~赤き龍が町娘に恋をした~

ヒムネ

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炎と水の守護龍

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「わ、私が死ねば、この浸水は」



「本来ならばそこの人間全てに責任を負わすところだが、今回は私の計らいでお主の命一つで津波、浸水を失くそう」



 フローティアの人達の命と自分の命、二者択一を迫られた彼女はゆっくりと足を一歩二歩と進む。


「そうだ、しっかりと頭から落ちろ。でなくては死なぬかもしれんからな」


 まるで黄泉の国へと近づいて行くように歩いていく、


「ロマーヌさん、そっちは······ロマーヌさんっ!」


「ピィッ!」


 フィンは咄嗟に後ろから抱き、


「ロマーヌさん、死ぬ気かっ」


 落ちそうに見えた彼女をニ歩手前で止めたのだ。


「一体どうしたんです、何を言われたんですか!」


「それは――」


 ブルー·ドラゴンに告げられた事を話すと、


「ロマーヌさんの想い人とは······レッド·ドラゴンだったなんて」
 


「こうなってしまったのは全部私のせいなんです。レッド·ドラゴンに好意を持ってしまった私の」



「止めなさいロマーヌ!」「ロマーヌちゃん」



「本当にごめんなさいお母さん、ブルー·バード、ブレットおばあちゃん」


 少しずつ後ろへ足を進み、


「止めてロマーヌさんっ!」「ピィピィッ!」


 自責の念にかられ、彼女は目をつぶり三階から飛び降りた······。



『レッド·ドラゴンさんごめんなさい、約束、守れなくて』



『それでいいのか? ロマーヌ』



 聞き覚えのある声と羽ばたく音にロマーヌが目を開くと、



 そこはあの世ではなく、レッド·ドラゴンの手の平だった。



「レッド·ドラゴン······さん、うっうっ、私、わたしっ、うわぁあーっ!」



 一度は死を覚悟した彼女は緊張の糸が切れ泣く。


 そのロマーヌを優しくそっとフィン達に預ける。


 周りはもう一匹の龍に驚くが、


「あぁロマーヌー!」「ロマーヌちゃん」


 娘の無事にただただ大粒の涙を零す。


 次に彼は精神感応テレパシーで、


「一体何があった青年よ」


「うわ、僕の中に話してきた」


 目の前のレッド·ドラゴンの迫力に押されながらも何とか落ち着かせ、


「あの海の方にいる、あなたとそっくりな青い龍が、ロマーヌさんを脅したんです。死ななければ町を沈めると」


「なん、だと······」


 ゆっくりと上昇しながら後ろを振り向くとブルー·ドラゴンの姿が、そして、



「グォォォーっ!」



 怒りの雄叫びを上げた。


 町の皆は怯み近くの陸海空の生き物全てが逃げ出すほどだった。


 叫び終わり翼の羽音だけになると静かに海に寄って精神感応テレパシーを送る。


「貴様、ここで何してる」


「お前こそ何しに来た」


 赤い龍と青い龍が睨み合っているのを屋根の上で息を呑む人々、精神感応テレパシーによる会話は続く、


「先に質問したのは我だ、答えろブルー!」



「······お前と同じ、仕事だよ」



「我と同じだと? フローティアを襲う事がか」


「多少の犠牲は厭わん、人間など放っておけばいくらでも増えるのだからな。なら貴様を惑わした人間に罰を与えるのが当然ではないか」


 そんな事だろうとレッド·ドラゴンは思っていた。


 だからといってまだ二十歳にも満たないロマーヌ自身と浸水している町とを天秤に掛けさせるなど、



「許されると思うな······」



 ブルー·ドラゴンの脳内に静かで、だが怒りも込めた言葉を送る。


「秩序どころか、貴様の身勝手で弄びおって」



「お前が何をしようとしているかわかるが、良いのか? を壊して」


 不敵な笑みを浮かべる彼女。



 だが、



 怒りのファイヤー·ブレスが襲ってきてブルー·ドラゴンは即座に海の中に避難する。



「これが答えだ、ブルーッ!」


 すると大きな水飛沫を飛ばし海から出てきた青い龍が翼を羽ばたかせ、


「レッド、調子に乗るなよ」



「我は誇り高きレッド·ドラゴン、貴様を噛み殺すっ!」



「図に乗るなっ、我はブルー·ドラゴン、貴様を海の藻くずにしてやるわ―っ!」



 誰も手を出せない赤と青の龍による戦いが始まった······。
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