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後悔4
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そこからは止まらなかった。
イリアの事が昔から好きなこと、彼女が大人になるにつれて俺の元から離れていくことが怖くて仕方がなかったこと、でもそんな情けなく汚い感情を伝えることなんて出来ずにずっと気持ちを伝えることもできずに立ち止まっていたこと。
そして今日の朝、彼女がついに本当に俺の元からいなくなってしまったこと……それが悲しくて、辛くて、彼女の相手になる人間が殺してやりたいほどに憎い事。けれどそれと同時に、ずっと動くことが出来なかった自分がそれ以上に憎くて、憎くて仕方がない事。
きっとそれらの感情をまき散らす俺は醜い顔を晒していたに違いない。今まで隠していた汚い部分全てを煮詰めたような顔を。
その間ライナスは何を言うでもなく、ただ俺の話を聞いていた。そうして俺が全てを吐き出し終えた時言ったんだ。
「やっぱりな」
「は……?」
「お前があのお嬢さんの事を好きだってことだ……聞いて正解だったな」
「好きで何か悪いか?認めるよ、俺はイリアの事を愛している」
感情を剥き出しにした直後で気が立っているせいで、逆ギレに近い反応をしてしまう。けれどライナスは冷静だった。
「俺もお前がもう少し落ち着いたら話そうと思っていたことがあったんだ。これは昨日の夜、俺の両親から届いた手紙に書いてあったことなのだが――――」
その内容は衝撃的だった。何故なら、ライナスはイリアの婚約者候補になったというものだったのだからだ。それに加えて、今週末に顔合わせを兼ねた食事会を予定しているらしい。
「あ!俺はこれでも断るつもりだぞ!?だからその瞳はやめろ!……俺には好きなやつがいるんだ!!」
気付かぬうちにライナスに殺気を孕んだ瞳を向けていたようで、先程までの落ち着いた態度とは一変、顔を青くさせて焦りを見せていた。
「それで、行くのか?」
「…………」
「黙るな!さっきまでの勢いはどうしたんだ!?……後悔、したくないんだろう?」
一度逃げてしまった自分にそんな資格はあるのかと躊躇ったが、ライナスの言葉で目が醒める。
「行く。叶わない想いだったとしても、俺はイリアに気持ちを伝えるんだ」
「よく言った!親友!!」
俺の決意に対しての称賛からか容赦なくビシバシと背中を叩くライナスの手は痛かったが、この時ばかりはきっかけと後押しをしてくれた彼に感謝した……調子に乗られるとウザいから、絶対にその感謝を口に出して言ってはやらないが。
イリアの事が昔から好きなこと、彼女が大人になるにつれて俺の元から離れていくことが怖くて仕方がなかったこと、でもそんな情けなく汚い感情を伝えることなんて出来ずにずっと気持ちを伝えることもできずに立ち止まっていたこと。
そして今日の朝、彼女がついに本当に俺の元からいなくなってしまったこと……それが悲しくて、辛くて、彼女の相手になる人間が殺してやりたいほどに憎い事。けれどそれと同時に、ずっと動くことが出来なかった自分がそれ以上に憎くて、憎くて仕方がない事。
きっとそれらの感情をまき散らす俺は醜い顔を晒していたに違いない。今まで隠していた汚い部分全てを煮詰めたような顔を。
その間ライナスは何を言うでもなく、ただ俺の話を聞いていた。そうして俺が全てを吐き出し終えた時言ったんだ。
「やっぱりな」
「は……?」
「お前があのお嬢さんの事を好きだってことだ……聞いて正解だったな」
「好きで何か悪いか?認めるよ、俺はイリアの事を愛している」
感情を剥き出しにした直後で気が立っているせいで、逆ギレに近い反応をしてしまう。けれどライナスは冷静だった。
「俺もお前がもう少し落ち着いたら話そうと思っていたことがあったんだ。これは昨日の夜、俺の両親から届いた手紙に書いてあったことなのだが――――」
その内容は衝撃的だった。何故なら、ライナスはイリアの婚約者候補になったというものだったのだからだ。それに加えて、今週末に顔合わせを兼ねた食事会を予定しているらしい。
「あ!俺はこれでも断るつもりだぞ!?だからその瞳はやめろ!……俺には好きなやつがいるんだ!!」
気付かぬうちにライナスに殺気を孕んだ瞳を向けていたようで、先程までの落ち着いた態度とは一変、顔を青くさせて焦りを見せていた。
「それで、行くのか?」
「…………」
「黙るな!さっきまでの勢いはどうしたんだ!?……後悔、したくないんだろう?」
一度逃げてしまった自分にそんな資格はあるのかと躊躇ったが、ライナスの言葉で目が醒める。
「行く。叶わない想いだったとしても、俺はイリアに気持ちを伝えるんだ」
「よく言った!親友!!」
俺の決意に対しての称賛からか容赦なくビシバシと背中を叩くライナスの手は痛かったが、この時ばかりはきっかけと後押しをしてくれた彼に感謝した……調子に乗られるとウザいから、絶対にその感謝を口に出して言ってはやらないが。
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