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尾木さんの濃いグレーの単色の甚平を見て
「尾木さん、こっちのシンプルなの似合ってます。ちょっとストップ」
そう言い肩車の二人の写真を撮らせてもらう。
「あははっ、何着ても似合うってことだ…っしょっと」
吉宗を私の前に下ろしてくれたので吉宗の頭を撫でて言った。
「いいねぇ、吉宗。尾木さんとお揃い」
「おぎ、せなかすごい」
「ああ…阿修羅っていうんですよね、尾木さん?」
「こい」
「えっ?恋?濃い?」
「綸、魚の鯉だ」
「あっ、正宗おかえりなさい」
尾木さんと吉宗の後方から正宗が現れ、二人を通りすぎて私の前までくるとチュッっと額に唇を落とす。彼の腰に軽く手を置き
「魚って言った?」
「ああ、魚の鯉。尾木」
「はいはい。おかえりなさいませ、若頭様」
呆れた様子を隠さず尾木さんがそう言うとくるっと後ろを向いた。その甚平の背中には生き生きとした大きな鯉と、弾け飛ぶみずみずしい水飛沫が描かれていた。
「ああ…鯉。尾木さん…着替えても派手だった…」
そして今日は恒例だった柄シャツから甚平か総柄の鯉口シャツに着替える者が続出し、それはそれで例年より怪しい集団となった。
「いかにもって言うのはどうなの?ヘンテコな柄シャツの方が可愛く思えるんだけど…」
「桜と唐獅子、唐獅子と牡丹、あとは龍と虎か?酷い柄だな」
「小笹さん…シャツじゃなくて甚平持ってたんだね…でもやっぱり背中の柄でなく総柄だ…」
「鶴だな…あんな下品に見える鶴、見たことねぇな?くくっ…」
正宗がビールを片手に可笑しそうに笑うと
「わしもそう思うわ。わしのはイケてるで」
今泉先生が私と正宗の前で甚平の背中を見せてくれる。そこには半裸の抜刀娘が描かれていた。
「…お腹減ったね…お肉もらってくる」
「綸ちゃん、無視はないでぇ」
「先生…それで屋敷から出ない方がいいですよ」
「なんでやねんっ」
漫才のツッコミを入れる先生をおいて、正宗と私の二人のお肉を取りに行った。
「尾木さん、こっちのシンプルなの似合ってます。ちょっとストップ」
そう言い肩車の二人の写真を撮らせてもらう。
「あははっ、何着ても似合うってことだ…っしょっと」
吉宗を私の前に下ろしてくれたので吉宗の頭を撫でて言った。
「いいねぇ、吉宗。尾木さんとお揃い」
「おぎ、せなかすごい」
「ああ…阿修羅っていうんですよね、尾木さん?」
「こい」
「えっ?恋?濃い?」
「綸、魚の鯉だ」
「あっ、正宗おかえりなさい」
尾木さんと吉宗の後方から正宗が現れ、二人を通りすぎて私の前までくるとチュッっと額に唇を落とす。彼の腰に軽く手を置き
「魚って言った?」
「ああ、魚の鯉。尾木」
「はいはい。おかえりなさいませ、若頭様」
呆れた様子を隠さず尾木さんがそう言うとくるっと後ろを向いた。その甚平の背中には生き生きとした大きな鯉と、弾け飛ぶみずみずしい水飛沫が描かれていた。
「ああ…鯉。尾木さん…着替えても派手だった…」
そして今日は恒例だった柄シャツから甚平か総柄の鯉口シャツに着替える者が続出し、それはそれで例年より怪しい集団となった。
「いかにもって言うのはどうなの?ヘンテコな柄シャツの方が可愛く思えるんだけど…」
「桜と唐獅子、唐獅子と牡丹、あとは龍と虎か?酷い柄だな」
「小笹さん…シャツじゃなくて甚平持ってたんだね…でもやっぱり背中の柄でなく総柄だ…」
「鶴だな…あんな下品に見える鶴、見たことねぇな?くくっ…」
正宗がビールを片手に可笑しそうに笑うと
「わしもそう思うわ。わしのはイケてるで」
今泉先生が私と正宗の前で甚平の背中を見せてくれる。そこには半裸の抜刀娘が描かれていた。
「…お腹減ったね…お肉もらってくる」
「綸ちゃん、無視はないでぇ」
「先生…それで屋敷から出ない方がいいですよ」
「なんでやねんっ」
漫才のツッコミを入れる先生をおいて、正宗と私の二人のお肉を取りに行った。
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