彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

現実と事実と真実と 1

「玖未、一緒に須藤へ来てくれるか？」
「あの…ここから見えるお屋敷？」
「そうだ。玖未のケガもあと少しで治る。これから新しい日常を作って行くだろ？」
「新しい日常…」
「ん、時間を掛けていろいろ試しながらでいい」
「うん」
「俺も繁華街の仕事や屋敷での仕事にも戻る」
「そうだよね…悠仁の仕事を代わりにいろんな人がやってくれているのかな？」

私がケガしたからだよね。

「誰かがいつも通り動けない時に周りがどれだけサポート出来るか…これはその団体の完成度が試されるし、動けない者の人望が暴露されるってもんだ。埋もれていた才能を発揮する者が出てきたりもするから悪いことではない」

コクン…‘物事の捉え方って自由だけれど、捉え方次第で人生変わる’って奈保先生が言ってたことと似てるのかな。

悠仁は自分が満足に仕事出来ない期間を‘悪いことではない’と捉えてくれた。

彼の周りもそう受け止めてサポートしてくれているなら、原因となった私も‘ありがとう’なのかもしれない。

「難しいことは考えなくても動くうちに分かるが、玖未の新しい日常に屋敷は切り離せなくなるのは確実だ。俺が頻繁に出入りするからな」
「うん」
「それに組員がもう動いただろ？」
「モール？」
「ん。あれで屋敷中の奴が玖未に会いたいと言う勢いだからな。親父から連絡があったんだ…」
「…何て？」
「マンションには野沢たちも常に出入りするから屋敷に玖未の部屋を作ったぞ…だと」
「え…私の部屋？」
「まだ未完成だから玖未に相談して完成させたい、とも言ってた」