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美しい除霊師〜のはずなんだけどなぁ?

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 本名 【大岩 愛里】

 彼女はあくまで【ボランティア】で除霊を行っている。

 過去、行き掛かり上祓ったことは有ったが【お礼】を言われても【謝礼】はもらった事は無かった。

 あくまで本業は漫画なのだと本人は考えている。


 「別に生活に困ってないし?」

 実は噂では実家が資産家なのだとか?

 しかしのはいけないと依頼人から【謝礼】をもらう様に成ったのは、華ヶ民会長との【専属契約】からなので、ソレまでの活動と違って事故物件に住み着いた霊たちをと成仏させている。

 (ソレまでのケースは一時的にと言うか、簡易的に除霊しただけで、再び現れる場合も有りかも?)

 結果的に【レベルが上がった】様な状態でもあるらしい…

 昇天率100%だとか?

 あくまで本人の見解だが?


 「…そうなんだ、赤ちゃんが産まれるからより広いおウチに引っ越ししたんだよ。

 でも、トモちゃんこのおウチに帰って来ちゃったみたいだから、たちがトモちゃんを探しに来たんだ。」


 …そういうだ、今のトコロ上手くいっている。

 『…そうなの?

 トモちゃん、ぜんぜんおぼえてないよ?

 ねぇ、ママはどうしておむかえに来てくれないの?

 いつもみたいに、パパはじどうしゃで来てくれないの?』


 …トモちゃんが不安そうな顔を見せた…

 想定内の反応だ、ココで慌てたりしたらマズい事になる。


 「ふふ~ん、何でママたちが来れないか分かるかな?

 実はね~…

 う~ん、どうしようかなぁ、またクイズにする?」

 あえて焦らしてみた。


 『…、イジワルしないでおしえてよ~?

 トモちゃん、はやくママとパパにあいたいの!』


 …の事は記憶に無い様だ?

 あえて触れないでおこう、このまま誘導する、複雑過ぎるとトモちゃんが混乱するかも。

 そろそろ愛里サンにバトンタッチしよう。


 「…トモちゃん、初めまして!

 はこののお友達で、【アイリお姉さん】です!

 今日はトモちゃんのパパの代わりに、お姉さんがトモちゃんを迎えに来たのよ。」



 …………ワロタ?


 いや、アイリさんにもこんなみたいな顔が出来たのだと泣けた?


 『きれい…お姉ちゃん、ゆかりセンセーみたい!

 すごいキレーなの!』

 どうやら保育園の保育士の事らしい?

 「あ…ありがとう、トモちゃん…な、なんて良い子なの!」

 幼児に綺麗と言われ、コロってイカされてチョロ過ぎるだろ?

 「こら~、クールビューティーの仮面が剥がれてるぞ~?

 あのねトモちゃん、パパはもうすぐが産まれそうなので、今はママのそばを離れられないんだ。

 だから、トモちゃんも直ぐパパたちのに行こう!

 お兄ちゃんたちが送ってあげるからね!」


 『えっ⁈

 赤ちゃん、もうすぐうまれるの?

 トモちゃん、【お姉ちゃん】にの⁈』

 モノすごい笑顔で聞き返すトモちゃん⁈
 

 、トモちゃんは自分がになる事を強くママにしていたそうだ⁈

 保育園のお友達に妹か弟が産まれたとかで、とても羨ましがっていたとに有る?

 

 また、猫か犬を飼いたいとも言っていたそうだが、今は赤ちゃんが産まれて自分がになれる事に喜んでいる様だ。

 
 「そうなの、トモちゃんはお姉ちゃんになるのよ。

 良かったね、弟かしら、ソレとも…」
 

 『トモちゃん、【いもうと】がいいの!』







 いつの間にか、美咲は部屋から退出し、廊下で泣いていた。

 トモちゃんのご両親が今何処に居るのか、知っているからだ。


 そもそもこの依頼はオヤジさんからだが、オヤジさんを頼って話しを持って来たのは、トモちゃんのおばあちゃんらしい?

 何処からか、この家に幼い女の子の幽霊が出ると噂を聴いて、古くからの知人であるオヤジさんに相談したらしい?


 どうやらオヤジさんは今回の為にアイリさんを雇った様だ?

 幾つか【事故物件】を処理させて、その腕前から最終でこの家、つまり【トモちゃん】を安心して成仏させられると判断したらしい…。


 この家を早く売却して、おばあちゃんにそのお金を渡したい様だ?



 『お姉ちゃん、はやくはやく!

 はやくしないと赤ちゃんがうまれてきちゃうよ!

 トモちゃん、ママにありがとうっていってあげるの!

 でね、赤ちゃんにトモちゃんがお姉ちゃんだよ、はじめましてって、ごあいさつするんだから!

 はやくしないと、赤ちゃんだからねむっちゃうよ!』


 この家で帰らぬ両親を一人で待っていたトモちゃん、馬鹿どもから必死でこの家を守っていたトモちゃん…

 「よし、それじゃあトモちゃんにだけお姉さん【秘密の近道】を教えてあげるわね!」

 『…ちかみち? うん、おしえて! トモちゃんはやくママや赤ちゃんにあいたいの!』



 優しく微笑みながら、アイリさんは簡易祭壇に供えてあるお菓子や果物を指差した。

 「それじゃ途中でお腹が空くといけないから、オヤツを持っていきましょうね、アレ全部トモちゃんにあげるから、食べキレない分はにあげてね?

 ママが食べるとになって赤ちゃんも食べられるからね。」


 …どこ知識だよ、あと自分の胸を見て頬を赤らめるなら始めから言うな、可愛いな?


 『うん、わかったよお姉ちゃん!』
 

 「よし行こうか、それじゃ【近道】の入り口はね~…

 ココよ!」


 そう言うと祭壇に祀ってあるらしきモノを指差した?

 「…アレが【秘密の近道】の入り口よ、あの先にパパがいるだからね…

 さぁ逝ってらっしゃい!」



 『…うわぁ~、なんかすごくまぶしくてあったかいよ?

 …あっ!

 パパのこえがするよ!』


 「…トモちゃんが心配で迎えに来てくれたのかしら?」

 『うん、きっとそうだよ!』





 後の事はアイリさんに任せた、ここからはもう見守る事しか出来ないからだ…
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