さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

まぁ

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第十三話 10

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 本家に着くと、いつもより組員の出入りが多く

「私は部屋にいた方がいいよね」
「部屋だと一人だから食堂にいろ」

 正宗がそう言い食堂まで一緒に行く。彼は、そこにいた今泉先生と京太さん親子に

「一人にするな」

 そう告げて慌ただしく出て行った。

「綸ちゃん大変やったな。転けたとこ診せてな」

 先生が私を椅子に座らせ、迷わず膝を見るので、相変わらずすごい連絡網だと感心していると

「青くはなるけど問題ないな。手は?」

 気になっていなかったが紙袋を握って手をついたのか、指に擦り傷がある。でも血もほとんど出ない傷だ。

「洗えば大丈夫です。ありがとう、先生」

 手を洗い戻ると、ちょうど京太さんが4人分の麦茶と水羊羹をテーブルに置いてくれたところだった。

「もう5時だけど夕食遅れそうだから今のうちに休憩。組員多そうだからもう少し何か作るか…」
「いただきます。このあとお手伝いしますね。今日は私もここに泊まるって正宗が言ってました」

 と言いつつ……冷えた麦茶を一気に飲むと、京太さんが笑いながらおかわりをくれた。

「ありがとうございます。暑い中バタバタしたから…みんなも大丈夫かな?」
「スタミナカルビを作ろうか。丼にしても定食に一皿加えてもいいし」
「教えてください。手伝います」

 台所には、もうすでに今日の夕食は鯵の南蛮漬けがたっぷりとメインで出来ていた。カボチャの煮物と味噌汁も出来上がっていたが、急遽メニュー追加だ。

「綸ちゃんが作ってくれたラタトゥイユを皆に少しずつ出したら、サラダ感覚でいいね」

 京太さんが醤油や砂糖、ごま油で漬けダレを作る横で私はニンニクをすりおろす。そして肉とタレを混ぜ合わせながら彼は楽しそうに言った。
 
「鯵の南蛮漬けは残ってもこの肉は一瞬で無くなるぞ」
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