~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

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      お母さん

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「――それでさー、チャイルドが質問してきたの」
「へ~、AIだから気になるのかな?」
 帰りに今日のチャイルドの事を徹と話していた。
「ホントッ、珍しいチャイルドだったな~」
「ホラッ、もうマンションに着くよ」
 私達はマンションの二階に住んでいるんだけど、ドアの前で人が、
「あの、どちら様」

「未来、来ちゃった」

 なんと、

「マッ、お母さんーっ!」

「え、母さん?」
 徹も上がって来ると、
「未来のお母さん!」
 ちょっと声聞きたかっただけで電話したことが、
 とんでもない事になってしまったの、
 おいおいおい~······。

「······はい麦茶」
「ありがとう、未来」
「未来のお母さん、座布団どうぞ」
「ありがとね、徹君」
 テーブルには私と徹が隣に、その前にお母さんが座った。

「それで、どうしてきたのっ!」

「どうしたのよ~、そんなに怒って~」
「連絡もなしに急に来たら、誰だって怒るわよ」
「未来、落ち着いて」
「そんなに怖い顔して~」
 と言いつつ麦茶を一口飲んで、
「それで、どうしたの?」
「えっ」
「昨日元気なかったけど」
「そうなのか、未来?」
「えっ······と、だから少し声聞きたかっただけって言ったじゃん」
 二口目の麦茶を飲み、
「昨日の事、お父さんにも話したら心配してたわよ」
「だから、そんなに心配する事じゃないんだって」
「そうっ、それじゃせっかくだし徹君にも訊くわ」

「ええっ、オレですか?」
 
 私は、余計な事言うな~っと徹に心の中で念を送る。
「み、未来は妊娠してちょっと気分が沈んだだけかと······」
「えっ、妊娠?」

「ああ~徹~」

「えっ、何っ、言ってなかったの?」

「おめでとう~、よかったじゃな~いっ!」

「うん、ありがとう、ははっ······」
「徹君もっ!」
「は、はいっ!」
「あら~、余り嬉しそうじゃないわね、気のせい?」
「きっ、気のせいよっ、妊娠してるんだから不安にだってなるでしょっ」
「それもそうね~」
「ふう~」

「じゃ~、いつ挙式あげるの?」

「きょっ、挙式は······」
 挙式したいから今頑張ってるつーの、とは言えないし、すると徹が、
「もっ、もちろん挙式はしますよ。だから、お金を貯めてまして、ね、未来」
「そ、そうそう!」

「そうなのね~。未来はどこの職場で働いてるの?」

 ヤバい、何も思い付かないと徹の顔を見る。
「じっ、自分の母の会社で、手伝ってもらってます」
「あら、そうなの?」
「ちょっ、ちょっ徹······そうなのパソコンで少~しね」
「徹君の会社って~······どんな所?」
「株式会社マザー·クリエイト、母が創設した会社です」
「そうだったの~、良かったじゃなーい、逆玉ね、未来」
 人の気も知らないでお母さんは――そう思っていたら、

「今日ママ、ここでお泊まりするわね」

「えっ、ちょっと電車とかバスあるでしょっ!」
「いいじゃな~い、冷たくなったわね~未来」
「お父さんどうするのよっ」
「大丈夫っ、言っといたから」
「もう~」
「まあ、いいじゃないか未来」
「え~?」
「話し合って、今七時くらいだし、今日くらい」
「······ったく、今日だけよ」
「やった~!」
「徹、ご飯作ろう」
「うん」
「あら、仲良いのね~」
「からかわないでよ」
「キャッ、赤くなっちゃってカワイイわよ未来」
「も~っ!」
 地獄のような質問攻めが終わった。色々な悩みを抱えてる時にお母さんが突然現れて、やれやれとため息をするが明日、このお母さんの嵐にのみ込まれる······。
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