私の愛しい婚約者はハーレム体質

abang

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僕の妻になって下さい!

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「アシェル陛下っ!大変です!!」


「なに、僕は今忙しいんだけど……」


「女性が頷くプロポーズの方法?」

アシェルはいかにも胡散臭い本からひょこっと顔を覗かせて、慌てるダニーを訝しげに見た。


「そう」


「丁度良かった!早く伝えたほうがいい、アシェルっ」


「ダニー、勤務中に珍しいね。ティアラに何かあったの?」



「どれにも返事を出されていないようですが……婚約して長いというにも関わらず中々成婚されない二人の中は冷えているのだと思った令息達がティアラ様に求婚の手紙を出し初めているようです!!」


「はっ?」



「お忘れか?ティアラ様は一日だけでもいいから恋人になりたい女性なんだ!男達にすれば夢!ちなみにその次に人気なのはプリシラ夫人だ!分かるか?婚約者がいようが、夫がいようが彼女達は!」


「ちょっと待って。僕は世間の色事には疎いんだ……それって」


「ああそうだよ!お前がモタモタしてるから痺れを切らした男たちがとうとうティアラ様に求婚し始めたんだ」




「失礼する……なんだ今日はやけに賑やかだなアシェル」


丁度、約束の時間だったエバンズが会議の報告書を持ってやってくると、急に顔を青白くしたアシェルが震える声で尋ねる。


「え、エバンズ……まさかお前も……っ」



「??」


訳がわからないと言うように眉を顰めて首を傾げたエバンズがダニエルに助けを求めるように視線をやるとだ意図を汲み取ったダニエルが呆れた様子で答える。




「エバンズ様、お気になさらないで下さい陛下は今プライベートな事で取り乱しているだけですので……」



「ティアラの事か?」



「「え?」」



「やけに求婚されると困っていたようだが、上手くいっていないのか?」



「そんな訳ないだろう!僕たちはラブラ………ブか?」


「はい。完全にアシェル様が尻に敷かれております」




「プロポーズもせんと何をしているんだ?いらぬなら貰うぞ」



「エバンズ!君だけはやめて!冗談でも怖いから!」


「いや、本気だ」


「エバンズ閣下はいい男ですからねぇ」



「ダニー!僕の不安を煽らないでくれっ……て、



「ああ、たまに仕事で会うがよく話す。その時に相談された」



「………」


「アシェル様!!」




「報告書は置いておく、失礼するぞ」




ふらりと倒れこんでしまったアシェルを心配する様子もなく退出したエバンズに「冷たい奴だ」と小言を言いながら唸るアシェルがあまりにも滑稽でダニエルはこの国の皇帝がこれでいいのかと心配になった。




「やっぱり早くケジメをつけられた方がいいのでは?」


「……そうする。ダニーこれから書くものを全て早めに用意してくれる?」


「わかりました!!」




嬉々とした表情でメモを持って出かけたダニエルを見送ると、気分を変えようと庭園へと足を運んだアシェル。

(完璧なプロポーズにするんだ……!)




東屋に見知ったシルエットが見えて、傍へ行こうとすると先程聞いたばかりの見知った声が彼女に先に声をかけた。


「ティアラ……休憩か?」


「ええ、エバ様もでしょう」


「ああ。人使いが荒くて困るよアシェルは」


そう言いながらも優しく微笑むエバンズから、アシェルへの信頼と友情を感じたティアラは嬉しくなって思わず笑った。


「ふふっどうか助けてあげて?」


「ところで求婚の件はどうなったんだ」



「それが……日に日に増えるばかりで困っています」



「なら、いっその事私を盾にするか?」


真剣な眼差しでそう言ったエバンズの容姿はやはり格好いい。

アシェルは途端に不安になる。

ティアラが口を開く前に思わず飛び出てしまう。




「そ、それは駄目だ!」



「「アシェル?」」



「ティアラは、僕の妻になるんだ」



「アシェルっ突然どうしたの?」



「さぁ……私にも分からないな」




「エバンズは……良い奴だし、いい男だけど。エバンズじゃなくても、他の誰にも、ティアラを奪われたくないんだ!愛してるんだ……っ」




「アシェル……」



「僕を選んでよ、ティアラ」





「絶対に傷つけないから、誰よりも幸せにするから」



「僕の妻になって下さい」




「………!!」


哀しげだが、微笑しげなエバンズ、瞳に涙を溜めるティアラ、




「遅すぎるくらいよ……勿論喜んで」





「アシェル様……ここにいらしたのですね」


「ダニー……つい、焦って言ってしまった」


「えっ」



ぽかんと口をあけたダニエルを気まずそうに見てから、ティアラに向き直ったアシェル。



「ティアラ……その、やり直させて!今のは有効だけどプロポーズはもっと思い出に残るようにしたいんだ」



「「……?」」


居合わせたエバンズと、元々の話が見えないティアラはアシェルの急な申し出にきょとんとした表情を浮かべた。


「僕が臆病なばかりに、誤解からティアラへの求婚が沢山届いていると聞いて思わず焦ってしまったんだ……けれどプロポーズは一生の思い出になるだろう?だからっ」



「ふふっ分かったわ、けれどすでにもう思い出になったわよ?」



「……格好悪いところばかり見せてるね」



「いいえ、あなたが必死に私を繋ぎ止めようとしてくれた事が不謹慎にもとても嬉しかったの。アシェル以外の人の所へは行かないわ。あなたを愛してるもの」


「ティアラっ……愛してる!本当に本当に苦労ばかりかけて、まだ幸せにしてあげられてないけど……僕がきっと幸せにするから」




「当たり前よ、色んな事を乗り越えて来たのは私の婚約者がアシェルだからよ。辛いより、愛してるが勝ってしまったのだもの」






「ごめ……」



「もう謝らないで。そう思うなら精一杯幸せにして」



「ああ、約束するよ」









「なぁダニー。私は無性に酒が飲みたいのだが」


「えっと……慰めになるかは分かりませんが付き合います」



















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