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バスボムとサプライズ
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「高弘ごめーん、連れてきたわ」
外で待っていた高弘が三人を座らせ、
「んじゃ、始めるぜ」
――まず透明な200グラム用のコップを貰い、色水を選んだ。なお色水は食紅。そのあと、重曹180グラムが入っているポリ袋に、クエン酸60グラム入れて空気を抜いて5秒間位振る。
「ここでゆっくりやらないぞ」
高弘から注意が、
「えっ、何で?」
「遅いと固まらないからな」
「ワカッタ」「はい」
次に、混ぜた袋の中の粉に指でくぼみを作り、そこに色水を掛けて、そして20秒位で上手く混ぜる。最後に透明なコップに全て入れて完成――。
「へ~、皆上手く出来たな」
「うんっ、ありがとう高弘!」
「Wow、キレイ!」
「うん、綺麗」
完成した三人のバスボムは秋が少し薄い赤で、パールは明るい黄色、九美は空色になった。
女子三人が喜んでいるところ高弘が、
「おおいっ、自分の仕事に戻らなくて良いのかー」
「あっ、そうだった」「忘れてた」
「戻ロー、戻ロー」
バスボムで楽しんだのもつかの間、すぐ自分の仕事に戻った三人。
――午後の文化祭も賑わっている中で、秋には思いもしないサプライズが待っていたのだ。
お客さん達に焼きそばを配っている秋、
「はい、どうぞ、次の方」
「焼きそば2つお願いします」
「はい、どうぞ······あっ!」
目の前に現れたのは温泉で助けてくれた看護師の二人だったのだ。
「こんにちは秋ちゃん、元気だった?」
「はいっ、元気です、あれ? 名前······」
「ふふっ、驚くわよね、実は――」
――それは9月中旬、
「もしもし○○高校のロボットの先生何ですが、間城アンさんでしょうか?」
「はあ」アンは警戒しながら聞く、
「何の御用でしょうか」
「はい、うちの高校の生徒が······」
ロボット先生は秋のことを話す――。
「えっ! ホントですか?」
「はい」
「良かったーっ、実は、また会ってみたかったんです――」
「――それで話が弾んで秋ちゃんのことを知ったの」
「私もアンから連絡があって二人でこの日に会いに行くって決めたんです」
「そうなんですか、あたし、お二人に会いたくて、その······」
秋は色々なことが言いたすぎて頭の中がまとまっていなかった。
「ごめんね~仕事中に」
「ごめんっ、5分ほど時間ちょうだいっ!」
アンがそう言って他の生徒に少し時間を貰い屋台から少し離れる。
「私、お二人を見て看護師になりたいって思ったんですっ!」
「えっ、ホントッ?」
「はいっ!」アンは驚いたがすぐ、
「やったね泊!」
だがもう一人の髪の長い女性 泊は冷静に言う、
「簡単じゃないわよ」
彼女の目をジッと見つめてきた。負けるもんかと目をそらさずにしていると、
「カワイ~イ」
「わっ」避けるまもなく抱きしめる泊。
「ごめんね、少し厳しめに言っちゃって」
「泊さん、きつい」秋を離しアンも笑顔で、
「秋ちゃん分かってるでしょ?」
「えっ?」
「学校だって簡単じゃないもんね」
「はい」
彼女は静かに笑顔で答えた。高校生だって決して楽しいだけではない、大学受験や就職活動等そうした様々なことを皆それぞれ頑張っているのだ。そしてそれを乗り越えた先に、より良き未来があると信じている。そう強く想う秋だった······。
「話が長くなっちゃうわね。秋ちゃん、私とLINE交換しない?」
「ホントですかっ、お願いします泊さん!」
「あっ、ずるいあたしもっ」秋はアンと泊、二人とLINEを交換した。
「仕事中ごめんね。でも私達、嬉しかったわ」
「あたし達もう行くけど、頑張ってね秋ちゃん!」
「もうちょっとお話したかったけど、お二人に会えて良かったですっ!」
「ほらほら行って、待たせてるんでしょ」
アンが秋を促すと、
「はいっ、じゃあまた、LINEありがとうございました~」
そう言って手を振り仕事に戻って行った······。
「はぁ~、ホント良い子ね」
「そうね」
「あたし、この仕事やってて良かったって、ホントッ思ったわ~」
「高校生の女の子に、あんなに目をキラキラされたの初めてだわ~」
「ホントに来て良かった」
「うん!」
そう話しながら、間城 アンと黒井 泊の二人はロボット先生に挨拶し満足して帰っていく、秋の未来にほっこりしながら――。
文化祭が終わり皆それぞれかたずけも完了すると秋はロボット先生の元に、
「ロボット先生っ!」
「おや、秋さんどうでしたか?」
「ありがとう先生っ、あたし、すんごくっ、嬉しかったですっ!」
「そうですか、秋さんの喜ぶ顔が見れて先生も嬉しいです」
ロボット先生はいつもの笑顔で返す。すると丁度高弘とパール、九美三人が来た。
「ん? 何か話してたんだ」
「うんっ······先生、ロボット先生はどうしてそこまでしてくれるんですか?」
秋は、ここまでしてくれる先生にふとそう思う。
「フフッ、それは先生だからですよ」
「先生だから······」
九美は呟き、ロボット先生は続ける。
「どういうふうにすれば、生徒が喜んでくれるか、どうすれば生徒の道をサポート出来るのか、そんなふうに日々先生方は皆さんの事を考えているんですよ」
「先生も大変なんだな~」
「でも、凄い······」九美は自分達にそんなことを笑顔で言う先生に感銘をうけていた。
「どうしたの? 皆揃って」
そこに大井先生も来てパールが、
「大井先生モ?」
「もちろん大井先生もですよ」
「はい?」
何のことやらと思っていたら、
「え~っ、大井先生は自分の彼氏作る事を考えた方が良いんじゃねえの~」
高弘が両手を頭に乗っけてニヤケて口を滑らす。
「はっ?」
大井先生の顔が忽ち怖い顔になり怖声で、
「高弘く~ん、先生と今からお勉強しましょう~」
「げっ、ロボット先生助けてっ」
ロボット先生の背中に隠れると、
「良かったですね高弘君」
「秋、助けてっ!」秋は帰りの方を向き、
「あたししーらない、自業自得でしょっ、先生お疲れ様でした」
その流れでパールも、
「サヨナラッ」
九美も、
「お疲れ様でした」
「はい、さようなら~」
三人には笑顔の大井先生。
「皆さん、さようなら」
「ちょっと誰か何とかしてくれよー」
こうして、夕日に照らされた学校は大変な1日が高弘以外は終わり文化祭は幕を閉じた――。
外で待っていた高弘が三人を座らせ、
「んじゃ、始めるぜ」
――まず透明な200グラム用のコップを貰い、色水を選んだ。なお色水は食紅。そのあと、重曹180グラムが入っているポリ袋に、クエン酸60グラム入れて空気を抜いて5秒間位振る。
「ここでゆっくりやらないぞ」
高弘から注意が、
「えっ、何で?」
「遅いと固まらないからな」
「ワカッタ」「はい」
次に、混ぜた袋の中の粉に指でくぼみを作り、そこに色水を掛けて、そして20秒位で上手く混ぜる。最後に透明なコップに全て入れて完成――。
「へ~、皆上手く出来たな」
「うんっ、ありがとう高弘!」
「Wow、キレイ!」
「うん、綺麗」
完成した三人のバスボムは秋が少し薄い赤で、パールは明るい黄色、九美は空色になった。
女子三人が喜んでいるところ高弘が、
「おおいっ、自分の仕事に戻らなくて良いのかー」
「あっ、そうだった」「忘れてた」
「戻ロー、戻ロー」
バスボムで楽しんだのもつかの間、すぐ自分の仕事に戻った三人。
――午後の文化祭も賑わっている中で、秋には思いもしないサプライズが待っていたのだ。
お客さん達に焼きそばを配っている秋、
「はい、どうぞ、次の方」
「焼きそば2つお願いします」
「はい、どうぞ······あっ!」
目の前に現れたのは温泉で助けてくれた看護師の二人だったのだ。
「こんにちは秋ちゃん、元気だった?」
「はいっ、元気です、あれ? 名前······」
「ふふっ、驚くわよね、実は――」
――それは9月中旬、
「もしもし○○高校のロボットの先生何ですが、間城アンさんでしょうか?」
「はあ」アンは警戒しながら聞く、
「何の御用でしょうか」
「はい、うちの高校の生徒が······」
ロボット先生は秋のことを話す――。
「えっ! ホントですか?」
「はい」
「良かったーっ、実は、また会ってみたかったんです――」
「――それで話が弾んで秋ちゃんのことを知ったの」
「私もアンから連絡があって二人でこの日に会いに行くって決めたんです」
「そうなんですか、あたし、お二人に会いたくて、その······」
秋は色々なことが言いたすぎて頭の中がまとまっていなかった。
「ごめんね~仕事中に」
「ごめんっ、5分ほど時間ちょうだいっ!」
アンがそう言って他の生徒に少し時間を貰い屋台から少し離れる。
「私、お二人を見て看護師になりたいって思ったんですっ!」
「えっ、ホントッ?」
「はいっ!」アンは驚いたがすぐ、
「やったね泊!」
だがもう一人の髪の長い女性 泊は冷静に言う、
「簡単じゃないわよ」
彼女の目をジッと見つめてきた。負けるもんかと目をそらさずにしていると、
「カワイ~イ」
「わっ」避けるまもなく抱きしめる泊。
「ごめんね、少し厳しめに言っちゃって」
「泊さん、きつい」秋を離しアンも笑顔で、
「秋ちゃん分かってるでしょ?」
「えっ?」
「学校だって簡単じゃないもんね」
「はい」
彼女は静かに笑顔で答えた。高校生だって決して楽しいだけではない、大学受験や就職活動等そうした様々なことを皆それぞれ頑張っているのだ。そしてそれを乗り越えた先に、より良き未来があると信じている。そう強く想う秋だった······。
「話が長くなっちゃうわね。秋ちゃん、私とLINE交換しない?」
「ホントですかっ、お願いします泊さん!」
「あっ、ずるいあたしもっ」秋はアンと泊、二人とLINEを交換した。
「仕事中ごめんね。でも私達、嬉しかったわ」
「あたし達もう行くけど、頑張ってね秋ちゃん!」
「もうちょっとお話したかったけど、お二人に会えて良かったですっ!」
「ほらほら行って、待たせてるんでしょ」
アンが秋を促すと、
「はいっ、じゃあまた、LINEありがとうございました~」
そう言って手を振り仕事に戻って行った······。
「はぁ~、ホント良い子ね」
「そうね」
「あたし、この仕事やってて良かったって、ホントッ思ったわ~」
「高校生の女の子に、あんなに目をキラキラされたの初めてだわ~」
「ホントに来て良かった」
「うん!」
そう話しながら、間城 アンと黒井 泊の二人はロボット先生に挨拶し満足して帰っていく、秋の未来にほっこりしながら――。
文化祭が終わり皆それぞれかたずけも完了すると秋はロボット先生の元に、
「ロボット先生っ!」
「おや、秋さんどうでしたか?」
「ありがとう先生っ、あたし、すんごくっ、嬉しかったですっ!」
「そうですか、秋さんの喜ぶ顔が見れて先生も嬉しいです」
ロボット先生はいつもの笑顔で返す。すると丁度高弘とパール、九美三人が来た。
「ん? 何か話してたんだ」
「うんっ······先生、ロボット先生はどうしてそこまでしてくれるんですか?」
秋は、ここまでしてくれる先生にふとそう思う。
「フフッ、それは先生だからですよ」
「先生だから······」
九美は呟き、ロボット先生は続ける。
「どういうふうにすれば、生徒が喜んでくれるか、どうすれば生徒の道をサポート出来るのか、そんなふうに日々先生方は皆さんの事を考えているんですよ」
「先生も大変なんだな~」
「でも、凄い······」九美は自分達にそんなことを笑顔で言う先生に感銘をうけていた。
「どうしたの? 皆揃って」
そこに大井先生も来てパールが、
「大井先生モ?」
「もちろん大井先生もですよ」
「はい?」
何のことやらと思っていたら、
「え~っ、大井先生は自分の彼氏作る事を考えた方が良いんじゃねえの~」
高弘が両手を頭に乗っけてニヤケて口を滑らす。
「はっ?」
大井先生の顔が忽ち怖い顔になり怖声で、
「高弘く~ん、先生と今からお勉強しましょう~」
「げっ、ロボット先生助けてっ」
ロボット先生の背中に隠れると、
「良かったですね高弘君」
「秋、助けてっ!」秋は帰りの方を向き、
「あたししーらない、自業自得でしょっ、先生お疲れ様でした」
その流れでパールも、
「サヨナラッ」
九美も、
「お疲れ様でした」
「はい、さようなら~」
三人には笑顔の大井先生。
「皆さん、さようなら」
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