12 / 63
バレた
しおりを挟む
「いいよ」
三十分後に着いたんだけど、
「隅野さん!」
大雪の中、四時間の疲労による熱が出て倒れてしまった。
徹の家のソファーに横になり、
「ごめんね、道長君」
「いいから、毛布かけて」
「ありがと」
「あと風邪薬飲んで、ホラッ」
薬箱から持ってきてくれた薬を飲む。この時ホント優しい人だと思ったなあ······。
しばらくしても熱は下がらず、
「三十八度、両親に迎えに来てもらおうよ」
「うん、連絡、するね――」
自宅に電話を掛け迎えに来てもらう事にしたの。
「どうだった?」
「お父さん帰って来たら向かうって」
「そうか、良かった、じゃあそれまで眠ってな」
「うん」
私は素直に眠らせてもらった······。
「うっ」
目が覚めて、迎えがまだのことに気付く。
「道長君」
「目覚めたんだ、調子どう?」
徹はキッチンの方にいて、
「はい、おかゆ」
「え~、ありがとう」
温かい丁度良い温度のおかゆを頂いた。
「道長君って家庭的なのね」
「え、そ、そんなことはないよ」
「もう八時か~」
「少し楽になった?」
「うん、薬が効いてきたみたい」
「ホッとするよ」
「もうクリスマスに近いね」
「そうだね」
このあと、お喋りしたり、ゲームしたりして無理して来て良かったと思うくらい楽しい時間を過ごした······。
そして、夜の十一時にスカイカーが来て、
「今日はごめんなさい、迷惑かけちゃって、それと、おかゆありがとう、嬉しかったよ」
「う、うん、良かったよ、それじゃあね」
「うん、じゃあね――徹くん」
「えっ?」
この時から、彼を下の名前に君を付けて呼ぶようになった······。
「――あの時のおかゆ、嬉しかったな~」
「あの時の寝顔、可愛かったな~」
そう思い返す二人、
「······あんまり心配させるなよ」
「うん」
気づくと夜になり、二人は家に帰った······。
昨日の仕事で休日を貰った私は、愛にLINEで、
「昨日はごめんね、仕事忙しくてさ~」と送る。
するとお昼に、
「分かってる。今日仕事終わったら、会わない?」
「OK!」と返して会うことに――。
午後五時二十分。いつものカフェ·バタフライで愛に会う。
「お待たせー」
「元気だった? 未来」
愛は一足早く着いていた。
「元気元気~ーー仕事は大変だけどね」
「それってー、本当に元気なの?」
何か怪しまれてる気がする。
二人で飲み物を注文すると、愛が大きく溜め息を吐き、
「はぁ~、はいこれ」
自分のスマホをバックから出してテーブルに置く。
「何?」
愛が動画で見せたのは、
「こっ、これはっ······え~、どういうこと?」
マザー·ガーディアンから降ろされていた私の姿。そしてニュースの記事には『気候獣消滅⁉ 晴れた空に希望の光』とある。
「気候獣と台風を消した。ニュースになるのは当たり前でしょ」
よく考えてみたらそれはそう、普通の事ではない大変な事をしたのだ。
「そーれーにっ、私に内緒にしてたしっ!」
「んげっ、ゲボッ、ゲボッ」タピオカでむせる。
「未来っ、あたしが心配性って知ってるでしょっ!」
「ごめんなさ~い。愛に心配かけたくなくて~」
「動画とか記事になるような事を隠せるわけ無いでしょう、もう、バカなんだから。そう言えば高校の時も――」
高校二年の春休み、私と愛は二人で蝶都市のショッピングに出かけようと大村駅に集合した。
「おまたせ······ハァッ、ハァッ」
「未来、大丈夫?」
熱があったのに黙ってたの。そのため当然、
「う~······」
「未来っ、すごい熱っ」
電車に乗る前に愛が体調の悪さに気付いてくれて、
「もう~、熱があるなら言ってよう~っ!」
「ご、ごめん~」
結局、愛が私を家まで連れて引き返す事に······。
三十分後に着いたんだけど、
「隅野さん!」
大雪の中、四時間の疲労による熱が出て倒れてしまった。
徹の家のソファーに横になり、
「ごめんね、道長君」
「いいから、毛布かけて」
「ありがと」
「あと風邪薬飲んで、ホラッ」
薬箱から持ってきてくれた薬を飲む。この時ホント優しい人だと思ったなあ······。
しばらくしても熱は下がらず、
「三十八度、両親に迎えに来てもらおうよ」
「うん、連絡、するね――」
自宅に電話を掛け迎えに来てもらう事にしたの。
「どうだった?」
「お父さん帰って来たら向かうって」
「そうか、良かった、じゃあそれまで眠ってな」
「うん」
私は素直に眠らせてもらった······。
「うっ」
目が覚めて、迎えがまだのことに気付く。
「道長君」
「目覚めたんだ、調子どう?」
徹はキッチンの方にいて、
「はい、おかゆ」
「え~、ありがとう」
温かい丁度良い温度のおかゆを頂いた。
「道長君って家庭的なのね」
「え、そ、そんなことはないよ」
「もう八時か~」
「少し楽になった?」
「うん、薬が効いてきたみたい」
「ホッとするよ」
「もうクリスマスに近いね」
「そうだね」
このあと、お喋りしたり、ゲームしたりして無理して来て良かったと思うくらい楽しい時間を過ごした······。
そして、夜の十一時にスカイカーが来て、
「今日はごめんなさい、迷惑かけちゃって、それと、おかゆありがとう、嬉しかったよ」
「う、うん、良かったよ、それじゃあね」
「うん、じゃあね――徹くん」
「えっ?」
この時から、彼を下の名前に君を付けて呼ぶようになった······。
「――あの時のおかゆ、嬉しかったな~」
「あの時の寝顔、可愛かったな~」
そう思い返す二人、
「······あんまり心配させるなよ」
「うん」
気づくと夜になり、二人は家に帰った······。
昨日の仕事で休日を貰った私は、愛にLINEで、
「昨日はごめんね、仕事忙しくてさ~」と送る。
するとお昼に、
「分かってる。今日仕事終わったら、会わない?」
「OK!」と返して会うことに――。
午後五時二十分。いつものカフェ·バタフライで愛に会う。
「お待たせー」
「元気だった? 未来」
愛は一足早く着いていた。
「元気元気~ーー仕事は大変だけどね」
「それってー、本当に元気なの?」
何か怪しまれてる気がする。
二人で飲み物を注文すると、愛が大きく溜め息を吐き、
「はぁ~、はいこれ」
自分のスマホをバックから出してテーブルに置く。
「何?」
愛が動画で見せたのは、
「こっ、これはっ······え~、どういうこと?」
マザー·ガーディアンから降ろされていた私の姿。そしてニュースの記事には『気候獣消滅⁉ 晴れた空に希望の光』とある。
「気候獣と台風を消した。ニュースになるのは当たり前でしょ」
よく考えてみたらそれはそう、普通の事ではない大変な事をしたのだ。
「そーれーにっ、私に内緒にしてたしっ!」
「んげっ、ゲボッ、ゲボッ」タピオカでむせる。
「未来っ、あたしが心配性って知ってるでしょっ!」
「ごめんなさ~い。愛に心配かけたくなくて~」
「動画とか記事になるような事を隠せるわけ無いでしょう、もう、バカなんだから。そう言えば高校の時も――」
高校二年の春休み、私と愛は二人で蝶都市のショッピングに出かけようと大村駅に集合した。
「おまたせ······ハァッ、ハァッ」
「未来、大丈夫?」
熱があったのに黙ってたの。そのため当然、
「う~······」
「未来っ、すごい熱っ」
電車に乗る前に愛が体調の悪さに気付いてくれて、
「もう~、熱があるなら言ってよう~っ!」
「ご、ごめん~」
結局、愛が私を家まで連れて引き返す事に······。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる