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part 3-2
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「どこへ行っていたんだ?」
「散歩してカフェでカフェオレ」
「どこのカフェ?」
「駅の向こう」
スリッパを履いてリビングに向かう私に
「駅の向こうって繁華街か?」
夫が少し声を大きくして聞く。
「うん」
「紗栄子っ、あの繁華街に行くのはやめろ。これまでは良かったかもしれないが、一度藤堂と関わった後で行くのはやめろ」
「…ねぇ、藤堂って藤堂組っていう人たちのこと?」
「そうだ」
「そんなに避けないと怖いような何かをしたことがあるの?」
「…」
「この間から変に藤堂、藤堂って言うよね?無関係で生活出来ない理由があるの?これだけ聞かされると気味が悪いわ」
口をきゅっと結んだ夫に代わり返事をしたのは、甚平パジャマの紐を結びながらリビングに入ってきた義父だった。
「無知な嫁は困る。うちが怖いのは藤堂じゃない。別のところだ」
無知な嫁だと、義父は心底憎たらしそうに私を見る。義母が出て行って2週間ほどの夜
「紗栄子のせいでアレが出て行ったんだから、こっちの世話もしろ」
と私がお風呂に入ろうとして脱衣場で下着になった時にいきなり入って来て、私の肩に触れながらトランクスを下げた。私がありったけの声で
「きゃーーっ、やめてーーー」
と叫んだのは、小さく換気程度に開いていたルーバー窓の隙間から隣の家や、家の前を歩いていた人に聞こえて、数人がうちの玄関ドアを叩きながら通報するかと騒いでいるところへ夫が帰宅した。
近所へは酔っぱらった義父が暴れそうだったと説明した夫も、これは許せないから別に住むと義父に宣言した。私と夫に謝った義父は、それ以来いやらしい目付きながら手は出さないけれど、とても辛く当たるし、こんな風に憎たらしそうに私を見る。
「知らされていないことは知らなくて当然です」
「口が達者な嫁だ」
「父さん、紗栄子にちゃんと説明して様子を見ないといけないから」
「そうだな。一人でうろうろさせるなよ」
義父が後ろを向いた時には、もう夫が話を始めた。
「俺と父さんの勤めている会社を知ってるだろ?紗栄子は消費者金融をいろいろと調べていたよな」
「うん」
「テレビ局がCMを扱うくらいの大手以外は…紗栄子が調べても分からないようなこともある。うちもそう…大元というか…裏は組と言われるところ。簡単に言うと、藤堂と紗栄子が仲良くしているとうちの大元に知られると、そこから有らぬ疑いを掛けられる」
「散歩してカフェでカフェオレ」
「どこのカフェ?」
「駅の向こう」
スリッパを履いてリビングに向かう私に
「駅の向こうって繁華街か?」
夫が少し声を大きくして聞く。
「うん」
「紗栄子っ、あの繁華街に行くのはやめろ。これまでは良かったかもしれないが、一度藤堂と関わった後で行くのはやめろ」
「…ねぇ、藤堂って藤堂組っていう人たちのこと?」
「そうだ」
「そんなに避けないと怖いような何かをしたことがあるの?」
「…」
「この間から変に藤堂、藤堂って言うよね?無関係で生活出来ない理由があるの?これだけ聞かされると気味が悪いわ」
口をきゅっと結んだ夫に代わり返事をしたのは、甚平パジャマの紐を結びながらリビングに入ってきた義父だった。
「無知な嫁は困る。うちが怖いのは藤堂じゃない。別のところだ」
無知な嫁だと、義父は心底憎たらしそうに私を見る。義母が出て行って2週間ほどの夜
「紗栄子のせいでアレが出て行ったんだから、こっちの世話もしろ」
と私がお風呂に入ろうとして脱衣場で下着になった時にいきなり入って来て、私の肩に触れながらトランクスを下げた。私がありったけの声で
「きゃーーっ、やめてーーー」
と叫んだのは、小さく換気程度に開いていたルーバー窓の隙間から隣の家や、家の前を歩いていた人に聞こえて、数人がうちの玄関ドアを叩きながら通報するかと騒いでいるところへ夫が帰宅した。
近所へは酔っぱらった義父が暴れそうだったと説明した夫も、これは許せないから別に住むと義父に宣言した。私と夫に謝った義父は、それ以来いやらしい目付きながら手は出さないけれど、とても辛く当たるし、こんな風に憎たらしそうに私を見る。
「知らされていないことは知らなくて当然です」
「口が達者な嫁だ」
「父さん、紗栄子にちゃんと説明して様子を見ないといけないから」
「そうだな。一人でうろうろさせるなよ」
義父が後ろを向いた時には、もう夫が話を始めた。
「俺と父さんの勤めている会社を知ってるだろ?紗栄子は消費者金融をいろいろと調べていたよな」
「うん」
「テレビ局がCMを扱うくらいの大手以外は…紗栄子が調べても分からないようなこともある。うちもそう…大元というか…裏は組と言われるところ。簡単に言うと、藤堂と紗栄子が仲良くしているとうちの大元に知られると、そこから有らぬ疑いを掛けられる」
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