~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

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     鳥型気候獣

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「······あ~、そ、そんなこともあったね~」
 あの時は、まぁ大丈夫だろうと軽い気持ちで行った記憶がある。
 このあとも一時間、失敗談の話は続いた······。

「もう一時間たったんだ~。そろそろ帰らないと。ごめんね~、あたしばかり話して」
「う~ん、私、変な人間かも~」
 こっぴどく注意されてぐったりテーブルに横顔を付ける。
「ごめんね、愛」
「ふ~、もういいわっ――未来、今の仕事続けるの?」
「うん――お義母さんに認めてもらえるまでは、続ける」
「······そっか、お互い頑張ろう」
「うん」
「じゃあまたね、み·ら·い」
「じゃあ――ん?」
 今日はどうなるかと思ったけど、これで気にせず仕事に集中出来る。明日、霞さんに気に入られるために頑張らなくっちゃ――。

 ――次の日、
「おはようございます社長」
 会社に入ってすぐ社長室に呼ばれた。
「······おはよう」
 霞さんは嫌そうに返す。
 でも落ち込む訳にはいかない。
「早速だが、また台風が日本の南に発生した。三日後に和歌山に行ってくれ」
「え、はい、分かりました!」
 返事をしたあと霞さんは、以前のように目も合わせず社長室から出ようとしたので、
「社長、あの······お食事でも一緒にどうですか?」
 勇気を出して誘ったが、黙って出ていってしまう。

「······訓練しなくちゃ」
 頑張る、けど、無視されると結構傷つく。負けるもんかと自分に言い聞かす。でも、社長室一人やけに虚しかった······。
 
 帰りのスカイカーの中で、
「徹、またマザー·ガーディアンに乗る事になった」
「――台風が来るから、やっぱりか」
「止めないの?」
「言ったって、止まらないだろ」
「エヘッ、止めないよ」
 今度はちゃんと徹に話したから、これで安心······。

 ――3日後の早朝、私は和歌山県の潮岬灯台の岬で、マザー·ガーディアンに乗っていた。前回より風が弱く、その分不安が和らぐ。
「未来さん、落ち着いて良い感じですね」
「二回目だしね」
「これなら私もサボって良いですね」
「······冗談言ってるの?」
「はい、冗談です」
「――ブツわよ」
 チャイルドと会話しながら岩にしがみつき、台風の目まで待つ――。
 日が出ると、
「よしチャイルド、探索お願い」
「はい······発見しました」
「どこっ?」

「上空です」

「上空?」
 見上げてよく探すと雲が鳥の形をした気候獣だ。目も雷のような感じで前の気候犬と同じ、何故こんな鳥が存在するのかホント不思議。
「どうやって触ろう······」
「誘い出すしかありません」
「やっぱそうよね」
 とりあえず手を振ってみる。
「やっぱり降りて来ないわね」
 どうすればいいか一旦考えてみた。
「空飛べたり出来ないの?」

「······無理ですね」

「じゃあやっぱり」

「未来さん!」
「え、うわーっ!」
 衝撃と共に機体が傾く。

「なになに?」
「気候獣がマザー·ガーディアンの背部を攻撃してきました」
 コックピットの方は、衝撃はほとんどなくお腹の子の心配はない。だけど、
「もうっ、急に襲って来るなんて、チャイルド」
「はい」
「また襲って来たら教えてっ」
 そして私は同じ行動をする。
 手を振り、さっきと同じように考えたフリをした。
 すると、
「来ました!」
「今だっ······遅かった」

 それを二度三度繰り返す。

「ハァ、ハァ······」
「未来さん、長期戦は不利なので気を付けて下さい」
 このままじゃ、いずれ精神が切れて当然マザー·ガーディアンは止まり、私が倒れて子供も危ないかも知れない。絶対なんとかしないと、そう強く思っていた。
「ねえ、このエネルギー体の手って形変えられる?」
「変えられません」
「そうよね······」
 変えられたらチャイルドが、真っ先に言ってくれるはずだから。
 イメージを離さないまま頭の中を整理する。
 
 手を振って、考えたフリをすると、襲いに掛かり、チャイルドの声で動く。それを四回繰り返した。
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