悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang

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皇女の友人と、皇子の協力者

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「う~ん、ではブノエルン伯爵家の領地から商いをする為には必ずセリアド侯爵領の通過が必要不可欠なのね」



「はい。ブノエルンだけでなく多くの貴族がセリアド侯爵領の通過が必要な場所ですのでそれをいい事に貴族達からかなり儲けている様子です」





今日も、シエラはウェヌス内事務所で事業の拡大といずれかはする事になるだろう拠点の移動について頭を悩ませている。



まずは、このまま勢いを増し貴族達から金と気力を吸い取り皇帝亡き後いずれ皇后の後ろ盾となり脅威となるセリアド侯爵を排除する方法を探していた。




書類に埋もれるシエラを心配そうに見るグレン、



「セリアド侯爵家は不正の多い家門です、問題はそれを皇帝が見て見ぬフリをしているという事ですね」



「ええ……見て見ぬふりができない状況を作るしかないわね」



「ですが、立ち位置を引き継ぐものによっては……」



「マッケンゼンよ……リヒトにはきちんと社交会での仕事をこなしてもらって、いずれジェレミーの後ろ盾となってもらうわ」



「受け入れるでしょうか?」



「ええ、それが私の為になると理解するはずよ」


(あんな事があったのだもの…‥.婚約者の私には申し訳なくてひとつくらいの願いを聞くはずよ…….)



シエラは、リヒトの表情を思い出して複雑な気分になった。


二度目の人生で確かにリヒトもシエラも変わった。



シエラを心配する瞳、慈しむような声、愛していると紡ぐ唇はどれも過去のシエラが死ぬまで欲したものだったが



(きっと交わる事のない想いなのよ、リヒト)


きっとリヒトはご両親への想いが相まってメリーを放ってはおけないだろう。シエラへの気持ちも嘘ではないとしても一時的なものかもしれない。



「この国にも守るべき民がいるわ、やるべき事をしないと」



ジェレミアは過去にも、皇帝としてはとても良き王だった。

異常なシエラへの執着と皇座への執着を除けば、今の皇帝よりもはるかに上手く国を運営していたと言えるだろう。



「ジェレミーなら、心配ないわ特に今はね」



「そうですか……」



「グレン、ブノエルン伯爵とマッケンゼン公爵へとこの手紙を……それと、ミンリィはこれをお願いしたいの」



「シエラ様……、これは?」


シエラが取り出したのは安物の指輪だった。


「これは、ただの目印よ。これを信用できるルートでリュカエル・カシージャスへお願い」




「かっ、カシージャスですか!?」


「ええ、必ず彼に。手紙とそれを渡すだけで伝わるわ」






頭の中で思い出される彼との会話、




『そんなものが欲しいのか?』

『そうね、これは目印よ。私とリュカしか知らない。今日の出会いもどこにも記帳されない小さな買い物も』


『合言葉の代わりか?なら、俺に会いたい時はそれを送りつけて』


『ええ、必ずそうするわ』





ついこの間交わしたばかりのリュカエルとの会話に思わず微笑む、秘密の合言葉をまるで少年のようにキラキラした瞳で喜ぶリュカエルはとても噂と同じ人物とは思えなかった。


(きっと大丈夫。力になってくれるわ)




数日後、彼が送ってきたまだあどけない少年はマイルと名乗り、マイルは彼の信頼のおける部下だと言うことが記された手紙には「俺の馬と荷物はあったか?」とくだらないジョークが添えてあった。



「マイル、貴方を王宮へと連れて行く訳にはいかないけれどこのウェヌス邸で客人としてもてなすわ」


「いいえ、リュカエル様より仕えろと申付けられております。大切な人だとも」



(リュカがそんなことを……)


大切な人というのは友としてだろう。けれどもシエラは心が温かくなりドキドキと心音が早まった。


たった一度、行動を共にしただけのシエラをこれ程までに信頼してくれる彼をきっと裏切らないと心に決めた瞬間でもあった。



「そう……じゃあ、宜しくねマイル。私の事はシエラと」



「はい!……シエラ様、これは文面では難しいのでリュカエル様から私の声でお伝えするようにと言われているのですが……」




黙って控えるグレンをチラリと見ると口を閉ざす。


(なるほど……きちんと教育されているのね)

 
「彼は私の信頼している人、部下であり友人なの大丈夫よ」



「それでは…」とほっとしたように表情を崩して話し始めたのはにわかには信じ難い話だった。


「この国の皇帝は。セリアド侯爵という者を使って悪趣味なコレクションをしています」



「コレクション?」



「はい。金髪碧眼に近い女性や少女ばかりを拉致し何処かに囲っているようなのです……それも何故か、姿



シエラは背筋がゾワりとした。


ジェレミアに私への監督責任を問うた時のあの皇帝の気味の悪い視線を思い出しで身が震えた。


一生忘れる事のない辱めを受けたあの日を思い出し、身体から嫌な汗が止まらない。


(まさか、女性達にもあんな事を……?)


「人身売買や奴隷制度は今やどこの国でもタブーとされています、ですが王族同士で趣味嗜好を黙認する事は珍しくありません」


「まさか……」


「理由は分かりませんが、充分にお気をつけ下さい。影としてシエラ様のお側におりますが何が起きるか分かりません故に……」



「分かったわ。マイル、この邸の中の者達を紹介するわ。しっかりと顔を覚えて頂戴今日会った人達は私の信頼する仲間よ。そして今日からは貴方も」




「そんなすぐに、私を迎え入れていいのですか?」





「私はリュカを信じるわ。彼がそうしてくれたように」






きっとジェレミアは今頃、皇帝を殺す計画を立てている頃だろう。


そして皇后はシエラを貶める隙をずっと狙っている筈だ。



セリアドに、メリー、過去には大勢の人がシエラに立ちはだかったが今は違う。




「きっと勝ってみせるわ」



(そして国を出て穏やかに暮らすのよ)




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