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心残りと修学旅行
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文化祭が終わり10月になった。気温も下がり涼しい陽気に生徒達も皆テンションが自然と上がる。
「行ってきます」
いつものように学校に行く九美だったが家の扉を開けると、
「よう、九美」
「真紀、葵」
真紀は巻き髪ロングで両耳にピアスをしていて、葵はパーマ系リーゼントをしていつも細目で冷たい目をした不良女子。この二人と秋やロボット先生に説得される前まで一緒だったのだ。
「面かしな」二人が睨む。
「どうしたの?」
お母さんの声して、
「うん、何でもない行ってきます」
家を出て近くの道で彼女達は、
「文化祭の時といい、すっかりいい子ちゃんになったな九美」
ため息をして目をつぶりながら、
「何が言いたいの?」
「何で裏切ったんだよ」
すると九美は目を開き、
「これがあたしがしたい事だったの。ホントは学校好きだった勉強が好きだった、それを先生や先輩が教えてくれたのよ、だから」
自分の想いを口にする。でも、
「へっ、そうかい、どうやらもう戻る気はないみたいだな」
「真紀、ごめん」
「これであんたとは終わりだ、あばよ」
葵はそう言い捨て二人は立ち去る。
「あたしは······」
二人には孤独な時仲間だったこともあり、複雑な気持ちになる九美だった――。
心残りなまま11月と寒くなってきたが2年生にとって待ちに待った修学旅行の時がやって来た。のだが、
「はぁ~」九美は行きたくなかったのだ。
「秋先輩」
昼休みに修学旅行のことを相談しに教室へ来ていた。
「修学旅行に行った方が良いのかな~」
「え、行きたくないの?」
「うん」
「どうして?」
「だってあたし、友達だって······先輩達しかいないんですよ」
そう言われてみれば九美は、秋、パール、高弘達といるのがほとんど、
「そうか~、う~ん、ねえっ、一応どこ行くの修学旅行」
「行き先は、京都です」
京都といえば唯一日本の伝統が残っている花の都。
「じゃあ、えっと、確か~清水寺とか行くのよね?」
「多分そうかと~」
「あたしは行った方が良いと思うけどね」
「う~ん······」
九美は答えが出ずロボット先生にも訊いてみようと職員室に向かうが、
「無理か~」他の生徒が話していた。
ロボット先生が来てから半年以上たち、慣れた生徒が相談することが増えたのだ。
そういう訳で九美は放課後――。
「ロボット先生!」
「おやっ、九美さんどうかしましたか?」
「はいっ、実は――」
修学旅行を迷っていることを話す。
「――そうですか」
「あたし友達もいないし、別にいく意味なんて」
「意味はあると思いますよ」
すぐ答えが帰ってきた。
「そうですか?」
「はい、自分の足で色々観て、行って、感じる。とても良い経験が出来ると思います」
「はあ~」
それでもまだ踏み切らない九美を見て、
「羨ましいですね」
「どうしてですか?」
「私はこの学校から出たことないので」
「あっ、そうか、でも、どうして?」
改めて疑問に思う。
「私は国の、国民のお金で動いているんです」
「国民のお金で?」
「そうです、これは実験なんです。ですので······」
「勝手に行動出来ない、ですか?」
「はい、そうです」
ロボット先生はいつもの笑顔に九美は少し考えて、
「······ロボット先生、あたし何となく行ってみます。何となくですけど」
「はい、何となく行ってみてください」
「ありがとう先生、さよなら」
「はい、さようなら――」
帰り道にぼーっと夕焼け空を見ながら、秋やロボット先生と話し何となくという軽い気持ちに切り替えて、
「ふーっ、行ってみるか」
行くことに決めた······。
「行ってきます」
いつものように学校に行く九美だったが家の扉を開けると、
「よう、九美」
「真紀、葵」
真紀は巻き髪ロングで両耳にピアスをしていて、葵はパーマ系リーゼントをしていつも細目で冷たい目をした不良女子。この二人と秋やロボット先生に説得される前まで一緒だったのだ。
「面かしな」二人が睨む。
「どうしたの?」
お母さんの声して、
「うん、何でもない行ってきます」
家を出て近くの道で彼女達は、
「文化祭の時といい、すっかりいい子ちゃんになったな九美」
ため息をして目をつぶりながら、
「何が言いたいの?」
「何で裏切ったんだよ」
すると九美は目を開き、
「これがあたしがしたい事だったの。ホントは学校好きだった勉強が好きだった、それを先生や先輩が教えてくれたのよ、だから」
自分の想いを口にする。でも、
「へっ、そうかい、どうやらもう戻る気はないみたいだな」
「真紀、ごめん」
「これであんたとは終わりだ、あばよ」
葵はそう言い捨て二人は立ち去る。
「あたしは······」
二人には孤独な時仲間だったこともあり、複雑な気持ちになる九美だった――。
心残りなまま11月と寒くなってきたが2年生にとって待ちに待った修学旅行の時がやって来た。のだが、
「はぁ~」九美は行きたくなかったのだ。
「秋先輩」
昼休みに修学旅行のことを相談しに教室へ来ていた。
「修学旅行に行った方が良いのかな~」
「え、行きたくないの?」
「うん」
「どうして?」
「だってあたし、友達だって······先輩達しかいないんですよ」
そう言われてみれば九美は、秋、パール、高弘達といるのがほとんど、
「そうか~、う~ん、ねえっ、一応どこ行くの修学旅行」
「行き先は、京都です」
京都といえば唯一日本の伝統が残っている花の都。
「じゃあ、えっと、確か~清水寺とか行くのよね?」
「多分そうかと~」
「あたしは行った方が良いと思うけどね」
「う~ん······」
九美は答えが出ずロボット先生にも訊いてみようと職員室に向かうが、
「無理か~」他の生徒が話していた。
ロボット先生が来てから半年以上たち、慣れた生徒が相談することが増えたのだ。
そういう訳で九美は放課後――。
「ロボット先生!」
「おやっ、九美さんどうかしましたか?」
「はいっ、実は――」
修学旅行を迷っていることを話す。
「――そうですか」
「あたし友達もいないし、別にいく意味なんて」
「意味はあると思いますよ」
すぐ答えが帰ってきた。
「そうですか?」
「はい、自分の足で色々観て、行って、感じる。とても良い経験が出来ると思います」
「はあ~」
それでもまだ踏み切らない九美を見て、
「羨ましいですね」
「どうしてですか?」
「私はこの学校から出たことないので」
「あっ、そうか、でも、どうして?」
改めて疑問に思う。
「私は国の、国民のお金で動いているんです」
「国民のお金で?」
「そうです、これは実験なんです。ですので······」
「勝手に行動出来ない、ですか?」
「はい、そうです」
ロボット先生はいつもの笑顔に九美は少し考えて、
「······ロボット先生、あたし何となく行ってみます。何となくですけど」
「はい、何となく行ってみてください」
「ありがとう先生、さよなら」
「はい、さようなら――」
帰り道にぼーっと夕焼け空を見ながら、秋やロボット先生と話し何となくという軽い気持ちに切り替えて、
「ふーっ、行ってみるか」
行くことに決めた······。
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