白の魔法少女―届いたのは「白い封筒(不合格)」。それでも私は、血塗られた戦場に立つ―

流瑠々

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第107話 世界を包む光

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ユナイトアーク、――生命の間。


そこは、地獄の釜の底のように赤く、熱く、煮えたぎっていた。

 中央に鎮座する巨大なクリスタルのコアは、
ドス黒い明滅を繰り返し、
今にも破裂しそうなほどの高エネルギー反応を示している。


「ハァ……ハァ……ッ」


その前に、一人の女性が立っていた。
 満身創痍の体を氷の剣で支え、
必死に扉を守り抜いた氷の女帝、クラウディアだ。


「しずく! リサ!それにマルセラ先生も……! 無事だったか」


クラウディアが安堵の声を上げる。 だが、駆けつけた三人の表情は硬い。


「おう、お前もな……! けど、挨拶は後だ!
いまは……ってなんだこれは……!?」


リサが叫ぶ。 空間が歪むほどの熱波。 肌がジリジリと焼けるような感覚。


「核が……限界を超えているわ」


マルセラが絶望的な顔で端末を操作する。


「ダムが決壊するようなものよ。この小さな核一つでは、
膨れ上がった汚染を受け止めきれない。 
……あと数分、いいえ、数十秒で爆発するわ」

「爆発したら……どうなる?」

クラウディアが問う。

 マルセラは静かに首を振った。

「ユナイトアークは消滅。
そして、解き放たれた数万のマガツが地表へ溢れ出し……人類は今度こそ終わる」


「そんな……ッ!  せっかく、セラフィナをやったってのに……!」


リサが悔しさに拳を壁に叩きつける。

 勝ったはずだった。 多くの犠牲を払って、やっと掴んだ勝利だった。

 それが、最後の最後で、こんな理不尽にひっくり返されるなんて。


「先生!なんか方法はねえのかよ! 俺の魔力で抑え込むとか……!」


「……唯一の方法は、セラフィナが送ったこの膨大な魔素を、
全て受け止め、相殺できるだけの巨大な器があれば……」


「私の体ではどうだ!」


クラウディアが一歩前に出る。


「俺の体も使え!」


リサも続く。


だが、マルセラは苦渋の表情で唇を噛んだ。


「無理よ……小さすぎるわ。 
あなたたちの魔力許容量では、触れた瞬間に蒸発して終わりよ」


「くそっ!!  あいつ、どれだけの魔素を溜め込んでやがったんだ!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

 核の振動が激しくなる。 赤い亀裂が走り、
漏れ出した黒い雷が周囲の壁を削り取る。


もう、時間がない。 誰もが絶望に顔を歪めた、その時。


「……私が、止めます」


凛とした声が響いた。


「し、しずく……?」


しずくが、静かに一歩前へ出る。 
その瞳は、嵐の前の湖面のように静まり返っていた。


「今の私になら、受け止められます」


「何言ってるの、しずくちゃん!  あんた一番ボロボロじゃない!」


「ううん、違うんです」


しずくは、胸元のペンダントを見つめた。



「今の私には……みんなの力が宿っています。
 カレンさんが、セレスさんが、リサさんたちが託してくれた想い。 
そして……誰よりも強かった、あのお姉ちゃんの力が」


しずくは核を見据える。


「今の私の魂なら……この濁流を飲み込めます」


「……分かっているの?」


マルセラが、震える声で問う。


「理論上は可能かもしれない。 
でも、それは……光と闇を体内で衝突させるということよ。
あなたの魔力と背反し、消滅を起こす」


マルセラは残酷な真実を告げた。


「あなたは……消滅するわよ」


「ッ!! やめろ!しずく!!」


リサが掴みかかろうとする。 

だが、しずくはふわりと風のようにそれを躱し、核の結界内へと足を踏み入れた。


「リサさん。私……お姉ちゃんみたいに、
人々を守る魔法少女になりたかったんです」


「しずく……」


「最初は何もできなくて……。
でも、皆さんが私を導いてくれたから。
最後にこうして……みんなを守る『盾』になれる」


しずくが振り返り、ニコリと笑った。


「リサさん。今まで、ありがとうございました。
 リサさんの背中、とっても温かかったです」


「馬鹿野郎……ッ!  行くなよ……! アタシを置いて行くなよぉッ!!」


リサが泣き崩れる。 

クラウディアも、言葉を失い、ただ唇を噛み締めてうつむいた。


しずくは核に両手をついた。 熱い。 魂が焼けるようだ。


(大丈夫……怖くない)


しずくは目を閉じる。


(おいで。全部、私が受け止めてあげる)


ブオォォォォン……!!


しずくの体が、眩い光を放ち始める。

 核から溢れ出していた黒い霧が、渦を巻いてしずくの体へと吸い込まれていく。


その時。


タッタッタッタッ!!


回廊の奥から、慌ただしい足音が響いた。


「隊長!!!」 

「しずく様あああああああああ!!」 


「しずくちゃぁぁぁん!!」

リリア、アヤメ、ミカの三人が飛び込んできた。

 勝利の喜びを伝えに、英雄を迎えに。

「みんな……無事だったんだね……」

光の中で、しずくが微笑む。


「しずく様!セラフィナを倒してくださったんですね!
これで世界は……って、一体何を!?」


アヤメが、異様な光景に足を止める。

 輝くしずく。 泣き崩れるリサ。 沈痛な面持ちのマルセラとクラウディア。


「リサさん……これは……」


「……しずくは……。 セラフィナの残したエネルギーと共に……消えるつもりだ」


リサが絞り出すように告げた。


「え……?」


時が止まる。


「そ、そんな……嘘ですよね?  やめてください……!」


リリアが駆け寄ろうとするが、強烈な魔力の風圧に阻まれる。


「リリアちゃん……」


「嫌です! 隊長!! カレン様が亡くなったのをお聞きしました……。
悲しいですが、カレン様は、立派に使命を果たして逝かれました……!」

リリアがボロボロと涙を流す。


「私はカレン様も守れず……そして、しずく隊長まで……! 
私は……私は何も守ることができませんでしたッ!!
これ以上、誰も失いたくないんです!!」


リリアの叫びが響く。

誰よりも無力感に苛まれていた少女。


「そんなことないよ、リリアちゃん」

しずくの優しい声が降り注ぐ。


「あなたは、私がいない時にみんなを守ってくれた。
あなたがいたから……この場所は持ちこたえられたんだよ」


「しずく、隊長……」


「ありがとう。 ……これを受け取って」


しずくが首から銀のネックレスを外し、風に乗せてリリアの元へと飛ばした。

 それは、カレンから託された、ナンバーズの証。


「これは……カレン様から、しずく隊長へ渡された……」


「次の隊長は、リリアちゃん。あなたにお願いしたいの」


「……ッ! 私が……何も守れなかった私が……」


「守れるよ。今の涙を知っているあなたなら……
きっと、誰よりも優しい光になれる」

リリアは震える手でネックレスを握りしめた。 

その銀色は、まだしずくの体温で温かかった。


「……分かりました」


リリアは涙を拭い、顔を上げた。


「必ず……! この想い、必ず繋ぎます! 
立派に……ナンバーズとしての使命を果たしてみせます!!」


「うん。ありがとう」


「しずくちゃん! やめてよォッ!!」


ミカが泣き叫びながら核を叩く。

 理屈なんてどうでもいい。ただ、友達を失いたくない一心で。


「マガツなら……マガツなら何匹来たって、私たちが倒すから!! 
これから何年かかったって、全滅させるから!! 
だから……しずくちゃんのいない世界なんて嫌だよぉッ!!」


「ミカちゃん……」


「お願い……戻ってきてよぉ……! 
また一緒にご飯食べるんでしょ!? 
訓練サボってリサさんに怒られるんでしょ!? 
お願いだからぁぁぁぁッ!!」

ミカの声が枯れる。いつも明るかったムードメーカーの、
子供のような懇願。

 リサがたまらず、顔を覆って嗚咽を漏らす。


「ごめんね、ミカちゃん。……でも、私には分かるの。
これが、たった一つの道だって」


しずくの体の輪郭が、徐々に薄れていく。 

光の粒子となって、空気に溶け始めていく。


「しずく」


クラウディアが一歩、前に出た。 

その瞳は潤んでいるが、真っ直ぐにしずくを見据えていた。


「クラウディアさん……」


「出会った当初、君に酷い態度を取ってすまなかった。 
私は……君を見誤っていた」


クラウディアは、残った左手で氷の剣を抜き放った。


「君は……誰よりも気高く、立派な魔法少女だ。
今まで、共に戦ってくれて感謝する」

「こちらこそ……ありがとうございました。 」

「クラウディアさんがいなかったら、勝てていませんでした……」


クラウディアは剣を掲げた。 

それは戦闘の構えではない。 騎士が、去り行く王に捧げる、最上級の敬礼。


シャラン……。


彼女の剣から氷の結晶が舞い散り、ダイヤモンドダストとなってしずくを祝福する。 


儚くも美しい、氷の送別式。


そして、最後に。


「しずく様……」


アヤメが、震える声で呼びかけた。 いつも冷静で、いつもそばにいた友達。

アヤメの瞳は涙で溢れかえる。


「アヤメちゃん……。  今まで、本当にありがとう」

しずくが優しく微笑む。


「……っ」

アヤメは唇を強く噛み締める。

今、目の前にいるのは、守るべき対象でも、隊長でもない。
 ただ一人の、大切な親友だ。


「……当たり前です」


アヤメの声が震える。 必死に涙をこらえる。

「私は……貴女のことが大好きですから。
貴女の隣で戦えたこと……それが、私の人生の一番の誇りですから……ッ!」


「うん……。私もだよ」


「しずく様……ううん、しずくちゃん……ッ!」


アヤメは、ぐしゃぐしゃになった顔で、精一杯の笑顔を作った。

 最後くらい、笑って見送りたい。 大好きな彼女が、安心して行けるように。


「ありがとう……!私と出会ってくれて……! 
行ってらっしゃい……!私の……最高の友達……ッ!!」

「ふふ、行ってきます」

しずくもまた、満面の笑みを浮かべた。

 悲しみはない。 あるのは、やり遂げた満足感と、
愛する仲間たちへの感謝だけ。


「みんな……大好きだよ。  さようなら」
しずくもまた、満面の笑みを浮かべた。 



しずくの体が、閃光となった。


 核のドス黒い闇を全て飲み込み、浄化し、まばゆい純白の光へと変換していく。


「やだ!行かないで!!」


ミカが手を伸ばす。 光の粒子が、その指の隙間からこぼれ落ちていく。


温かい。 まるで春の日差しのような、優しい暖かさ。

「しずくちゃァァァァァァァァァンッ!!!!」




ミカの絶叫が遠ざかっていく。 意識が溶けて、光と一つになっていく。





……気がつくと、しずくはどこまでも続く白い光の中を歩いていた。



もう、痛みはない。 体は羽のように軽く、心は凪のように穏やかだった。


その先に、誰かが立っていた。




髪を揺らし、柔らかなドレスを纏った、大好きな人。


「お姉ちゃん……」


瑠璃は、日だまりのような笑顔でしずくを待っていた。


しずくは歩み寄る。 戦いの傷も、苦しみも、すべて脱ぎ捨てて。


「お姉ちゃん。……私、できたかな」


しずくが問いかける。

 守れたかな。


 みんなの未来を、希望を。


 お姉ちゃんみたいな、立派な魔法少女になれたかな。


「もちろんよ」


瑠璃が優しく頷く。


「あなたは世界を救った。 誰よりも強く、誰よりも優しかった。……私の自慢の妹よ」


「私……がんばったよ。
怖かったけど……痛かったけど……がんばったよ……」

しずくの目から、透明な雫がこぼれ落ちる。 

それは悲しみの涙ではなく、張り詰めていた糸が解けた安堵の涙。

 ずっと言いたかった言葉。ずっと褒めてほしかった言葉。


「ええ。知っているわ。 ……本当によくやったわね、しずく」


瑠璃が手を差し出す。

「さぁ、一緒に行きましょう。」


「……うん!」


しずくは涙を拭い、満面の笑みでその手を握り返した。

ギュッ。

温かい。 もう二度と離れない、確かな絆の温もり。

二人の少女は手を取り合い、光の彼方へと歩き出す。

 その背中は、どこまでも幸せそうで。


やがて二つの光は溶け合い、永遠の輝きとなって空へと消えていった。








ユナイトアーク、救護室。




「……あ……」



ベッドで深く眠っていたはずのソラが、ふと目を覚ました。

 夢を見ていたわけではない。

 ただ、懐かしくて、どうしようもなく温かい声に、名前を呼ばれた気がしたのだ。


『ソラちゃん』


その声は、かつて何もできない絶望の中から自分を見つけ出し、
手を差し伸べてくれたあの人の声。

「……しずくちゃん?」


ソラは、包帯の巻かれた右腕を、
ゆっくりと天井へ――その向こうにある空へと伸ばした。

 そこには誰もいない。 けれど、伸ばした掌には、確かな温もりが残っていた。


ソラの瞳から、大粒の涙が溢れ出す。


 悲しみではない。 託されたのだという、震えるほどの感動が胸を満たす。


「ありがとう……。 私……しずくちゃんみたいに、強くなるから」

ツゥー……。


頬を伝って落ちた涙は、枕を濡らすことはなかった。

 それは宙に舞うと、キラキラと輝く小さな光の粒子となって弾け、

空気中へと溶けて消えていった。


まるで、世界を包み込んだあの光の一部になるように。


ユナイトアークを、世界を包み込んでいた暗雲が晴れていく。

 空から降り注ぐのは、美しい七色の光の雨。

 それは、一人の少女が命を懸けて守り抜いた、希望の証だった。


核の鼓動が止まる。「生命の間」に、静寂が戻る。


そこに、彼女の姿はもう、どこにもなかった。
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