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腫れた唇と君じゃ無い香り
しおりを挟む結局、何を聞いてもひたすら謝るリヒトにハンカチを投げつけて逃げるようにして馬車に乗ったシエラは、侍女リンゼイのにやりと頬を染めて見つめる表情にキッっと睨みを効かせる。
「…皇女殿下、逢引きなれば先に言ってくださればもっと気合をいれて準備して差し上げましたのに…!」
悔しそうに言うリンゼイはなぜか誤解しているようだった。
(中での事は誰にも見られていないし、二人きりなのがいけなかったのかしら…)
すっかり色が無くなった口紅に、紅く腫れた唇がいかに熱い口付けだったのかを物語る事もシエラは知らない。
髪も行きしなよりも乱れて、ドレスも一見綺麗だが侍女であるリンゼイには丸わかりであった。
「到着する前に、髪を整えます。」
だがリンゼイは唯一、ジェレミアの一面に感づいていたのでシエラにそう言ってから髪とドレスを整えた。
(今度からは口紅も持ち歩かなくちゃ、)
「…ありがとう、リンゼイ。」
「いいえ、皇女様に仕えるのが私の幸せですから!」
シエラは心が温かくなった。
(そうね、リンゼイは前世でも最後まで私を信じてジェレミアの仕業だと恐れずに発言したせいで、私より先に処刑されたのよね…。)
「リンゼイ、貴女が私の侍女で良かったわ。けれどこの先どんなに私が危険でもジェレミアや皇后に盾ついてはだめよ。私が闘って無理なら、逃げるの。」
「皇女殿下…、それなら、一緒に逃げましょう。って不敬ですね!すみません!!」
「ふふふっ、いえ。いいの、ありがとうリンゼイ。」
(私は今度はきっと貴女を守るわ。勿論自分も。)
そう心に決めたシエラは、皇宮へと到着した馬車から降りてしっかりと皇宮を睨みつけながら歩いた。
「姉様?帰られたのですね、お帰りなさい。」
皇帝への謁見の帰りか、何か考え事をしながら歩くジェレミアにばったりと廊下で出くわす。
「あ、…ジェレミー。ただいま。」
「夕飯がまだだったら僕と一緒に…」
そう言ってシエラの手を引いて自分の方へと引き寄せたジェレミアはふわりと香る爽やかで優しい香りを感じた。
「…誰かと一緒だったの?」
「え…あぁ、マッケンゼン公爵が偶然会っただけよ。」
「へぇ。…まず風呂だね。…リンゼイ!」
「あ…ですが、」
「リンゼイ、いいわ。お風呂の準備をお願い。」
「…分かりました。」
急いで準備に向かうリンゼイを見送ると、適当な部屋にシエラの手を引いて入りベッドに乱暴に投げた。
「何もされてない?」
「な、何もされていないわ。」
(嘘を、唇があんなに腫れるほどキスしたくせに。)
「こんなにも、他人の香りを纏って帰ってきたのは初めてだね姉様。」
「ジェレミー誤解よ、」
「流石にこれは父上に告げ口されるとマズイからね、リンゼイが戻って来る前に済ませようっと。」
じゃあ確かめるよ?とドレスを捲ってシエラの秘部に無遠慮に触れるとヌラヌラと透明の液体を指に纏わせて「嘘つき。」と瞳を曇らせた。
「ジェレミー何を、っ!!!!」
「あーぁ、姉様。いけないなぁ僕以外とそう言う事しちゃ、」
「な、何もしていないわ!」
「もう黙って。」
ジェレミアは自分のハンカチをシエラの口に詰めるとシエラの髪のリボンを解いて手首を縛り、両足をぐっと開けさせた。
「ここ、もう主張してる。僕が育てたおかげだね。」
そう言って敏感な蕾を剥き出しにして唇で吸い上げるとガクガクと身体を震わせて泣きながら謝っているのだろうシエラに容赦なく甘噛みしたり、舌で転がして弄んだ。
「何言ってるか分かんないよ姉様。まぁ、少し大きくなったココをみれば僕の仕込み済みだって分かっちゃうだろうけど、姉様は意味わかんないよね?」
「~っ!!(ジェレミーが何を言っているのか分からないわ。怖い)」
与え続けられる刺激に、涙を流しながら抵抗するがしまいにジェレミーはベルトを外して自らをあてがった。
「いつか奪われるなら、その前に……
「(今から何するの?怖い、ジェレミー、)」
「皇女殿下!!!!お湯の準備ができました!!!!!!」
妙に声を張り上げてリンゼイが扉を叩く声が聞こえて、ジェレミアはチッと舌打ちして乱雑にリボンとハンカチを解いて自らも整えた。
(リンゼイ、助かったわ…)
何が行われるのかを知らなくても、なぜか助かったと感じた。
リンゼイは何かを感じて急いで準備してきたようで息を切らしながら扉の前に立っていた。
「安心して、姉様。僕が守ってあげるから。」
(姉様からリヒトを遠ざけないと。早く婚約解消を成立させなきゃ)
小刻みに震えるシエラに、ジェレミアはいつもの甘く優しい笑みでそう笑ってシエラの唇に深く口付けてから「姉様をキレイにしてね。」と意味深に言って立ち去った。
「皇女殿下…、」
「…大丈夫よ。心配しないで。」
眉尻を下げて頼りなく微笑んだシエラにリンゼイは心が痛んだ。
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