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第7話
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「な、なにぃ!? レティアが、働いているだと!?」
執務室で報告を受けたジルベルトはペンをへし折った。
「はい。朝から晩まで、休憩も取らずに城中の手伝いを……。『給料分は働かないと殺される』とブツブツ仰りながら……」
「なっ……!?」
ジルベルトは頭を抱えた。「ゆっくり休んでほしい」と言ったのに、なぜ彼女は「死ぬ気で働く」方向へ走るのか?
(俺の伝え方が悪かったのか? 『期待している』と言ったのがプレッシャーになったのか?)
彼は立ち上がった。居ても立ってもいられなくなったのだ。
「止めてくる……いや、ただ止めるだけでは彼女は納得しないだろう」
彼女は、自分が役に立たないと捨てられるという強迫観念に囚われている。ならば、すべきことは「働くな」と命じることではない。「働かなくても、そこにいるだけで価値がある」と証明することだ。
ジルベルトは廊下を大股で歩き出した。ちょうど、庭園で泥だらけになって薬草の手入れをしていたレティアを見つける。彼女は汗を拭いながらキラキラした顔で笑っていた。その笑顔を見てジルベルトの心臓がまた跳ねる。
(ああ、やはり可愛い……だが、泥だらけじゃないかあ!)
彼は近づき無言で彼女の手を取った。
「殿下! 見てください、この薬草園の土壌改良を……」
「レティア」
彼は彼女の言葉を遮り、泥で汚れた彼女の頬を自分のハンカチで優しく拭った。
「えっ……殿下、汚れます!」
「構わん」
彼は真剣な眼差しで彼女を見つめる。
「働きすぎだ……俺は、お前を過労死させるために呼んだのではない」
「で、ですが、成果を出さないと……」
「成果など、お前が笑っていてくれればそれでいい」
ジルベルトは懐から小さな箱を取り出した。またお菓子か? と身構えるレティアの指に彼は何かを嵌めた。それは魔力を増幅させる『星屑の指輪』で国宝級の魔道具だ。
「これは……?」
「給与の前払いだ。ボーナスとも言う」
「まだ何もしてません!」
「今日、一日中笑っていただろう。その対価だ」
彼は不器用に視線を逸らす。
「……お前が笑うと、城が明るくなる。使用人たちも、お前のおかげで今日は楽しそうだった。それが、お前の最大の『成果』だ」
レティアは、口をぽかんと開けた。笑っているだけで、ボーナス? 存在しているだけで、評価される?
(そんなの……ブラック企業出身者には、刺激が強すぎますよお!?)
顔が熱いけど夕日のせいだけではないはずだ。この魔王様は無愛想なくせに言うことが甘すぎる。
ホワイト企業なんて言葉じゃ生ぬるい! ここは、「天国(ヘブン)」なのかもしれない!
「……悪くない職場です」
私は嵌められた指輪を見つめ小さく呟いた。その言葉を聞き逃さなかったジルベルトの耳が、夕焼けよりも赤く染まっていることに私は気づかないふりをした。
執務室で報告を受けたジルベルトはペンをへし折った。
「はい。朝から晩まで、休憩も取らずに城中の手伝いを……。『給料分は働かないと殺される』とブツブツ仰りながら……」
「なっ……!?」
ジルベルトは頭を抱えた。「ゆっくり休んでほしい」と言ったのに、なぜ彼女は「死ぬ気で働く」方向へ走るのか?
(俺の伝え方が悪かったのか? 『期待している』と言ったのがプレッシャーになったのか?)
彼は立ち上がった。居ても立ってもいられなくなったのだ。
「止めてくる……いや、ただ止めるだけでは彼女は納得しないだろう」
彼女は、自分が役に立たないと捨てられるという強迫観念に囚われている。ならば、すべきことは「働くな」と命じることではない。「働かなくても、そこにいるだけで価値がある」と証明することだ。
ジルベルトは廊下を大股で歩き出した。ちょうど、庭園で泥だらけになって薬草の手入れをしていたレティアを見つける。彼女は汗を拭いながらキラキラした顔で笑っていた。その笑顔を見てジルベルトの心臓がまた跳ねる。
(ああ、やはり可愛い……だが、泥だらけじゃないかあ!)
彼は近づき無言で彼女の手を取った。
「殿下! 見てください、この薬草園の土壌改良を……」
「レティア」
彼は彼女の言葉を遮り、泥で汚れた彼女の頬を自分のハンカチで優しく拭った。
「えっ……殿下、汚れます!」
「構わん」
彼は真剣な眼差しで彼女を見つめる。
「働きすぎだ……俺は、お前を過労死させるために呼んだのではない」
「で、ですが、成果を出さないと……」
「成果など、お前が笑っていてくれればそれでいい」
ジルベルトは懐から小さな箱を取り出した。またお菓子か? と身構えるレティアの指に彼は何かを嵌めた。それは魔力を増幅させる『星屑の指輪』で国宝級の魔道具だ。
「これは……?」
「給与の前払いだ。ボーナスとも言う」
「まだ何もしてません!」
「今日、一日中笑っていただろう。その対価だ」
彼は不器用に視線を逸らす。
「……お前が笑うと、城が明るくなる。使用人たちも、お前のおかげで今日は楽しそうだった。それが、お前の最大の『成果』だ」
レティアは、口をぽかんと開けた。笑っているだけで、ボーナス? 存在しているだけで、評価される?
(そんなの……ブラック企業出身者には、刺激が強すぎますよお!?)
顔が熱いけど夕日のせいだけではないはずだ。この魔王様は無愛想なくせに言うことが甘すぎる。
ホワイト企業なんて言葉じゃ生ぬるい! ここは、「天国(ヘブン)」なのかもしれない!
「……悪くない職場です」
私は嵌められた指輪を見つめ小さく呟いた。その言葉を聞き逃さなかったジルベルトの耳が、夕焼けよりも赤く染まっていることに私は気づかないふりをした。
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