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そんなつもりは無かったのに?

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 「先日、刑事さんが来てね。」


 常連らしくカウンターでアイスコーヒーを頂く俺とフナさん。

 出来れば【オヤっさん】と呼びたい?

 マスターと世間話しとか始め…

 ん? 内容が刑事ドラマみたいだが?



 「もしかして、あの件ですか?」


 もう、ソレしか無いだろう!

 「うん、矢沢の居所を知らないかって聞かれたよ?」


 「矢沢ってダレです?」


 「彼女のだった男さ。

 実は同じ高校の出身でね、多少面識があったんだ。」

 …どうやら行方不明らしい?

 …まさかねぇ?


 「今日も真弓は謙之介くんの家にいるのかい?」

 急にほっこりした話題になったので、ほっとした。

 「はぁ、妹とケーキを作るとか言ってましたよ、そういうの好きと言うか、得意なんですよ、ウチの妹は。」

 ケーキ作りはアイツの小学校の頃からの趣味だったりする、亡くなった父が甘いモノが好きだったから…

 「エリちゃんの手作りケーキだって!」

 しんちゃんが狼狽えている、何故?


 「…妹さん、大学生だよね?

 ウチでバイトとかしてくれないかな?」

 そんな息子のことは無視して、俺に訊ねてくるマスター。

 「言っておきますよ。」

 「ああ、よろしく頼むね。」




 急に居づらくなったので、レイコーを飲み干したらサッサと帰った…。
 
 ほんの一瞬だけ、ママさんがでコチラを見た…様な気がしたのだ?

 

 ソレからしばらくして、妹はこの喫茶店でバイトを始めるのだけど、

 「…お姉さんのってね、やたらと【お兄さん】の事を聞いてくるんだけど何で?」


 「はは…何でだろうねぇ?」


 「…あの人私の母は世間体とか周りの目とかを、物凄く気にする人だから…」
 

 嫁の美咲がボソッと言う。


 出来れば其々のご両親と上手くいって欲しいと俺なりに頑張ってみたのだけど、にはサッパリだった。


 「つまりがお姉さんの旦那様だと世間体が悪いとか?」


 「そ、そんな事無いよ‼︎」

 「だよね、私もそう思うよ、似たもん夫婦だし、ラブラブだし(最後だけ棒読み)?」

 「さすがエリ、わかってるじゃない!」


 嫁の実母とこんな感じなのだ、実父とはどうなることやら?

 兎も角、妹は喫茶店のバイトを週三で入れたそうだ。


 他にも2人程バイトを雇うらしい?


 「あ、そうだ!

 ねぇねぇ今度の日曜日、カンナちゃんとマユちゃんが【子猫】のお迎えに来るから、お兄ちゃん家にいてよ!」

 「お! ついに初顔合わせか⁈」


 小学1年で姪のカンナも子猫が欲しいとお願いされた。


 動物は苦手の義兄も泣く子には勝てなかったらしく、に家族皆んなで来るそうだ?

 (家族みんな? 祖父祖母も来るのか?)


 中学生のマユちゃんも歳下の女の子に会うと聞いて、緊張しているそうだ?

 今まで末っ子だったし、どんな顔を見せてくれるか楽しみで、推せる!

 ついでだから勝平くんもご招待しようとか真壱郎くんが言っていたのだけど、

 「まで来るとめんどくさい事になるから、今回はやめてくれる?」


 と、美咲に釘を刺されていた?

 ちょっと可哀想だな?



 で、当日です。
 

 「キャっ! はわわ、あの~?」

 「ネェおじちゃん、このお姉ちゃんダレ?

 おじちゃんのお嫁さん?」

 「えぇ~、って⁇」


 物怖じしないのは母親譲りのカンナが、のマユちゃんに飛びついた!

 色んな意味で顔を紅くしているマユちゃん。



 …尊い…推せる………

 あとカンナや?

 新しいとか嫁とか、もう無いからね?

 (誰だ、つまらん事教えているのは?)




 「お~い、ケン坊?」

 「あ、はい、オヤジさんご無沙汰です。」


 「ん、線香あげるから付き合え。」


 姉の嫁ぎ先のオヤジお義父さん、ウチの父とは飲み友達だった。

 不動産屋の社長とかしてが、今は会社を息子に譲り孫とのんびり暮らしている好好爺だ。



 「…なぁ、に聞いたんだが、ケン坊の友達に幽霊に詳しいヤツがいるんだってな?」

 【雪】とはオレの姉の名前だ、ありがたい事に、大変大切にされて息子の嫁と言うより、【実の娘】の様に扱われてる。

 「はぁ、何ですか急に?」


 「…ん、実は厄介なシロモノ押し付けられてな?

 【事故物件】って聞いた事有るか?」



 「…野村真●華ノムさんですか?」


 「誰だ、そりゃ?」


 「妹のバイト友達なんすけど、美人で可愛くて猫好きな方デスが?」

 ウチの妹サンがシネコンのバイトで知り合ったとか?

 小学校時代の幼馴染とは別の女の子なんだけとね。

 「…真面目な話しなんだがな?」

 オヤ…?
 
 
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