家出迷子のお兄ちゃん

ヒムネ

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約束

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「こっ、これって、夢か?」

「う~ん、現実、だね」


 それはお兄さんのマンション入り口から出た先に丸いオレと同じくらいの大きさのゲートみたいなのが。


「こっから、オレ、きたってことなのか」

「うん、そうみたい」


 お兄さんが言うにはオレの新品の漫画本はなんと30らしくてこの時代には無く過去から来たなんて言うんだ。


「ははっ、だからそれに気づいたときには少し驚いたよまさか2022年の子供に出会うなんて」

「笑うなっ、そういう大切なことってもっと早く言うことなんじゃないの」


「ごめんゴメン・・・じゃあゲートに入って」


「あ、う、うん」


「短い間だったけど、楽しかったよ柚希ゆずき君、元気で生きてね」


「・・・あっ、あのさっ」


「ん?」


「昨日の話しなんだけど」


「兄さんのかい?」


「うん・・・その・・・オレなりに考えてみたんだけど、オレだったら『医者なんて良く立派に育った、お前はオレの最高の弟だ、これからも沢山の人を救ってあの世に来たらまた話を聞かせてくれ』っておもった」


「・・・フフッ、ハッハッハッ、たしかに兄さんならそう言いそうだハッハッハッ」


「そ、そんなに笑うことかよ・・・じゃあ、色々ありがとうございました」


「うん、弟と仲良くね」

「うん!」


 こうしてオレは元の自分の時代に帰った。

 そういえば、あのお兄さんの名前聞くのすっかり忘れてた。うまくいけばオレの時代でも会えたかもしれないのに、ちぇっ。


「ありがとう、兄さん――」


 そこはオレが恐怖した森だ。日が照らされていつもの森になってて普通に抜け出せた、迷惑をかけて悪い気持ちで頭をさすりながら自宅近くに戻ると、


「ゆ、柚希っ!」

「あ、母さん、た、ただいま」

「もう何やってたのよっ、うえ~んっ」

「柚希っ!」

 父さんもやってきて両親に抱きつかれる、心配してくれて嬉しかったけどオレは母さんを泣かせちゃって胸が痛い。それと、


「ひのまる・・・」


「ぐすっ、にいちゃん」


「ごめんな」


「おにいちゃぁ~んっ!」


 弟は泣きべそをかいていた。陽之丸ひのまるはずっとオレが家を出たのは自分のせいだと泣き続けていたって母さんが言って・・・オレも泣いちまった。


「ぐすっ・・・父さん母さん、ごめんなさい、それと陽之丸ゴメンな兄ちゃんが家出なんかして」

「にいちゃん帰ってきてうれしい」


「なぁ陽之丸」


「ぐすっ、なににいちゃん」


「陽之丸は兄ちゃんがずっと護ってやるからなっ!」


「ホントに!」


「ああっ、兄弟の約束だぁっ!」


                  ―おわり―
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