【人妻編】AIに官能小説もどきを書かせてみた

【2話】欲望の入り口：禁断の扉

そんな虚ろな日々の中、ある日、有希乃の指先が偶然、
スマートフォンの画面に滑り込ませた「欲望チャット」という、
背徳的な響きの文字が目に飛び込んできた。怪しげな響き。
まるで闇の奥から誘い出すかのようなその名前は、一瞬の躊躇を抱かせた。
しかし、その怪しさこそが、彼女の枯れきった日常に、凍りついた感情に、
ほんの一滴の刺激を与えるかもしれないという、微かな、
しかし抗いがたい期待を抱かせた。

恐る恐るアクセスすると、画面いっぱいに無数のバナー広告が
チカチカと点滅していた。その広告は、露骨な写真や、
挑発的なコピーで埋め尽くされている。

「人妻歓迎！」
「秘密の逢瀬、叶えます」
「旦那に内緒で、私と堕ちてみませんか？」――。

まるで有希乃の心の奥底に渦巻く寂しさや満たされない欲求を
全て見透かしたかのように、巧みに煽り立てる言葉の羅列。
有希乃は、嫌悪感を覚えながらも、その言葉の一つ一つに、
まるで磁石に引き寄せられるかのように視線を奪われた。

広告の下には、無数のチャットルームが羅列されていた。
ほとんどのルーム名は、性的な誘い文句か、あるいはストレートな
「人妻募集」といった露骨なものばかりだ。
チャットルームの横には、ユーザーのアイコンと、意味深な待機メッセージが並ぶ。
そのプロフィール写真はどれもこれもが加工され、見るからに下劣なものばかり。
メッセージのほとんどは「すぐ会いたい」「写真見せて」「今すぐ来て」といった、
性的な誘い文句の羅列で、有希乃はすぐに嫌気がさした。

「会いたい人妻募集中！今すぐ会える方歓迎！」
「寂しい夜を俺と過ごしませんか？既婚女性優遇」
「熟女好きです！旦那がいても気にしません！」

その待機メッセージの言葉のどれもこれもが、有希乃の心臓を、
まるで汚れた手で直接掴むかのように、不快な感覚を刺激した。
まるで汚物に触れたかのような生理的な嫌悪感。
それでも、彼女の指先は、いくつかのメッセージをタップし、内容を確認していた。

「奥さん、寂しいんでしょ？旦那さんが構ってくれないなら、俺がいくらでも相手してあげるよ」
「旦那さんが出張なら、俺が今すぐ駆けつけて、あんたの退屈を吹き飛ばしてやるからさ」

薄っぺらい、耳障りな言葉の羅列。
彼らの言葉からは、有希乃という個人への関心など微塵も感じられず、
ただ「人妻」という記号に群がる、飢えた獣たちの欲望が剥き出しになっていた。
しかし、そんな中でも、チヤホヤされる感覚は、有希乃にとって何年ぶりかに味わう
「女としての喜び」だった。
忘れかけていた、男からの熱い視線と、自分を求められることへの小さな高揚感。
彼女がチャットを再開したのは、まさにこの「チヤホヤされる感覚」への渇望だった。
しかし、その喜びは束の間で、画面の向こうで蠢く、現実へと踏み込もうとする男たちの
下劣な要求に、有希乃はすぐに嫌気がさした。
彼女はためらうことなくチャットを閉じ、再び日常の虚無へと身を沈めた。

だが、チャットアプリを閉じたその瞬間、有希乃の胸に、今まで感じたことのない
奇妙な感覚が湧き上がった。それは、確かに嫌悪感であったはずなのに、
その奥底には、まるで微かな火種が灯ったかのような、抗いがたい熱が残っていたのだ。
男たちの露骨な欲望は、彼女を不快にさせた。しかし、その一方で、自分の存在が、
まだ誰かにとって「欲望の対象」であり得るという事実は、凍りついていた有希乃の心の奥底に、
微かな、しかし確かな渇望を呼び起こしていた。