ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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愛おしい場所

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私の中にあったっていうか、ずっと奥に潜んでいた
恐怖心という名の魔物の存在が薄らいでいった。
それに伴って、心の中や頭の中に広がっていた靄のようなものも
晴れていったような感じがしたの。

過去生に限らず、事実とは違うことを思い込んでて、勝手に傷ついたり、
怖がったりすることってあると思うんだよね。
これは、私に限ったことじゃなくて、誰にでもあるような気がするの。

あなたにはないかな?事実は、あなたにとって不利益なことじゃないのに、
あなたが、自分のことを不利な立場に追い込んじゃってるってこと。

怖いから、無意識にフタをしてしまってるかもしれないけど、もう一度、
しっかり向き合ってみると良いと思うよ。
もしかしたら、『な~んだ、そうだったんだ!』って、気持ちが楽になって、
大胆に前進して行けるようになるかもしれないから。

さて、私を長年に渡って苦しめてきた出来事には、どんな事実が隠されて
いたんだろう?これから、それを見に行ってくるね。
あなたも一緒につきあってね。

「じゃ、ミウ、この扉を開けてくれる?」

「えっ、私が開けるの?」

「当然でしょ!だって、ミウの過去生に行くのよ。
私は、単なる付き添い人なんだから。本来なら、私は、ここには
居ないはずの存在なの。それを忘れないでね」

「あっ、そうでした(汗)忘れてました。すみません(苦笑)じゃ、開けます」

「はい、お願いします」

さっきは、この扉を開けることが、めっちゃ怖くて、『帰りたいよぉ~』って
泣きそうだったけど、アトランティーナの話を聞いて、その怖さは
なくなっていた。今は、私が何を勘違い?思い違い?をしてたのかを
ちゃんと見極めたいっていうか、起こっていた事実と向き合いたいという
気持ちの方が強い。それで、ずっと私を縛りつけていた思いから
解放されたいっていう気持ちが大きくて、早く突き止めたいって
前向きな思いに変わってた。

それだけでも、人の思いっていうか、気持ちって、アテにならないんだなって
思う。だって、そうでしょ?見方が変わっただけで、こんなに変わるんだもん。
アトランティーナに出会ってすぐくらいの時に言われたことを思い出した。

朝、会社に行った時、挨拶をしても返してくれない人がいても、
それは私のことが嫌いとか、私に原因があるワケじゃないかもしれないってこと。

もしかしたら、朝、家族とケンカしたとか、電車の中で意地悪をされたとか、
単純に頭やお腹が痛くて、気分がすぐれないとか、色々な理由が
あるのかもしれないって。

もちろん、そんな理由で、挨拶を返さないことが許されるワケではないんだけど、
私のことが嫌いだから挨拶を返さないって考えるよりもその人の気分が悪くて、
挨拶を返さなかったって考えた方が、私としては、少し気持ちが楽になるよね?
だから、どんなことでも、自分の気持ちがハッピーになる方を選びなさいって、
アトランティーナに言われたんだよなぁ・・・。

どんなことでも一方向からしか見るんじゃなくて、色々な方向から見るクセを
つけることが大事だって教わって、ずっと心がけてたつもりだったのに、
過去生に関しては出来なかったっていうか、忘れてた(笑)

人って、本当に重要なことだと視界が狭くなっちゃうのかもしれないね。
本当は、重要なことほど、視界を広くして、事実を認識しなきゃ
いけないのに・・・。自分を苦しめることを思い込んでるなんて、
マジでナンセンス極まりないなって、今なら分かる気がする。

真実は、たくさんあるんだよね。例えば、その場に10人いたら、
10個の真実があるワケだから。だけど、事実は1つなんだよ。
その1つの事実をどう解釈するかによって、真実が変わってくる。
みんな、自分の考えが正しいって思うじゃない?

それは私もそうだったみたいだし(苦笑)だから、当時の妹や周りの人に
何を言われても『私のせいだ!』っていう呪いから解き放たれることは
なくて、時空を超えても、ずっとその重たい荷物を抱え込んでいた
ワケだからね。ホント、やってらんないよね(苦笑)っていうか、
まだ、その事実と向き合ってないから、今は、なんとも
言えないんだけど(笑)

扉を開けると、そこはジャングルみたいなところだったの。
湿気があって、蒸し蒸ししてるんだけど、なんか、懐かしいなって思った。
草木の匂いとか、薬草なのかな?何かを燻したような香りもした。
そして、どういうワケだか、自然と背筋が伸びたんだよね。

「アトランティーナ、よく分かんないんだけど、スッと背筋が伸びたの。
なんでだろう?」

「うふふ。ここでは、背筋が伸びるような存在だったからじゃない?
他にも何か感じた?」

「湿気があって、蒸し蒸ししてて気持ち悪いんだけど、なんか、この感じ、
懐かしいなって思ったかな。草木の匂いとかも濃いし、あと、薬を作ってる
香りも懐かしくて、ちょっと嬉しいっていうのかなぁ。そんな感じ」

「そう。ミウの中には、この場所への愛情が残っているということね」

「あっ、そんな感じ!なんか、愛おしいって言葉が、一番しっくりくる!」

「じゃ、扉から一歩踏み出してみましょうね」

「うん、分かった」

「まだ怖い?」

「ううん。もう大丈夫。今は、早く事実が知りたい気持ちでいっぱいだよ」

「そう、それは良かったわ」

気持ちが早るって、こんな感じなんだなって、今、改めて感じて、
ちょっと変な感じ(笑)私、きっと、この場所を
とっても深く愛してたんだって思う。私にとって、大切で、
どうしても守りたくて、みんなを幸せにしたかったんだって。

「ね、アトランティーナ。私ね、ここを深く愛してたんだね。
とっても大切で、守りたくて、みんなを幸せにしたくて、
頑張ってたんだなって感じる。ここに居る人たちの幸せを守るのは、
自分の責任だって、強く思ってたみたいだね(汗)
本当は、誰か一人が頑張って守ることじゃないような気がするけど(苦笑)」

「それは、今のミウが、誰かを幸せにすることは出来ないということや
他にも色々なことを学んだから分かることよね。
でも、当時のミウは、その責任を負わされていたところもあるのよ」

「えっ、誰に?」

「ま、少しずつ進んで行きましょう。私たちは、透明人間だから、
あちらからは見えないから大丈夫よ」

「あっ、そうだ!透明人間だったんだ(笑)」

「でも、あんまり大きな声は出さないでね」

「えっ、それって、聞こえちゃうってこと?」

「聞こえることはないと思うけど、何かを感じさせてしまうことは
あるかもしれないから」

「うん、分かった。気をつけるね」

「よろしい。じゃ、進んで行くわよ」

アトランティーナと一緒に少しずつ進んで行くと大きな里みたいなところに
辿り着いた。村というほど大きくはないんだよね。その時、私の頭の中に
【集落】という言葉が浮かんだ。そうだ!ここは、集落と呼ばれてたんだ!
あっ、思い出してきた!それで、私の父親がこの集落を治めてて、
おさと呼ばれてたんだっけ。母親と妹と私の4人家族だったんだけど、
私は、この集落の2番手で、呪術を行うシャーマンだったんだ!

あ~、なるほどね。だから、さっき自然と背筋が伸びたんだ。
おさである父から威厳を保つように言われてたからね。面白いね。
私は忘れてても身体は覚えてるんだね。

「ミウ、何か思い出したみたいね」

「うん。ここは集落で、私の父親がおさで、私は2番手に控える
シャーマンだったんだよね?それで、おさの父から威厳を保つように
言われてたから、さっき、自然と背筋がピンッて伸びたんだね」

「その通り!」

「でも、面白いね。私は忘れてるのに、身体は覚えてるんだもんね」

「身体は、今の身体とは違うから、身体が覚えているというのは、
少し違うかしらね。ミウの深い部分、自分では意識することが
出来ない意識の領域が覚えているのよ。前にも話したわよね。

ミウの中には、大きな図書館みたいな場所があって、そこに、ミウが
これまで生きてきた情報や知識、智慧が収められているって」

「あ、そっか。そうだよね。肉体は変わっていくんだから、今の身体が
覚えてるはずないもんね。なるほどね。なんか、ますます面白くなってきた」

「良い感じよ、ミウ。さっきまで、あんなに怖がっていたのが
ウソみたいよね(笑)」

「もう、それは言わないで!」

「じゃ、また進んで行くわよ」

「はい、お願いします」

アトランティーナと共にゆっくり進んで行く。ちょっと怖い気もするんだけど、
好奇心の方が圧倒的に勝ってて、早く見たくて仕方なくなってる。
ここで、何が起こって、私の中に加害者意識が生まれたんだろう?

家畜の世話をしている人、農作物を育てている人、子供の面倒を見ている人、
洗濯をしている人・・・みんな、穏やかで、平和そうな表情をしている。
温かで、大きな家族っていう感じ。あっ、あの上品で、優しそうな女性は、
母親だった人かな?傍にいる女の子は、妹なのかな?現代でいうなら
中学生くらい?

「ね、アトランティーナ。あの女性、上品そうで、優しそうな人は、
私の母親だった人?で、傍に居る中学生くらいの女の子は、
私の妹だった子かな?」

「そうよ」

「じゃ、私は?私は、どこに居るの?」

「今は、毎日、定時に行っている儀式に行っているんじゃない?
もうすぐ帰って来ると思うわよ」

「えっ、毎日、定時に儀式があるの?ここじゃなくて、違うところで?」

「ええ。毎日、早朝に出かけて、このくらいに帰って来ていたわよ」

「どこに行って、儀式をしてるの?」

「あそこに山が見えるでしょ?あの山の頂上に神殿があって、そこで儀式を
執り行っているのよ」

「えっ、毎日!?」

「そう、毎日。それはまだ、思い出さないのね」

「ねぇ、あの山の頂上に行ってみたいんだけど、登るのって大変なの?」

「今は、ミウもエネルギー体だから、大変じゃないわよ。行ってみる?」

「うん。ぜひ」

「分かったわ。じゃ、行ってみましょうか」

って、アトランティーナが言った次の瞬間、身体がフワッと浮いたような
気がした。っていうか、今、ここでは私、身体が無いんだっけ(苦笑)
でも、感覚としては、身体がフワッと浮いた感じがしたの。
それで、気がつくと、そこはもう、山の頂上だったんだよね(汗)

確かに身体がないと自由自在にどこにでも行けるから便利なんだなぁ。
身体が大きな制限を作ってるって、アトランティーナが前に言ってたけど、
本当にそうなんだなぁって、実感した。


<次回へ続く>
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