか」
 ほうきをかたずけ皆で花火が上がるのを学校の入り口の階段で座りながら待つ。
 その間に九美は、
「ロボット先生」
「何ですか? 九美さん」

「いつも、1人で寂しくないんですか?」

 その問いかけに3人も気になった。

「私はAiなので全然寂しくないですよ」

「······そうなんですか」
 その答えに秋と高弘が少し驚き、九美はなぜかちょっとだけ悲しい気持ちになる。でもパールだけは、

「先生ウソ、ダメ」

 そう言うとロボット先生はデジタルな眉を下げ、

「すいません、嘘つきました」

「えっ、嘘?」九美はつい低い声が出てしまう。ちょっとおふざけな先生は夜空を観ながら語った。

「実は半分本当でして、私が学校に来たばかりの時は本当に寂しくはなかったんです。しかし生徒の皆と普通にお喋りしたり、悩みを聞いていたりしていたら、夏休みに1人でお仕事をしていると、寂しいと感じている気がします」

「そうなんだ」
「ロボット先生ニハ、ワタシタチ居ル」
 その言葉に三人も照れながら頷き、
「皆ありがとうございます」
 四人に感謝しながら笑顔で丁寧に言葉を返した。
 皆が話し合っていると他の生徒の姿も、そして待ちに待った夜に花火が上がる。

 赤や青の花火が鳴り、
「先生どお? 花火って綺麗でしょ」
 秋はロボット先生に聞いてみたかった。

「そうですね~、なぜか神秘的な物を感じる気がします。どうしてですかね、不思議ですね~」

「そんな事考えたこともなかったけど······不思議」
 あらためて花火を見上げた九美。
「綺麗だから良いじゃん」
「不思議デ、キレイッ!」
「うん、綺麗ー」

 このあとも花火は次々鳴り、他の生徒もロボット先生と話したりなど彼等にとって特別な日となる。
 ロボット先生はそっと胸に右手を当てロボットである自身の中に暖かい何かを感じ、それはとても気持ちのいい幸せな1日だった······。
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