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悪夢の始まり
13.その道しるべに、気づける者だけが導かれる
しおりを挟む埋葬を終え、それぞれに思うことがあるのか、暫くは無言の時間が過ぎた。
彼女の歌声は、もう聞こえなくなってしまったが、村に残っていた何とも言えない邪気のような者だろうか、そういう物は綺麗さっぱり消え失せてしまっている。
「僕の愛し子とベオルフの力は偉大だな」
そういって、主神オーディナルは私の頭を撫でた。
一旦は落ち着ける――しかし、すぐにでも王都へ帰る方が良いという危機感も芽生えていた。
おそらく、黒狼の主ハティが余計なことを企んでいるのだろう。
「皆の……怨念じゃねぇけどさ……後悔やら色んな物が消えて……無事に逝けたみたいだ」
「そういうことも判るようになったのか」
「ありがたいことにな」
「……これから先は、嫌な物も見る可能性があるぞ」
「お前も見えてんだろ? だったら、別に問題はねーよ。それに、そっちの方がハティを追い詰められそうだ。ヤツは絶対に恨みを買いまくっているからな」
それには激しく同意だ。
失われた命が手を貸してくれるというのなら心強いが、その反対だってあるだろう。
何せ、相手は……
「死人を操る力……か」
「いよいよ、オーディナル様と敵対していた邪神や魔神ってのが出てきそうだな」
「アレはおとぎ話では無いわよ。実際に戦った記録が残っているわ」
会話に交じってきたのは意外にもアーヤリシュカ第一王女殿下であった。
月の女神を祀る神官の一族であった母を持つ彼女のことだ。
我々が知らないことを聞いている可能性はある。
「母に、寝物語みたいに聞かせて貰ったことは多いけど……物語じゃなくて真実だったなんて……こうなって初めて知ったわ」
「知らなかった方が幸せだったという事もありますからね」
ナルジェス卿の言葉に同意しながらも、アーヤリシュカ第一王女殿下は私たちを真っ直ぐ見つめる。
「太陽神の神官の末裔と相まみえるのは、おそらく、その魔神が復活する予兆だって母は言っていた……導かれるときが来るって……私は、未来の夫を救いに来ただけなのにね」
「そうやって己の道を歩みながらも、交わる道がある。神官の末裔は、その道に人知れず道しるべがあるものだ」
主神オーディナルが何気なく言い放った言葉ではあったが、それは、とても深い意味を持っているような気がした。
こういう言い方をする時の主神オーディナルは、何かを知り、何かを感じている。
しかし、告げることの出来ないことなのだと悟り、私は黙って頷いた。
「その道しるべに、気づける者だけが導かれる。これからも……そうやって、人は集まってくるということですね」
「僕は何も手を打っていないわけでは無い。神が全てを背負うのではなく、この世界に生きる者たちが手を取り合い、歩んでいけるように手は尽くしている。……少なくとも、2人で耐える時期は、とうに終わっている。お前達が必要以上に背負わずとも良い」
「……はい」
私と彼女の周りにいる人たちを簡単に思い描けるくらいには、心許せる仲間が増えた。
以前の私なら、ルナティエラ嬢を誰かに任せるなど考えもしなかっただろう。
問題が残っている王都を、王太子殿下や父たちに任せて出てくることも無かったはずだ。
「少しずつ変わっていく環境ですね」
「そうだな。お前達は、よく耐え抜いた。世界を守るために、傷つきながらも耐えてくれた。そのおかげで、油断して増長したバカどもが尻尾を出し始めたのだ。黒狼の主ハティは良い例だろう」
主神オーディナルに「バカども」と言われる黒狼の主ハティは、この言葉を聞いたら逆上して、更に暴れてくれるだろう。
自分が招いた結果だとも知らずに――
しかし、気になる点はある。
「例のアレですが……」
「ああ、アレか……まだ接触はないようだ。此方のほうは慎重だから気をつけるようにな」
「此方は?」
「まあ……そういうことだ」
危惧していたことが現実になったか――ルナティエラ嬢の方は大丈夫だろうかと心配になるが、主神オーディナルは此方で優雅に寛いでいるのだから、リュートが上手く対処してくれたのだ。
いや、まさか……ルナティエラ嬢が対処したワケでは無いだろうな――
一抹の不安を覚えるが、確認する術は無い。
「出来る事なら、ルナティエラ嬢の現状確認と王太子殿下に報せを――」
「無理を言うな。今日は何もせずに眠れ。報せなら何とかなる」
「何とかなるのですか?」
「此方の状況を簡単に手紙にしたためると良い。それだけで何とかなる」
主神オーディナルの言葉を疑うわけでは無いが、それだけで何とかなるものか? 疑問を覚えつつも、先ほど使っていたテーブルの上に現れた便せんと羽根ペンとインクに溜め息をついてしまう。
仕方が無いと席に着き、王太子殿下と母に近況を書いた手紙をしたためる。
そういえば、真白が手紙を届ける為に……と言っていた機能は、どうやって発動させるのだろうか。
朝起きたときに変わっていたのは、武器くらいなものだ。
まさか……な。
「へぇ……お前、字が上手なんだな」
「一応、学園で綺麗に書く方法を教わるし、練習もするからな」
「ねーねー、ベオ。ボクもサインしてあげるねー」
「それは良いアイデアだ。アレが夢では無いと現実を教えるためにも、我々もサインをしておこう」
どこかウキウキとインクに前脚をつけるノエルと、ちょんちょんと片足をつける紫黒。
それを見た王太子殿下が執務室に突っ伏す姿が見えるようだ。
私が近況を出来るだけわかりやすく書き記した手紙の最後に、私とノエルと紫黒のサインが入った。
それを見たアーヤリシュカ第一王女殿下は、可愛い! と大はしゃぎで、ノエルと紫黒のサインを自分の持っている便せんにも頼んでいる。
そのサイン入り便せんを、王太子殿下に使うことだけは辞めてあげて欲しい。
「あ、ボクのサイン、2人にもあげるねー!」
「あ、いや、ノエル様……それはちょっと……ああああっ!」
「俺の分は、そっちへ……ああああっ!」
ピョンッと跳ねたノエルが、問答無用で護衛二人の頬とおでこに手形スタンプを押す。
あのインク……なかなか取れないのだが……まあいいかと、溜め息交じりに項垂れている二人を少しだけ哀れに思いながらも放置した。
そんな二人を見た後だというのに、マテオさんとナルジェス卿は、ノエルと紫黒に頼んでハンカチに押して貰っている。
しかも、ホクホク顔だ。
まあ……神獣のサインだから、多少なりとも御利益はありそうだな。
「これからの予定は?」
「ここで一泊して、翌朝から置いてきた馬車へ戻る。あの坑道に罠が残っていないとは思うが……注意していこう」
「そうだな。そのまま港町へ直行か?」
「ナルジェス卿の準備もあるだろう。置いていくならまだしも、ついてくるようだからな」
「まさか、ここまできて1人だけ戦線離脱などあり得ない」
ナルジェス卿の言葉に、ラハトも苦笑交じりに頷く。
彼の気持ちが痛いほどわかるのだろう。
「最後までハティの野郎を追いかけるワケですね」
「当たり前だ」
「じゃあ、改めて……よろしくお願いします」
「あー、そういうことだったら、私たちもよ!」
アーヤリシュカ第一王女殿下まで、そんなことを言い出すのだが、彼女の場合、王太子殿下に見つかったら別行動確定だ。
それが、わかっているのか、いないのか……少しばかり不安になる。
「大丈夫。私には姿を変える神器があるからね」
「……いや、さすがに同行していると報告します」
「そこを何とか! ほら、月の神殿の神官とか司祭とか、言いようはあるでしょ?」
「王太子殿下に隠して良いことなどありません。同行するというのなら、王太子殿下を説得してください」
「じゃあ、説得しましょう! 任せなさい!」
何故か自信満々の彼女に一抹の不安を覚えるが、結局のところ王太子殿下が折れるのかも知れない。
惚れた弱みだな……と、私とラハトは溜め息をついた。
「マテオさんは、店……大丈夫ですか?」
「支店は責任者がおりますので、大丈夫です。私は本店に顔を出すという名目で帰るだけですから。それに、ベオルフ様の従者である事にも変わりはありません」
「くれぐれも、無理だけはしないでください。無理はラハトがしますので」
「オイ」
不満げなラハトの声をスルーしながら、店を経営しているマテオさんの家が不利益を被らないように心がけようと心に誓う。
「お前は、主神オーディナルと契約を交わしたのだから働け」
「少しは労れー」
どちらも本心では無いと判っているから、冗談で言い合う。
こういうノリの相手は、今まで居なかった――か?
不意に、懐かしいノリだと感じている自分に気づく。
幼い頃にも……いたような?
「どうした?」
「あ……いや……私は幼い頃の記憶が全くないのだが……何故か懐かしいと感じてな……」
「思い出しかけているんじゃねーのか?」
「そうだな……そうかもしれない」
「まあ……思い出しても、お前ならなんも変わらねぇよ。ルナティエラ様を溺愛して、神獣様たちに甘くて、主神オーディナルの息子だって胸を張って言える存在だ」
「そうですね。その優しく懐の広いところは、性分でしょうし」
「でもさ、マテオさん。コイツはちょっと……危なくないか?」
「そうですね……だからこそ、我々がいるのだと思います」
「危ない? 何が危ないのだ?」
疑問に思って問いかけるが、マテオさんは笑ったままで黙して語らず、ラハトは心底呆れたという顔をして大仰に溜め息をつく。
そんな私の肩に、サインを思う存分してきたらしいノエルと紫黒が戻ってくる。
「ベオは懐に入れた人に甘いからじゃないー?」
「それはある。しかし、それでもルナは特別だな」
「そこは否定できないな」
彼女は別格だ。
それに……
「一応、懐に抱える相手は選んでいる」
「どうだか……俺なんかも抱え込もうとしてんだからさ」
「お前は大正解だろうが」
「いや、どうだ? 今だからそう言えるだろうが……」
ラハトが何かブツブツ文句を言っているが、それだけは譲れない。
ここにいる者たちを懐に抱えているという感覚は薄く、背中合わせで戦っている心強さがある。
まあ……今言ったところで、信じて貰えるかは謎だが――
「仲間とは良いものだな……」
主神オーディナルの言葉に頷き、私は口元にわずかな笑みを浮かべる。
ルナティエラ嬢がいたら、笑ったと気づいて喜んでくれそうだ。
「ったく、笑ってねーで、人の話はちゃんと聞けっての」
「良いではありませんか。笑うと健康にも良いみたいですよ?」
「え? そうなの? じゃあ、私も笑っておこうかしら」
「姫様が笑っていない時ってあったっけ?」
「さぁ?」
「ラハトも、そう言ってやるな。ベオルフが気分良く笑えるくらい、我々に心を許してくれているのだ、喜ばしいことでは無いか」
そう言って賑やかな会話を続ける彼らは、どうやら私が笑っていると認識しているらしい。
もしかして……少しは表情が判りやすく動くようになったか?
これは、ルナティエラ嬢に良い報告が出来そうだ。
そう考えるだけで、とても愉快な気持ちになるのであった。
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