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赤い眼の女の子
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――魔王ルモールが倒されて2週間は過ぎたこの世界ツオーゴ。晴れた空にきれいな海、後ろを振り向けば日指し顔を出す、早朝はちょっと肌寒いけど。
そんなあたいが住むのは世界地図からみて最東端の小さなシスター・カルタ教会。
「うぅ~んっ、はぁーっ……海ってどこまで青いんだ」
「ネモネア~」
「はやく手伝ってよ~」
「ああ、今いく~」
元気な子どもたちの声、早速あたいたちは畑仕事。この教会では身寄りのない子どもたちが居るんだけどなんと彼らは自分の食べ物を自給自足、6才にもみたない子がたいしたもんだ。
「おはようネモネア、ここお願いします」
「アヴエロおはよう、あいよ」
勇者アヴエロもついこの間まで魔王と戦ったのが嘘のように畑仕事をしていた。テキパキとこなしても笑顔を絶やさないアヴエロは剣よりもこっちの方が似合ってる。
「ネモネア、どうしました」
「あっ、いやっ、なんでもない」
あたいは相変わらず勇者を見ると胸がなるし、ちょっとだけ照れる。
「ふぅ、じゃあ僕は先に出かけますので皆さんあとはよろしくお願いします」
「「は~いっ」」
今日はめずらしくアヴエロは教会を出た。昨夜、子どもたちにサプライズするってシスター・カルタとあたいに言ってたけど、得意の笑顔で誤魔化して内容は教えてくれなかった。あたいにくらい、教えてくれてもいいのに……。
「――ごちそうさま、ねえ、シスター・カルタ、アヴエロ今日どこに行ったか聞いてない?」
「さあ……色々周ると言っていたから仲間に会いたくなったんじゃないかしら」
「カルタにも言ってないんだ……ん?」
何かの目線を感じて振り向くと紅眼の子が走り去っていった。
「またか……」
警戒されているのか興味があるのか、教会にお世
話になった日からたまに見られるようになった。それからも、こんな感じで気にならずにはいられなくなってきたし追いかけてみることにするか。
どこに行ったかわからない紅眼の子、こんな時はと他の子たちに聞くとすぐに教えてくれた。なんでも畑仕事を手伝ったあといつも1人で教会からすぐ近くの森の花畑に向かうらしい、まるで人との関わりを避けるように。
「――わたしもお花になりたい……どうしてわたし……」
「ブリジット~、あ、いたいた」
入ってすぐに教会の森に囲まれた色とりどりの花々のまん中でしゃがみ込んで花を見ているブリジット。
「あなたは……」
「ちゃんと自己紹介してなかったね、あたいはネモネア、いつもここに1人できてるんだって?」
「うん……オハナさんが、スキだから……」
「そっ、花はたくさんあると綺麗だもんね」
花はどれも強い色をして、それらが多く集まっているのを見ると幻想的に感じる。ブリジットが毎日寄るのもうなずけるな。
「……どうして……」
「ん?」
「どうして、えがおなの……」
「笑顔って、ブリジット……」
「どうしてそんなにわらってられるのっ!」
「おい、ブリジット!」
急に叫んだブリジットは森の奥深くに走っていってしまった。
「なんなんだ……」
子供のこと何ててんでわからないけど、あの寂しそうな顔と叫びはあの子なりの悩みがあるんだとさすがに気がづく。どんな、悩みなのかな……。
「はぁ、はぁ……わたしは……わらえない、わらえないよ……ここは……」
「グルルルゥ~」
「えっ……うっうっ、こわい……おうしさん」
「キァァァーッ!」
「ウガァァァッ」
「――ブリジット遠くへ行っちゃったか、大きくなると足早いかも」
普段は大したことない教会の森でもブリジットくらい小さな子どもだと話は変わってくる。ちょっと前までだったら魔物に襲われるとこだ。
「はぁ、はぁ、だれかっ、たすけて……」
「ブリジット」
「キャーッ……カルタおばあちゃん」
「「ブリジット」」
「……み、んな……ど、どうして、ここに?」
「ブリジット、~悪い子だね~」
「話しかけても無視する子、ブリジット~」
「そんな悪い子は~おしおきしなきゃねぇえ~」
「ううっ…イヤァァァーッ!」
「――ブリジット」
「……あ、いやぁぁっ」
「はいストップ、もうこれ以上は行かせない」
「はぁ、はぁ……あれ、こわいおうし?」
ブリジットの後ろの服を掴んでもう逃さない。また遠くへ行かれるとあたいが大変だから。
「ハァ、ネモネア……ふつう」
「ふつう? フフッ、ブリジットは怖いの見たんだろ」
「う、うん、ぐすっ……みんなにころされるとおもった」
「犯人はこれ」
あたいはブリジットに魔物トカゲを見せた。こいつは周りの草木に擬態してその隙に相手に幻を見せる魔物。
「ぐすっ、げんかく?」
「そう……シスター・カルタや子どもたちの皆がブリジットを襲うわけないだろ」
「ううっ、うわぁぁぁん!」
「よしよし、森を抜けるよ」
まったく子どもは、仕方がないので泣くブリジットを胸に抱っこしながら歩いてく。
でも悪い気はしなかった。思い返せばあたいも幼いころ必死で独で逃げていたから。そんな時、大人がいたらその胸に飛び込んで見たかったな。
だからかあたいは、ブリジットをただただ抱きしめてあげた……。
「――もうこわくないよ、よしよし」
「あ、ネモネア……その子を見つけてくれたのね」
「うん、森に」
「よかった心配してたのよブリジットを」
あたいはブリジットのことを知りたくなった。同じ魔族だからか、いやそれもあるかも知れないがなんとなく似てるんだ。哀しみを心に隠してる姿が、昼を食べたら聞いてみよ……。
そんなあたいが住むのは世界地図からみて最東端の小さなシスター・カルタ教会。
「うぅ~んっ、はぁーっ……海ってどこまで青いんだ」
「ネモネア~」
「はやく手伝ってよ~」
「ああ、今いく~」
元気な子どもたちの声、早速あたいたちは畑仕事。この教会では身寄りのない子どもたちが居るんだけどなんと彼らは自分の食べ物を自給自足、6才にもみたない子がたいしたもんだ。
「おはようネモネア、ここお願いします」
「アヴエロおはよう、あいよ」
勇者アヴエロもついこの間まで魔王と戦ったのが嘘のように畑仕事をしていた。テキパキとこなしても笑顔を絶やさないアヴエロは剣よりもこっちの方が似合ってる。
「ネモネア、どうしました」
「あっ、いやっ、なんでもない」
あたいは相変わらず勇者を見ると胸がなるし、ちょっとだけ照れる。
「ふぅ、じゃあ僕は先に出かけますので皆さんあとはよろしくお願いします」
「「は~いっ」」
今日はめずらしくアヴエロは教会を出た。昨夜、子どもたちにサプライズするってシスター・カルタとあたいに言ってたけど、得意の笑顔で誤魔化して内容は教えてくれなかった。あたいにくらい、教えてくれてもいいのに……。
「――ごちそうさま、ねえ、シスター・カルタ、アヴエロ今日どこに行ったか聞いてない?」
「さあ……色々周ると言っていたから仲間に会いたくなったんじゃないかしら」
「カルタにも言ってないんだ……ん?」
何かの目線を感じて振り向くと紅眼の子が走り去っていった。
「またか……」
警戒されているのか興味があるのか、教会にお世
話になった日からたまに見られるようになった。それからも、こんな感じで気にならずにはいられなくなってきたし追いかけてみることにするか。
どこに行ったかわからない紅眼の子、こんな時はと他の子たちに聞くとすぐに教えてくれた。なんでも畑仕事を手伝ったあといつも1人で教会からすぐ近くの森の花畑に向かうらしい、まるで人との関わりを避けるように。
「――わたしもお花になりたい……どうしてわたし……」
「ブリジット~、あ、いたいた」
入ってすぐに教会の森に囲まれた色とりどりの花々のまん中でしゃがみ込んで花を見ているブリジット。
「あなたは……」
「ちゃんと自己紹介してなかったね、あたいはネモネア、いつもここに1人できてるんだって?」
「うん……オハナさんが、スキだから……」
「そっ、花はたくさんあると綺麗だもんね」
花はどれも強い色をして、それらが多く集まっているのを見ると幻想的に感じる。ブリジットが毎日寄るのもうなずけるな。
「……どうして……」
「ん?」
「どうして、えがおなの……」
「笑顔って、ブリジット……」
「どうしてそんなにわらってられるのっ!」
「おい、ブリジット!」
急に叫んだブリジットは森の奥深くに走っていってしまった。
「なんなんだ……」
子供のこと何ててんでわからないけど、あの寂しそうな顔と叫びはあの子なりの悩みがあるんだとさすがに気がづく。どんな、悩みなのかな……。
「はぁ、はぁ……わたしは……わらえない、わらえないよ……ここは……」
「グルルルゥ~」
「えっ……うっうっ、こわい……おうしさん」
「キァァァーッ!」
「ウガァァァッ」
「――ブリジット遠くへ行っちゃったか、大きくなると足早いかも」
普段は大したことない教会の森でもブリジットくらい小さな子どもだと話は変わってくる。ちょっと前までだったら魔物に襲われるとこだ。
「はぁ、はぁ、だれかっ、たすけて……」
「ブリジット」
「キャーッ……カルタおばあちゃん」
「「ブリジット」」
「……み、んな……ど、どうして、ここに?」
「ブリジット、~悪い子だね~」
「話しかけても無視する子、ブリジット~」
「そんな悪い子は~おしおきしなきゃねぇえ~」
「ううっ…イヤァァァーッ!」
「――ブリジット」
「……あ、いやぁぁっ」
「はいストップ、もうこれ以上は行かせない」
「はぁ、はぁ……あれ、こわいおうし?」
ブリジットの後ろの服を掴んでもう逃さない。また遠くへ行かれるとあたいが大変だから。
「ハァ、ネモネア……ふつう」
「ふつう? フフッ、ブリジットは怖いの見たんだろ」
「う、うん、ぐすっ……みんなにころされるとおもった」
「犯人はこれ」
あたいはブリジットに魔物トカゲを見せた。こいつは周りの草木に擬態してその隙に相手に幻を見せる魔物。
「ぐすっ、げんかく?」
「そう……シスター・カルタや子どもたちの皆がブリジットを襲うわけないだろ」
「ううっ、うわぁぁぁん!」
「よしよし、森を抜けるよ」
まったく子どもは、仕方がないので泣くブリジットを胸に抱っこしながら歩いてく。
でも悪い気はしなかった。思い返せばあたいも幼いころ必死で独で逃げていたから。そんな時、大人がいたらその胸に飛び込んで見たかったな。
だからかあたいは、ブリジットをただただ抱きしめてあげた……。
「――もうこわくないよ、よしよし」
「あ、ネモネア……その子を見つけてくれたのね」
「うん、森に」
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