11 / 37
11 お約束のアレっぽいやつ
しおりを挟む
買った馬には、シュネルという名前を付けた。
栗毛の大きな馬で、とても賢く大人しく、走らせればかなり速い。
魔物にも驚かず、きちんと指示を聞けるというのでシュネルを買うことに決めた。
「魔の森まで、このまままっすぐ進んで一ヶ月か」
実際の旅路としては、その倍以上かかるだろう。
ただ進むわけではなく、魔物を見かけたら倒していく予定なのである。
とりあえず、この調子なら見かけた魔物を倒しながらでも次の町までは二日ほどだ。
『魔物も倒さないとだけど、もしも魔力溜まりを見つけたら、それもちゃんと壊してよね』
腰の魔法剣(待機)は当たり前のようにそう言った。
しかし、トールヴァルドは初耳である。
「魔力溜まりってなんだ?」
『んー、人界にはめったにないのよ。普通はないの。でも、勇者が現れるくらい魔物が増えてるならどっかにあるかもしれないわ。その魔力溜まりが、魔物を引きつけちゃうし生み出しちゃうのよね』
「その魔力溜まりっていうのが、魔物の発生源なのか」
知らなかった情報に、トールヴァルドは眉を寄せた。
『魔物の発生源の一つではあるわ。普通、魔物ってそこらへんに留まった魔力が集まってできるのよ。だから魔力が一ヶ所に溜まってれば生まれもするってわけ。魔力だまりはその集まりの濃いやつね。生まれるっていうよりは出来上がるって感じかも。あいつら生きてると言っていいかわかんないし』
「どういうことだ。魔物は、魔力から生まれるのか?」
シュネルの背に揺られながら、トールヴァルドは衝撃の事実を耳にした。
『そうよ。でも諸説あるってことになってるの。魔力を留まらせて時間を置いたら魔物ができるなんて、悪い奴に知られたら大変でしょ』
「魔力を留まらせないためにはどうするんだ?」
『魔法を使えばいいのよ。勝手に魔力が動くから、魔物は出てこない。ほら、田舎よりも都会の方が魔物は出にくいでしょ。人が多くて魔力の動きが多いと、魔物も出てこないの』
その理屈であれば、日常的に魔法や魔道具を使うのが普通である民家の中で魔物が見つからないことも納得できる。
王都の中にはほとんど魔物がいなかったことも、トールヴァルドが生まれた村の外には魔物が多かったことも。
その知識を悪用する人なんていない、と言いたいところだが、どこにでも悪いやつはいるし、興味本位でやってみてしまうやつもいる。
確かに、あまり公開していい情報ではなさそうだ。
「なるほど、だったら魔法が便利なことを広めるのが一番か」
『そういうこと!ってか、トールヴァルドって結構脳筋っぽい見た目してるのに実はそうでもないわよね。毎日の筋トレだってすごい計算してやってるし、食事だってそう。なんか意外だけど、そういう性質って魔法を使うにはすごく向いてるわよ!』
魔法剣(待機)に貶されて褒められた。
そして実際、自分でも魔法は何の苦労もなくできるものだと実感していた。
昨晩野宿したときにも、一瞬でタープを張ることができたし火も起こせた。
朝起きてからタープの夜露を一瞬で乾かして、鞄に収納するのも簡単だった。
もしも魔法の修行にいそしんでいる魔法使いにこれを知られたら、嫉妬の炎で焼き殺されるかもしれない。
「お、町が見えてきたな」
『ほんとね。あぁ、この感覚久しぶりぃ!何にもないところから人の営みを眺めて感動するの。人ってたくましくて愛おしいわねぇ』
よくわからないが、魔法剣(待機)は人が好きらしい。
昼前には、町の入り口に着いた。
馬を預けられる宿は少し高かったが、支給された金があるので気にせずに決めることができた。
非常にありがたい。
宿が決まったので、まずは魔物退治の情報を得ようと考えて、町の冒険者ギルドを訪れた。
「なぁ?女一人なんて危険だって。俺らと一緒に組もうぜ」
「いいえ、いらないわ。これでもAランクなのよ」
「ひゅぅ!そりゃあ強ぇなぁ。でもな、魔物に対しては強くても、男に対しては強いとは限らねぇだろ?俺らが一緒だったらそういうのから守ってやるからさぁ」
「いらないってば。近づかないで!」
久しぶりに、お手本のようなガラの悪い冒険者を見た。
『ちょっと、助けてあげなさいよ勇者さん』
「言われずとも」
トールヴァルドは、大剣を背負ったツインテールの女の子の腕を掴もうとした男の腕をひょいとひねり上げた。
「いってぇえええ?!」
「なんだ、この程度の気配も読めないのか?『守る』なんてずいぶん大口を叩いたもんだな」
ぎゅ、と男の首元に指を一本押し付けた。ちょうど頸動脈の位置である。
ひねり上げられた男は、ひゅっと息をのんだ。
「去ね」
パッと手を離した途端、その男は「ひぃぃ」と言いながら走っていった。
『ひゃぁん!トールヴァルドったらかぁっこいい!』
魔法剣(待機)を無視して、去った男には見向きもせず、残りの二人にゆらりと向き合うと、彼らは武器を構えようとした。
二対一なら、と考えたらしい。
仕方がないので、トールヴァルドはそれぞれの懐に素早く入ってみぞおちを打ち、ギルドの外に放り出した。
トールヴァルドの動きについてこれなかったらしい二人は、しばらく悶絶したのち、それぞれにふらふらと立ち去っていった。
『一昨日来やがれってね!』
「大丈夫だったか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
こちらを見上げてくる女の子は、長い黒髪をツインテールにしていて、軽そうな皮鎧を着けていた。
一見服と見まがうそれは、非常に高価で効果も高い防具だ。
『あら可愛い子ね』
大剣は彼女の背丈よりも大きい。
しかし女の子は体幹をぶれさせることがない。
そこまで筋骨隆々とした感じではないから、見る目のない者なら誤解するのだろう。
「もしかしたら、余計なことだったか?」
ぶっちゃけ、この子ならきっとあの三人がまとめてかかってきても軽くぶちのめしただろう。
Aランクだと言っていたし、実際それくらいか、それ以上の実力がありそうだ。
だからといって、男慣れしているかどうかはまた別問題である。
トールヴァルドの肩よりも下までしかない背丈の彼女を威圧しないよう、一歩引いてみた。
女の子は、笑顔でこちらを見上げた。
「ううん!ちょっとめんどくさかったから、助かったわ」
やっぱり、対処はできたんだろう。
女の子はこの町に来てまだ二日ほどだと言った。
魔物の情報を確認していると、魔物討伐の報告を終えたらしい女の子はトールヴァルドのところへやってきた。
「さっきはほんとにありがとう。お礼をしたいんだけど、エールか何かを一杯奢るんでいい?あそこのお店なら飲めるから」
女の子が指さした先は、こじんまりした定食屋だ。
「いや、そこまではいらない。ただそうだな、このあたりの情報を教えてくれたらその方がありがたい」
「わかったわ!じゃあ、食べながら教えてあげる」
どういうわけか、魔法剣(待機)は静かに待機していた。
栗毛の大きな馬で、とても賢く大人しく、走らせればかなり速い。
魔物にも驚かず、きちんと指示を聞けるというのでシュネルを買うことに決めた。
「魔の森まで、このまままっすぐ進んで一ヶ月か」
実際の旅路としては、その倍以上かかるだろう。
ただ進むわけではなく、魔物を見かけたら倒していく予定なのである。
とりあえず、この調子なら見かけた魔物を倒しながらでも次の町までは二日ほどだ。
『魔物も倒さないとだけど、もしも魔力溜まりを見つけたら、それもちゃんと壊してよね』
腰の魔法剣(待機)は当たり前のようにそう言った。
しかし、トールヴァルドは初耳である。
「魔力溜まりってなんだ?」
『んー、人界にはめったにないのよ。普通はないの。でも、勇者が現れるくらい魔物が増えてるならどっかにあるかもしれないわ。その魔力溜まりが、魔物を引きつけちゃうし生み出しちゃうのよね』
「その魔力溜まりっていうのが、魔物の発生源なのか」
知らなかった情報に、トールヴァルドは眉を寄せた。
『魔物の発生源の一つではあるわ。普通、魔物ってそこらへんに留まった魔力が集まってできるのよ。だから魔力が一ヶ所に溜まってれば生まれもするってわけ。魔力だまりはその集まりの濃いやつね。生まれるっていうよりは出来上がるって感じかも。あいつら生きてると言っていいかわかんないし』
「どういうことだ。魔物は、魔力から生まれるのか?」
シュネルの背に揺られながら、トールヴァルドは衝撃の事実を耳にした。
『そうよ。でも諸説あるってことになってるの。魔力を留まらせて時間を置いたら魔物ができるなんて、悪い奴に知られたら大変でしょ』
「魔力を留まらせないためにはどうするんだ?」
『魔法を使えばいいのよ。勝手に魔力が動くから、魔物は出てこない。ほら、田舎よりも都会の方が魔物は出にくいでしょ。人が多くて魔力の動きが多いと、魔物も出てこないの』
その理屈であれば、日常的に魔法や魔道具を使うのが普通である民家の中で魔物が見つからないことも納得できる。
王都の中にはほとんど魔物がいなかったことも、トールヴァルドが生まれた村の外には魔物が多かったことも。
その知識を悪用する人なんていない、と言いたいところだが、どこにでも悪いやつはいるし、興味本位でやってみてしまうやつもいる。
確かに、あまり公開していい情報ではなさそうだ。
「なるほど、だったら魔法が便利なことを広めるのが一番か」
『そういうこと!ってか、トールヴァルドって結構脳筋っぽい見た目してるのに実はそうでもないわよね。毎日の筋トレだってすごい計算してやってるし、食事だってそう。なんか意外だけど、そういう性質って魔法を使うにはすごく向いてるわよ!』
魔法剣(待機)に貶されて褒められた。
そして実際、自分でも魔法は何の苦労もなくできるものだと実感していた。
昨晩野宿したときにも、一瞬でタープを張ることができたし火も起こせた。
朝起きてからタープの夜露を一瞬で乾かして、鞄に収納するのも簡単だった。
もしも魔法の修行にいそしんでいる魔法使いにこれを知られたら、嫉妬の炎で焼き殺されるかもしれない。
「お、町が見えてきたな」
『ほんとね。あぁ、この感覚久しぶりぃ!何にもないところから人の営みを眺めて感動するの。人ってたくましくて愛おしいわねぇ』
よくわからないが、魔法剣(待機)は人が好きらしい。
昼前には、町の入り口に着いた。
馬を預けられる宿は少し高かったが、支給された金があるので気にせずに決めることができた。
非常にありがたい。
宿が決まったので、まずは魔物退治の情報を得ようと考えて、町の冒険者ギルドを訪れた。
「なぁ?女一人なんて危険だって。俺らと一緒に組もうぜ」
「いいえ、いらないわ。これでもAランクなのよ」
「ひゅぅ!そりゃあ強ぇなぁ。でもな、魔物に対しては強くても、男に対しては強いとは限らねぇだろ?俺らが一緒だったらそういうのから守ってやるからさぁ」
「いらないってば。近づかないで!」
久しぶりに、お手本のようなガラの悪い冒険者を見た。
『ちょっと、助けてあげなさいよ勇者さん』
「言われずとも」
トールヴァルドは、大剣を背負ったツインテールの女の子の腕を掴もうとした男の腕をひょいとひねり上げた。
「いってぇえええ?!」
「なんだ、この程度の気配も読めないのか?『守る』なんてずいぶん大口を叩いたもんだな」
ぎゅ、と男の首元に指を一本押し付けた。ちょうど頸動脈の位置である。
ひねり上げられた男は、ひゅっと息をのんだ。
「去ね」
パッと手を離した途端、その男は「ひぃぃ」と言いながら走っていった。
『ひゃぁん!トールヴァルドったらかぁっこいい!』
魔法剣(待機)を無視して、去った男には見向きもせず、残りの二人にゆらりと向き合うと、彼らは武器を構えようとした。
二対一なら、と考えたらしい。
仕方がないので、トールヴァルドはそれぞれの懐に素早く入ってみぞおちを打ち、ギルドの外に放り出した。
トールヴァルドの動きについてこれなかったらしい二人は、しばらく悶絶したのち、それぞれにふらふらと立ち去っていった。
『一昨日来やがれってね!』
「大丈夫だったか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
こちらを見上げてくる女の子は、長い黒髪をツインテールにしていて、軽そうな皮鎧を着けていた。
一見服と見まがうそれは、非常に高価で効果も高い防具だ。
『あら可愛い子ね』
大剣は彼女の背丈よりも大きい。
しかし女の子は体幹をぶれさせることがない。
そこまで筋骨隆々とした感じではないから、見る目のない者なら誤解するのだろう。
「もしかしたら、余計なことだったか?」
ぶっちゃけ、この子ならきっとあの三人がまとめてかかってきても軽くぶちのめしただろう。
Aランクだと言っていたし、実際それくらいか、それ以上の実力がありそうだ。
だからといって、男慣れしているかどうかはまた別問題である。
トールヴァルドの肩よりも下までしかない背丈の彼女を威圧しないよう、一歩引いてみた。
女の子は、笑顔でこちらを見上げた。
「ううん!ちょっとめんどくさかったから、助かったわ」
やっぱり、対処はできたんだろう。
女の子はこの町に来てまだ二日ほどだと言った。
魔物の情報を確認していると、魔物討伐の報告を終えたらしい女の子はトールヴァルドのところへやってきた。
「さっきはほんとにありがとう。お礼をしたいんだけど、エールか何かを一杯奢るんでいい?あそこのお店なら飲めるから」
女の子が指さした先は、こじんまりした定食屋だ。
「いや、そこまではいらない。ただそうだな、このあたりの情報を教えてくれたらその方がありがたい」
「わかったわ!じゃあ、食べながら教えてあげる」
どういうわけか、魔法剣(待機)は静かに待機していた。
1
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる