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会議 【後編】
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確かに社員の人がいう通り、これだけ派手に動いてればメディアやネットは注目するに決まってる。
「台風の到達期間はどれくらいだ」
「今のスピードのままなら一週間後の十一月十日午前七時です社長」
「そうか、他に意見ある者」
他にも、
「隅野さんと別に妊婦さんを雇うというのは?」
「一週間で面接、手続き、それに訓練も入れるととても現実的ではありませんよ」
「では、やはり中止にするべきでは?」
「今、会見を開いて会社の損害も最小限に減らすという手も」
「それは最後の手段ですよ」
「未来さん」
「はい」
女性社員の人が、
「気候獣が融合する前に、すぐ最初の一匹と同調すればどうですか?」
「え、まあ、それなら······」
私のこの言葉で話は一気に進む。
「おお、ではそうしましょう!」
「私もその策に賛成です」
「私もです」
『現れた気候獣とすぐ同調する』その方向に決まりそうな時、
「ちょっと待って下さい」徹が立ち、
「最初にって、二匹同時に現れたらどうするんですか?」
「それは無いと思われます、何故なら台風二つ来ると言っても上陸は多少ズレますし、二匹同時はありえません」
「では、前回のように一つの台風に二匹の気候獣が居たら?」
さっきまでの雰囲気が静まる。
もし一つの台風に二匹いれば、二つの台風の中に合計四匹の気候獣が居る事に。でも、それよりも私の頭の中では二つの台風と気候獣四匹だった場合の被害の事で心配になっていて、
「あの······」
「未来?」
「もし、二つの台風と最悪四匹の気候獣が現れたら、神奈川や東京、それと蝶都はどうなってしまうんですか?」
周りが慌ただしくなって、質問に答えてくれる人が居ないと思っていたら、
「誰か答えてみろ」霞さんは冷静に言い、
「······予想でしか言えませんが······最悪、壊滅状態かと······」
「えっ······」
「壊滅的······」
私と徹は青ざめてしまう。
「ですがそれは、台風二つに気候獣四匹、更にその気候獣が暴れる動物の場合です」
「ふ~、そうかい、参ったね~」
霞さんからため息が。
最悪壊滅······そんなの······私は、
「私、やります」
「ちょっと未来」
「壊滅的な被害を少しでも減らしたいので」
「本当ですか隅野さん」
「はい、やらせてください」
「では社長」
「未来!」
「はい」
「······出来るのか?」霞さんが鋭い目で訊く。
「ホント、感覚的にですが、今やってる同調の訓練により徐々に慣れてきているのも事実なんです」
「······一匹止めて、二匹目も止めたとしても三匹、四匹に巻き込まれたら······最悪死ぬかも知れないぞ」
死ぬのは嫌、でも、
「先程言ったように、私は――この事態を大人しく傍観する事は、したくありません」
これは私のわがままだったかも知れない。でもこれが嘘偽りのない自分の気持ち。
「ちょっと待って!」
徹が言う、
「未来、本気か?」
「ええ、本気」
「――そんな······」
「では会見は開く、一週間後にマザー·ガーディアンは予定通り出すっ」
霞さんの決断に、
「社長、それでは隅野さんが危険では?」
「そうだよ母さん!」
「本人も解って言ってるんだ――大丈夫なんだろ?」
「はい、上手く逃げてみせます」
そう答え、会議は終わる――。
会議から出て、
「急な会議、すまなかったな」
「母さんっ、どうしてこんな決定をっ!」
「ちょっと徹」
「ソイツが決めた事だ」
そう言い行ってしまった。
そこに、
「どうだった?」
「父さん······」
「創造さん」
「実は」
会議の事を話したら、
「それは危険だぞ、未来君!」
「すいません、でも被害を出したくなくて」
「君の気持ちは分かるが······」
「······未来」
「徹」
「訓練に戻ろう」
「······うん」
「徹――未来君」
彼に言われトレーニング室に戻った。でも徹の顔はムスッとしていたように感じたの······。
静かにトレーニング室に入って徹に謝ろうとしら、
「徹」
「未来、どうして無理って言わなかったんだっ!」
徹は怒鳴った。
「ごめんなさい」
「どうしてあんな事を······」
「だって、大変じゃない。壊滅よ、いいの?」
「それは······」
怒ったって結局なにも考えなく黙る彼の姿に私も気持ちが溢れてきて、
「答えられないなら言わないでっ」
「······君はいつもそうなんだよ!」
「なによっ」
「いつも何時も無茶ばかりして、こっちの気持ちも考えた事あるのかよっ」
「あなたが何時もお義母さんに頭上がらないからでしょっ!」
「だからって何でこうなるんだよ、君は妊娠してるんだからもっと身体を大切にしなきゃならないんだよっ!」
「そうかもしれない、けど、あたし達の故郷だって大変な事になるかも知れないって聴かされて退けって言うのっ?」
「じゃあ君は、オレに『故郷のために死んでくれ』って言わせたいのかっ!」
「お義母さんに頭上がらないクセにっ!」
「君だって、無茶しか脳が無いのかよっ!」
「ハァ、ハァ」「ハァ、ハァ······」
お互いの不満を吐く。
「くそっ」
徹はトレーニング室から出ていってしまうが、
「フンッ、何よ、分からず屋」
私も知らんぷりする。
すると、
「未来君」
「あ、創造さん」
「今徹とすれ違ったが······何かあったのか?」
「いえ······別に······」
付き合って初めての大喧嘩だった······。
帰りの時間、スカイカーに乗った時も、
「フンッ」とそっぽを向く。
でも徹が、
「······今日の午後八時に会見するってよ」
「そっ、じゃあ観ないとね――」
「フンッ······」
午後八時、霞さんの会見が始まった。
「台風の到達期間はどれくらいだ」
「今のスピードのままなら一週間後の十一月十日午前七時です社長」
「そうか、他に意見ある者」
他にも、
「隅野さんと別に妊婦さんを雇うというのは?」
「一週間で面接、手続き、それに訓練も入れるととても現実的ではありませんよ」
「では、やはり中止にするべきでは?」
「今、会見を開いて会社の損害も最小限に減らすという手も」
「それは最後の手段ですよ」
「未来さん」
「はい」
女性社員の人が、
「気候獣が融合する前に、すぐ最初の一匹と同調すればどうですか?」
「え、まあ、それなら······」
私のこの言葉で話は一気に進む。
「おお、ではそうしましょう!」
「私もその策に賛成です」
「私もです」
『現れた気候獣とすぐ同調する』その方向に決まりそうな時、
「ちょっと待って下さい」徹が立ち、
「最初にって、二匹同時に現れたらどうするんですか?」
「それは無いと思われます、何故なら台風二つ来ると言っても上陸は多少ズレますし、二匹同時はありえません」
「では、前回のように一つの台風に二匹の気候獣が居たら?」
さっきまでの雰囲気が静まる。
もし一つの台風に二匹いれば、二つの台風の中に合計四匹の気候獣が居る事に。でも、それよりも私の頭の中では二つの台風と気候獣四匹だった場合の被害の事で心配になっていて、
「あの······」
「未来?」
「もし、二つの台風と最悪四匹の気候獣が現れたら、神奈川や東京、それと蝶都はどうなってしまうんですか?」
周りが慌ただしくなって、質問に答えてくれる人が居ないと思っていたら、
「誰か答えてみろ」霞さんは冷静に言い、
「······予想でしか言えませんが······最悪、壊滅状態かと······」
「えっ······」
「壊滅的······」
私と徹は青ざめてしまう。
「ですがそれは、台風二つに気候獣四匹、更にその気候獣が暴れる動物の場合です」
「ふ~、そうかい、参ったね~」
霞さんからため息が。
最悪壊滅······そんなの······私は、
「私、やります」
「ちょっと未来」
「壊滅的な被害を少しでも減らしたいので」
「本当ですか隅野さん」
「はい、やらせてください」
「では社長」
「未来!」
「はい」
「······出来るのか?」霞さんが鋭い目で訊く。
「ホント、感覚的にですが、今やってる同調の訓練により徐々に慣れてきているのも事実なんです」
「······一匹止めて、二匹目も止めたとしても三匹、四匹に巻き込まれたら······最悪死ぬかも知れないぞ」
死ぬのは嫌、でも、
「先程言ったように、私は――この事態を大人しく傍観する事は、したくありません」
これは私のわがままだったかも知れない。でもこれが嘘偽りのない自分の気持ち。
「ちょっと待って!」
徹が言う、
「未来、本気か?」
「ええ、本気」
「――そんな······」
「では会見は開く、一週間後にマザー·ガーディアンは予定通り出すっ」
霞さんの決断に、
「社長、それでは隅野さんが危険では?」
「そうだよ母さん!」
「本人も解って言ってるんだ――大丈夫なんだろ?」
「はい、上手く逃げてみせます」
そう答え、会議は終わる――。
会議から出て、
「急な会議、すまなかったな」
「母さんっ、どうしてこんな決定をっ!」
「ちょっと徹」
「ソイツが決めた事だ」
そう言い行ってしまった。
そこに、
「どうだった?」
「父さん······」
「創造さん」
「実は」
会議の事を話したら、
「それは危険だぞ、未来君!」
「すいません、でも被害を出したくなくて」
「君の気持ちは分かるが······」
「······未来」
「徹」
「訓練に戻ろう」
「······うん」
「徹――未来君」
彼に言われトレーニング室に戻った。でも徹の顔はムスッとしていたように感じたの······。
静かにトレーニング室に入って徹に謝ろうとしら、
「徹」
「未来、どうして無理って言わなかったんだっ!」
徹は怒鳴った。
「ごめんなさい」
「どうしてあんな事を······」
「だって、大変じゃない。壊滅よ、いいの?」
「それは······」
怒ったって結局なにも考えなく黙る彼の姿に私も気持ちが溢れてきて、
「答えられないなら言わないでっ」
「······君はいつもそうなんだよ!」
「なによっ」
「いつも何時も無茶ばかりして、こっちの気持ちも考えた事あるのかよっ」
「あなたが何時もお義母さんに頭上がらないからでしょっ!」
「だからって何でこうなるんだよ、君は妊娠してるんだからもっと身体を大切にしなきゃならないんだよっ!」
「そうかもしれない、けど、あたし達の故郷だって大変な事になるかも知れないって聴かされて退けって言うのっ?」
「じゃあ君は、オレに『故郷のために死んでくれ』って言わせたいのかっ!」
「お義母さんに頭上がらないクセにっ!」
「君だって、無茶しか脳が無いのかよっ!」
「ハァ、ハァ」「ハァ、ハァ······」
お互いの不満を吐く。
「くそっ」
徹はトレーニング室から出ていってしまうが、
「フンッ、何よ、分からず屋」
私も知らんぷりする。
すると、
「未来君」
「あ、創造さん」
「今徹とすれ違ったが······何かあったのか?」
「いえ······別に······」
付き合って初めての大喧嘩だった······。
帰りの時間、スカイカーに乗った時も、
「フンッ」とそっぽを向く。
でも徹が、
「······今日の午後八時に会見するってよ」
「そっ、じゃあ観ないとね――」
「フンッ······」
午後八時、霞さんの会見が始まった。
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