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会議【前編】
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――月曜日、決まって生月先生に診てもらう十五周目に嬉しいことが。
「――問題ないわ」
更に超音波検査で、
「赤ちゃんが指を加えてるわよ」
「ほ、本当だ······」
目が釘付けになった。これまで感じるのとは違う、確かにそこに命がある。
私のお腹に······
その事が神秘的に思えてならなかった······。
今日も訓練、私は霞さんに今度こそ結婚の話をするために「頑張れ私!」と自分自身に言い聞かせる。すると、未来さん今日はいつもより気合い入ってますねチャイルドが私の違いに気づく、
「へ~、解るんだ、さすがね――もうチャイルドに出会って三ヶ月か~」
「そうですね、もう十一月ですから。なので未来さん」
「ん?」
「あまり無理しなくても台風は、そんなにやって来ませんよ」
「それも、そうね」
台風等による気候獣が現れなければ私は不要、この仕事はどうなるんだろう。その事も霞さんに訊いてみないと······。
訓練を終え、私は社長室に行く。
今日こそはと思いながらお腹を手で触り向かったけど、エレベーターを降りると、
「あ、未来」
「愛」
「待ってっ、これから社長の説得に行くなら今は止めた方がいい!」
愛は戸惑っていたの。
「え、もしかしてまた?」
「うん、社長が怒鳴ってる声が聞こえたの、だから今は――」
「そうなのね」
「ちょ、ちょっと」扉に近づいてみる。
すると小声で愛は、
「危ないわよ!」
「扉の前だから大丈夫」
「ちょっとー、もう」
と言いつつも愛は、一緒に付いて耳を傾けると······。
「だからもう未来に危険な目に遭ってほしくない!」
「だが未来君しか――」
「父さんっ!」
徹の声、それと創造さんの声が聞こえる。
「だがアイツは気付けば動くぞ、お前に未来を止められるのか?」
「それは······」
私の名前が出て来た。ただの喧嘩じゃないと思い、
「失礼します」
「え、未来!」
「未来君!」
「おい、通すなと言っただろ!」
「すいませーん、止めたんですけど~」
愛が謝ると、
「ったく」
そう言って霞さんは立ち上がり、
「後は頼む」
「分かったよ母さん」
社長室に出ようとする霞さんに、
「あ、あのっ!」
「ちょっと待って未来!」
「え、徹······」
徹に止められ、霞さんは行ってしまった。
「······何があったの?」
「実は」
「いや、父さんオレから話すよ。実は――また台風が二つやってくる」
「えっ」
「だけどマザー·ガーディアンを出すのは止そう」
「······何で」
「未来も分かってるだろ。また融合気候獣になったら危険だから」
「私に出るなって事?」
「ああ、そうだよ」
あんな事があって徹も過敏になってる。私を心配して······。
「でも······」
「頼むよ未来!」
「······分かったわよ」
「未来」
「じゃあ社長に」
「ちょっと待って!」
「もう、何よ!」
「もう少し母さんをほっといてあげてくれ」
「え~?」
「今、色々大変だからさっ――ねっ?」
「もうーっ、わかったっ、戻るっ!」
納得いかないけど、私にも前に悪い所あったからここは折れる事にした······。
「はぁ~、結局何にも聞けなかったな~」
昼食に愚痴りながら食事を終えトレーニング室に戻る。
「ねえ、チャイルド」
「はい」
何となく話し掛けてみた。
「元気ない時って、ある?」
「いいえ、どうしました?」
「そうなのね~、いいな~」
「未来さん元気ありませんね」
「え、まぁ、ちょっとだけ······」
「私も元気ない時ありますよ」
さっきないって言ったのに、どんな時と訊くと、
「お話が出来ない時です」
「お話し出来ないって――夜とか?」
「はい、私は基本、未来さん以外の方とお話しする機会があまりないので」
「ふ~ん、そうだったのね」
「多分······これが寂しい、という事なのかもしれません」
「そっか、じゃあ沢山喋りましょうか」
「はい、是非」
何となく訊いてチャイルドも元気ない時があるとは驚いたけど、AIって人間と近いと改めて思った。
チャイルドと話して気分が少し良くなってイメージ·トレーニングををしていた時に、
「未来さん、お客さんのようです」
「ん? わかった」
マシンから出て徹か愛かなあと思い扉を開ける。
「失礼します」社員の人だ。
「なんでしょうか?」
「隅野さんにも会議に参加して貰えないでしょうか」
「は~、何の会議でしょうか?」
「気候獣です――」
トレーニング室から五階上の二十階が会議室。気候獣という言葉を聞いて女性社員の方と入るとそこには、「社長······」と、男性女性社員三人ずつ、そして、
「未来、やっぱりか······」私の後から徹も来て軽く挨拶すると会議が始まったの······。
「え~、では本題ですが、南の海上に台風が二つ発生しました。二つとも同じ進路で、恐らく神奈川を通って東京都、そして蝶都に」
話は聞いてたけど、まさか蝶都にまで、
次に霞さんが、
「未来、二匹の気候獣は止められるのか?」
「二匹は······いけます」
「ちょっと未来」徹は動揺していた。
「ただ、前回あったように二匹が融合した『融合気候獣』になって同調すると、次はどうなるか解りません」
その言葉で皆沈黙する。
「······やはり」
沈黙を破ったのは徹だった。
「今回は中止にするべきです」
「ですが、この三ヶ月間気候獣を止めて台風が消えた事で、大手企業やメディア、インターネット等で注目を集めています。なので中止にしてしまうのは、わが社が受けるダメージは楽観視出来ないかと」
「――問題ないわ」
更に超音波検査で、
「赤ちゃんが指を加えてるわよ」
「ほ、本当だ······」
目が釘付けになった。これまで感じるのとは違う、確かにそこに命がある。
私のお腹に······
その事が神秘的に思えてならなかった······。
今日も訓練、私は霞さんに今度こそ結婚の話をするために「頑張れ私!」と自分自身に言い聞かせる。すると、未来さん今日はいつもより気合い入ってますねチャイルドが私の違いに気づく、
「へ~、解るんだ、さすがね――もうチャイルドに出会って三ヶ月か~」
「そうですね、もう十一月ですから。なので未来さん」
「ん?」
「あまり無理しなくても台風は、そんなにやって来ませんよ」
「それも、そうね」
台風等による気候獣が現れなければ私は不要、この仕事はどうなるんだろう。その事も霞さんに訊いてみないと······。
訓練を終え、私は社長室に行く。
今日こそはと思いながらお腹を手で触り向かったけど、エレベーターを降りると、
「あ、未来」
「愛」
「待ってっ、これから社長の説得に行くなら今は止めた方がいい!」
愛は戸惑っていたの。
「え、もしかしてまた?」
「うん、社長が怒鳴ってる声が聞こえたの、だから今は――」
「そうなのね」
「ちょ、ちょっと」扉に近づいてみる。
すると小声で愛は、
「危ないわよ!」
「扉の前だから大丈夫」
「ちょっとー、もう」
と言いつつも愛は、一緒に付いて耳を傾けると······。
「だからもう未来に危険な目に遭ってほしくない!」
「だが未来君しか――」
「父さんっ!」
徹の声、それと創造さんの声が聞こえる。
「だがアイツは気付けば動くぞ、お前に未来を止められるのか?」
「それは······」
私の名前が出て来た。ただの喧嘩じゃないと思い、
「失礼します」
「え、未来!」
「未来君!」
「おい、通すなと言っただろ!」
「すいませーん、止めたんですけど~」
愛が謝ると、
「ったく」
そう言って霞さんは立ち上がり、
「後は頼む」
「分かったよ母さん」
社長室に出ようとする霞さんに、
「あ、あのっ!」
「ちょっと待って未来!」
「え、徹······」
徹に止められ、霞さんは行ってしまった。
「······何があったの?」
「実は」
「いや、父さんオレから話すよ。実は――また台風が二つやってくる」
「えっ」
「だけどマザー·ガーディアンを出すのは止そう」
「······何で」
「未来も分かってるだろ。また融合気候獣になったら危険だから」
「私に出るなって事?」
「ああ、そうだよ」
あんな事があって徹も過敏になってる。私を心配して······。
「でも······」
「頼むよ未来!」
「······分かったわよ」
「未来」
「じゃあ社長に」
「ちょっと待って!」
「もう、何よ!」
「もう少し母さんをほっといてあげてくれ」
「え~?」
「今、色々大変だからさっ――ねっ?」
「もうーっ、わかったっ、戻るっ!」
納得いかないけど、私にも前に悪い所あったからここは折れる事にした······。
「はぁ~、結局何にも聞けなかったな~」
昼食に愚痴りながら食事を終えトレーニング室に戻る。
「ねえ、チャイルド」
「はい」
何となく話し掛けてみた。
「元気ない時って、ある?」
「いいえ、どうしました?」
「そうなのね~、いいな~」
「未来さん元気ありませんね」
「え、まぁ、ちょっとだけ······」
「私も元気ない時ありますよ」
さっきないって言ったのに、どんな時と訊くと、
「お話が出来ない時です」
「お話し出来ないって――夜とか?」
「はい、私は基本、未来さん以外の方とお話しする機会があまりないので」
「ふ~ん、そうだったのね」
「多分······これが寂しい、という事なのかもしれません」
「そっか、じゃあ沢山喋りましょうか」
「はい、是非」
何となく訊いてチャイルドも元気ない時があるとは驚いたけど、AIって人間と近いと改めて思った。
チャイルドと話して気分が少し良くなってイメージ·トレーニングををしていた時に、
「未来さん、お客さんのようです」
「ん? わかった」
マシンから出て徹か愛かなあと思い扉を開ける。
「失礼します」社員の人だ。
「なんでしょうか?」
「隅野さんにも会議に参加して貰えないでしょうか」
「は~、何の会議でしょうか?」
「気候獣です――」
トレーニング室から五階上の二十階が会議室。気候獣という言葉を聞いて女性社員の方と入るとそこには、「社長······」と、男性女性社員三人ずつ、そして、
「未来、やっぱりか······」私の後から徹も来て軽く挨拶すると会議が始まったの······。
「え~、では本題ですが、南の海上に台風が二つ発生しました。二つとも同じ進路で、恐らく神奈川を通って東京都、そして蝶都に」
話は聞いてたけど、まさか蝶都にまで、
次に霞さんが、
「未来、二匹の気候獣は止められるのか?」
「二匹は······いけます」
「ちょっと未来」徹は動揺していた。
「ただ、前回あったように二匹が融合した『融合気候獣』になって同調すると、次はどうなるか解りません」
その言葉で皆沈黙する。
「······やはり」
沈黙を破ったのは徹だった。
「今回は中止にするべきです」
「ですが、この三ヶ月間気候獣を止めて台風が消えた事で、大手企業やメディア、インターネット等で注目を集めています。なので中止にしてしまうのは、わが社が受けるダメージは楽観視出来ないかと」
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