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日比谷 玲は甘くて危険
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天音は講義がなく、今日はオフだと言う事で二人で家へと帰っている。
出迎えに出て来た若い衆達の視線は何処か嬉しそうで、
「おめでとうございます。」なんてあからさまにニヤけて言うもんだから天音は赤面し、愛慈は若い衆の頭をはたいた。
「お嬢の前で下品な事言うんじゃねぇ、」
「す、すいません。お嬢…」
「ううん、いいの!ありがとう!」
「天音っ!!!!」
家から飛び出て来た鮮やかな何かは、愛慈を気にする様子も無く天音に飛びついた。
愛慈が甘く大人の怪しげな色香を感じさせる香りだとすれば、
この、甘くさわやかな香りに金髪、少し大きめのよく通る中性的な声は最後に見た時よりもかなり背の伸びた、
「玲!?」
「日比谷…玲、」
「ハロー、愛慈。天音、大変だったね…会いたかったよっ。」
愛慈の方を向く事もなく、天音をギュッと正面から抱きしめた玲はバッと振り返ると愛慈の頬を思いっきり殴った。
「こんなに近くに居て!あんな目に遭わせるなんて、しかもお前の女が!」
「あ、玲…!いいの。違うの、」
「天音は黙ってて!」
「俺の女じゃねぇ。…が不甲斐なかった。」
「まぁまぁ、その事についてはもうこっちで済んどる。久々に会ったんやから三人共まず一緒に昼飯でも食え。まだ早い時間やし、天音に身支度する時間でもやったってくれ。…愛慈、手伝ってこい。」
「お祖父ちゃん、」
「はい。」
「手伝いなら、俺が!」
「アホか!天音ももう子供ちゃう。大人しく待機!」
そう言って去って行った、天音の祖父仁之助の背中をぼうっと見ながら玲は眉を顰めた。
(なんで愛慈はいいんだよ。)
「愛慈…じゃあ、シャワー浴びてくるからお願い。」
「はい、着替え置いときますんで出たら声かけて。」
「うん。ありがとう愛慈。玲また後で。」
そう言った天音ににこやかな表情で手を振った二人。
だがすぐに少し考え込むようにした玲が濁った声を発する。
「え"?」
「じゃ、俺も行くか…」
「hey.お前はちょっと待て。」
「…何だよ。そもそも俺、歳上なんだけど。」
「今はそんな場合じゃない。風呂の準備までするの?どこまで?」
「…何だよ、急に。風呂に限らず全部、お嬢に関わる事は全部俺がすんの。邪魔しねーで部屋に戻ってろよ。」
「………ついて行く。」
「は?来るな、だめだ。」
「邪魔しねーから。」
「……無理。」
「あやしい!」
「お前も俺と似たようなモンだろうが!帰れ!」
「いやだ!絶対について行く!」
「~っ!勝手にしろ。」
そう言って早足で愛慈が向かったのは天音の部屋で躊躇なく入った愛慈に反して玲はぴたりと足を止めた。
「あー、勝手に入れるワケには行かねぇからソコで待ってて。」
そう、そうに言った愛慈が部屋に入ると掃除機でもかけているような音やら、何か忙しなく音が聞こえて一通り終わると何事も無かったように出てきた愛慈は何やら着替えらしき物を持っていた。
「………メイド。」
「うるせえ。」
「それって下着もあんの?」
「言わない。」
「お前!え、それって愛慈が選んでんの!?ダメだよ!羨まし……じゃなくて、変態!!」
「おー勝手に言ってろ。お嬢の殆どが俺色で出来てんの。」
「ふざけてないで、ちゃんと答えろよ!」
(ちゃんと答えてるんだけど…。)
「そろそろ時間無いんだけど大人しくしててくんない?」
「愛慈、お前が家事してんのも変だけど…何かもっと変だよ!」
「ほんと、うるさいお前。」
浴室の手前で言い争う二人は突然硬直することになる。
「あの…愛慈、居る?」
ドアを少し開けて顔だけ覗かせたバスタオルを巻いただけの天音は、着替えが無かったので愛慈の声が聞こえて顔を覗かせたのだ。
「…っお嬢、」 (だめだ色っぽいな、玲さえ居なければ…)
「天音…っごめん、」(くそっ、何てセクシーなんだ。こんなの反則だよ)
「あの…着替えを、…ごめんなさい愛慈にいつもお願いして。」
「いいんだ。好きでしてる事だから。」
(だろーな。愛慈め)
「ありがとう、…きゃっ、玲、御免なさい見苦しい物を、少しまってて?」
「いや、そんな事ないよ…とても綺麗だ。」
「…っ、恥ずかしいよ。また後でっ!」
「……。行くぞ、玲。」
「あ、ちょっと待って、いて!」
面白くなさそうに玲を引っ張って浴室から離れた愛慈は照れたような天音の表情に嫉妬していたのだ。
(俺以外にあんな顔見せんなよ、お嬢。)
出迎えに出て来た若い衆達の視線は何処か嬉しそうで、
「おめでとうございます。」なんてあからさまにニヤけて言うもんだから天音は赤面し、愛慈は若い衆の頭をはたいた。
「お嬢の前で下品な事言うんじゃねぇ、」
「す、すいません。お嬢…」
「ううん、いいの!ありがとう!」
「天音っ!!!!」
家から飛び出て来た鮮やかな何かは、愛慈を気にする様子も無く天音に飛びついた。
愛慈が甘く大人の怪しげな色香を感じさせる香りだとすれば、
この、甘くさわやかな香りに金髪、少し大きめのよく通る中性的な声は最後に見た時よりもかなり背の伸びた、
「玲!?」
「日比谷…玲、」
「ハロー、愛慈。天音、大変だったね…会いたかったよっ。」
愛慈の方を向く事もなく、天音をギュッと正面から抱きしめた玲はバッと振り返ると愛慈の頬を思いっきり殴った。
「こんなに近くに居て!あんな目に遭わせるなんて、しかもお前の女が!」
「あ、玲…!いいの。違うの、」
「天音は黙ってて!」
「俺の女じゃねぇ。…が不甲斐なかった。」
「まぁまぁ、その事についてはもうこっちで済んどる。久々に会ったんやから三人共まず一緒に昼飯でも食え。まだ早い時間やし、天音に身支度する時間でもやったってくれ。…愛慈、手伝ってこい。」
「お祖父ちゃん、」
「はい。」
「手伝いなら、俺が!」
「アホか!天音ももう子供ちゃう。大人しく待機!」
そう言って去って行った、天音の祖父仁之助の背中をぼうっと見ながら玲は眉を顰めた。
(なんで愛慈はいいんだよ。)
「愛慈…じゃあ、シャワー浴びてくるからお願い。」
「はい、着替え置いときますんで出たら声かけて。」
「うん。ありがとう愛慈。玲また後で。」
そう言った天音ににこやかな表情で手を振った二人。
だがすぐに少し考え込むようにした玲が濁った声を発する。
「え"?」
「じゃ、俺も行くか…」
「hey.お前はちょっと待て。」
「…何だよ。そもそも俺、歳上なんだけど。」
「今はそんな場合じゃない。風呂の準備までするの?どこまで?」
「…何だよ、急に。風呂に限らず全部、お嬢に関わる事は全部俺がすんの。邪魔しねーで部屋に戻ってろよ。」
「………ついて行く。」
「は?来るな、だめだ。」
「邪魔しねーから。」
「……無理。」
「あやしい!」
「お前も俺と似たようなモンだろうが!帰れ!」
「いやだ!絶対について行く!」
「~っ!勝手にしろ。」
そう言って早足で愛慈が向かったのは天音の部屋で躊躇なく入った愛慈に反して玲はぴたりと足を止めた。
「あー、勝手に入れるワケには行かねぇからソコで待ってて。」
そう、そうに言った愛慈が部屋に入ると掃除機でもかけているような音やら、何か忙しなく音が聞こえて一通り終わると何事も無かったように出てきた愛慈は何やら着替えらしき物を持っていた。
「………メイド。」
「うるせえ。」
「それって下着もあんの?」
「言わない。」
「お前!え、それって愛慈が選んでんの!?ダメだよ!羨まし……じゃなくて、変態!!」
「おー勝手に言ってろ。お嬢の殆どが俺色で出来てんの。」
「ふざけてないで、ちゃんと答えろよ!」
(ちゃんと答えてるんだけど…。)
「そろそろ時間無いんだけど大人しくしててくんない?」
「愛慈、お前が家事してんのも変だけど…何かもっと変だよ!」
「ほんと、うるさいお前。」
浴室の手前で言い争う二人は突然硬直することになる。
「あの…愛慈、居る?」
ドアを少し開けて顔だけ覗かせたバスタオルを巻いただけの天音は、着替えが無かったので愛慈の声が聞こえて顔を覗かせたのだ。
「…っお嬢、」 (だめだ色っぽいな、玲さえ居なければ…)
「天音…っごめん、」(くそっ、何てセクシーなんだ。こんなの反則だよ)
「あの…着替えを、…ごめんなさい愛慈にいつもお願いして。」
「いいんだ。好きでしてる事だから。」
(だろーな。愛慈め)
「ありがとう、…きゃっ、玲、御免なさい見苦しい物を、少しまってて?」
「いや、そんな事ないよ…とても綺麗だ。」
「…っ、恥ずかしいよ。また後でっ!」
「……。行くぞ、玲。」
「あ、ちょっと待って、いて!」
面白くなさそうに玲を引っ張って浴室から離れた愛慈は照れたような天音の表情に嫉妬していたのだ。
(俺以外にあんな顔見せんなよ、お嬢。)
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