~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

文字の大きさ
44 / 63

   申し訳ありませんでした

しおりを挟む
「未来、ここを出よう」

「うん······ぐすっ」

「どっか出口でもあれば······」
「多分、大丈夫」
「えっ」
「······徹、私の気持ちを感じてみて」
「え、どうやって」

「素直になるの」

「素直――うっ」
「徹っ?」
「ちょっと無理したからね、でも大丈夫だよ」
「じゃあ、最初は恥ずかしいかもしれないけど、素直になって私を感じて」
「うん······」

 未来に自分が愛されている想いが、

「あっ、わかるよ――」


「――うっ」
「未来っ?」
「その声お母さん? 真っ暗なんだけど」
「未来君、それはゴーグルだよ、取ってっ」
「誰、ゴーグル?」
 H·T·Mゴーグルを取り、
「ふう~っ」
 周りを見て泣いてるあたしの両親に愛、生月先生、

「······いったいなんですか?」

 すると愛が、
「も~、あんたは······」
 これまでの事を愛が説明してくれた······。
「二週間も······」
「そうっ、皆心配してたのよ」
 私は立とうとしたら、
「あら?」
 頭がクラッとする。
「未来」
「お母さん、大丈夫よ」
 そう言うと、
「無理もないわ、二週間も眠ってたんだから」
「はい、生月先生」
 仕方がないので、ベッドに座りながら、

「皆さん、ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

 皆に謝罪すると解散するように、
「社長、私仕事に戻ります」
「ああ、すまないね、心拠」
「はい、じゃあね、未来」
「ありがとうね、愛」
「今度は未来のおごりよ」
「うんっ」

「ありがとうね、愛ちゃん」
「ホントッ、ありがとう」
「いいんですよ、おじさん、おばさん」
 そう言い愛は仕事に戻って行った。

「あっ、生月先生······子供は·····」
「大丈夫、問題ないわ」
「はぁ~よかった~」
 私が話している時霞さんと創造さんは、徹からH·T·Mゴーグルを外す。

「徹、大丈夫なんですか?」
「初めての同調で気絶したんだろ」
「未来君と同様に休ませなければ」

「あなたが徹のお父さん······」

「あ~、実際に会うのは初めてだね、道長 創造、よろしく」
「あっ、隅野 未来です、よろしくお願いします」
「ははっ、ホントッ、明るい人だね君は、徹が惚れる訳だ」
「いえ、そんな······」
 照れると、
「コホンッ、じゃあ、あたしは戻るぞ」
 霞さんが出ようとしたので、

「あのっ」
「あの、霞さん」

「お母さん······」

「家の娘をありがとう。私、あなたを勘違いしていたわ」
「――別に、礼を言われる事じゃないよ」
 そう言い捨てて行ってしまった。やっぱり霞さんはカッコイイ。

「ふ~っ、じゃあ未来、あたし達も行くよっ」
「あ、うん、ありがとね、お父さんもお母さんも」
「畑の仕事を中断してまで来たんだからねっ」
「うん、分かってる」
「じゃあな未来、パパとママにあまり心配かけないでな」
「うん、ありがとう······パパ」
 その言葉に嬉しそうに帰って行った。

 創造さんがH·T·Mを片付けて、私は眠っている徹を見る。
 目には熊が出来て、更に少し痩せた感じ。無理してあのH·T·Mを作ってくれたって、必死で······感謝と反省でいっぱい、

「徹、大好きだよ······」

 生月先生は静かに出ていった。
 私はずっと徹を見つめていた······。

 でも、この問題はまだ続く······。

 午後五時半頃、私はずっと眠っていたため患者衣から私服に着替えて、眠っている徹を看ていたの。
「徹、起きないですね」
 つい心配になり、生月先生に愚痴る。
「無理もないわ、あの機械を作るのにほとんど寝ずに作業していたから、きっとその分も眠ってるんだと思うわ」
「そうですね」

「私は帰るけど元気だして、彼の力の元はあなたなんだから」

「はい」
「あとっ、未来さんは病み上がりなんだから一週間は安静にっ、分かったっ?」
「は、はいっ」
 何か生月先生、少し怒ってたような気がする。
 そこに丁度、創造さんが、
「生月先生は帰ったようたね。はいっ未来君、これ食べて」
「はい、いただきます」
 コンビニのお弁当を買ってきてくれた。

 二人で食してる時に私は気になった事を訊く、
「······あの~、徹のお父さんは、その~······帰っちゃうんでしょうか?」

「やるべき事をやったらアメリカに帰るよ」

「そうですか~······あの~、もう一つ伺ってもいいですか?」
「ん、ああ、いいよ」

「失礼ながら、どうして社長はあんなに私と徹の結婚を反対するんでしょうか······」

「ん~」

「いえっ、話したくないならいいんです······ただ、その、やっぱり辛くて······」

「君にも話しておこう」
 私は、霞さんと創造さんの出会いと別れを聞いた――。

「······そんな、お義母さん可哀想······」
「ああ」
 正直酷すぎる、私だったらきっと耐えられない······けど、目の前に座ってる創造さんがしたとはとても思えない話。
 でもこれじゃあ、許してもらうのは難しいような気がする。だって、
「お義母さんは、結婚そのものが反対なのかもしれません」
「そう、かもしれない」
「ご馳走さまでした、お義父さん」
「ん、ああ、では私が捨ててこよう」
「ありがとうございます」
 創造さんがゴミを捨てに出ていった。

「はぁ~、前途多難だな~」

 その時、

「うっ、う~ん」

「徹っ!」
 彼が目を覚まして、
「徹~っ!」

 抱きつく、

「うわっ、ちょっと」

「よがっだ~どおる~」

 しかし、

「離してください!」

「えっ?」

 徹は、

「あなたは誰ですか?」

 記憶を無くしていたの······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

処理中です...