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第4話-2 【嫉妬】「次はお前が『好きにならない男』にしろよ」
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「……見る目がねぇのは、確かだな」
冷たい声に背筋が凍った次の瞬間、視界がぐるりと反転した。
「きゃっ……!?」
ふわり、と身体が宙に浮く。
蒼が軽々と私を抱き上げ、そのまま数歩歩いてリビングのソファに私を沈み込ませた。 逃げる隙なんてない。
すぐに蒼が覆いかぶさり、逃げ道を塞がれる。
「あ、蒼……っ?」
見上げた彼は、怒っているようでもあり、泣き出しそうでもあり、ひどく切迫した顔をしていた。
「お前はバカだよ。本当に、男を見る目がない」
「え……な、なに言って……」
反論しようと唇を開いた瞬間、その言葉ごと強引に塞がれた。
「んむっ……!?」
優しさの欠片もない、唇を食むような荒々しいキス。
舌が強引に抉じ開けられ、口内を蹂躙される。
息ができない。
酸素を奪われ、代わりに彼の熱と、焦げ付くような激情が注ぎ込まれる。
「んっ、んんーっ! はぁっ、んっ……!」
(苦しい、けど……熱い……っ)
私が苦しげに胸を叩いても、蒼は止まらない。
むしろ私の抵抗を楽しむように、私の両手首を片手で頭上に押さえつけ、さらに深く舌を絡めてくる。
チュッ、ジュルッ……と、水音が静かな部屋に生々しく響いた。
ようやく唇が離れた時、私は酸素を求めて激しく喘ぐことしかできなかった。
「はぁ、はぁっ、あお……っ、なんで……っ」
涙目で睨む私を、蒼はギラギラした瞳で見下ろしている。
彼は私の乱れた前髪を指で払いながら、低い声で囁いた。
「そんなクズ男のことなんか忘れろよ。……次はさ」
彼の指が、私の頬から首筋へとツーっとなぞり落ちる。
「お前が『好きにならない男』にしろよ」
「……え?」
「例えば……お前がただの『友達』だと思ってるやつ、とかな」
意味が分からなくて瞬きを繰り返す私に、彼はニヤリと妖艶に笑った。
「――この間の続き、な」
ゾクリ。 背筋に電流が走った。
彼の空いている手が、私のブラウスの裾から侵入し、迷いなく脇腹の敏感なスポットを指圧する。
「ひゃぁっ!?」 「ここだろ? お前が弱いとこ」
「やっ、だめ、あお……っ! おねがい、そこは……っ!」
ビクンッ! と身体が跳ねる。 昨日マッサージされた場所。
快感の回路がまだ残っていたのか、彼の指が触れただけで、脳が溶けるような痺れが走る。
彼は私の反応を楽しみながら、じわじわと指を這わせ、私の理性を削り取っていく。
部屋の空気が、湿り気を帯びて重くなる
。 私の荒い息遣いと、衣擦れの音、そして時折響く濡れた水音だけが支配する空間。
友達同士の距離感じゃない。 これはもう、オスとメスのそれだ。
「んぁ……っ、うう……っ、やぁ……」
拒絶の言葉を口にしているはずなのに、私の声は甘く濡れていて、まるで誘っているようにしか聞こえない。
蒼の手が、ゆっくりと腰を滑り降り、膝丈のスカートの裾を掴んだ。
「お前が俺を男として見ないなら、分からせるしかねぇよな」
スッ……。 大きな手が、スカートの中へと侵入してくる。
「ッ!!?」
太ももの内側を、熱い掌が這い上がってくる感触。
ストッキング越しの摩擦が、信じられないほど扇情的で。
「いやっ、だめっ……! ほんとに、だめぇ……っ!!」
恐怖と、それ以上の快感に襲われ、私の背中が弓なりにしなる。
許容範囲を超えた刺激に、目尻から涙が溢れ出した。
(こわい……っ。蒼が、蒼じゃなくなっちゃう……っ)
ポロポロとこぼれ落ちる涙。
その一雫が、蒼の手の甲に落ちた、その時だった。
ピタリ。 太もものかなり際どい位置まで来ていた彼の手が、止まった。
「…………っ」
蒼の動きが凍りつく。
彼はハッと我に返ったように目を見開き、私の涙で濡れた顔と、恐怖で震える身体を見つめた。
その瞳から、さっきまでの激情がサーッと引いていき、代わりに深い後悔の色が浮かぶ。
彼はスカートの中からゆっくりと手を引き抜くと、私の拘束を解き、身体を起こした。
「……悪かった」
絞り出すような、苦渋に満ちた声。
「意地悪しすぎた。……ごめん」
彼は私と目を合わせようともせず、逃げるように背を向けた。
その背中は、どこか痛々しくて、拒絶された子供のように小さく見えた。
「頭冷やしてくる」
それだけ言い捨てて、蒼は自分の部屋へと戻っていく。 バタン、と扉が閉まる音。
残された私は、はだけた服を直すこともできず、ソファの上で小さく丸まった。
まだ太ももに残る彼の手の熱さと、最後の悲しそうな彼の顔が、頭から離れなかった。
(……なんで、あんな顔するの……?)
冷たい声に背筋が凍った次の瞬間、視界がぐるりと反転した。
「きゃっ……!?」
ふわり、と身体が宙に浮く。
蒼が軽々と私を抱き上げ、そのまま数歩歩いてリビングのソファに私を沈み込ませた。 逃げる隙なんてない。
すぐに蒼が覆いかぶさり、逃げ道を塞がれる。
「あ、蒼……っ?」
見上げた彼は、怒っているようでもあり、泣き出しそうでもあり、ひどく切迫した顔をしていた。
「お前はバカだよ。本当に、男を見る目がない」
「え……な、なに言って……」
反論しようと唇を開いた瞬間、その言葉ごと強引に塞がれた。
「んむっ……!?」
優しさの欠片もない、唇を食むような荒々しいキス。
舌が強引に抉じ開けられ、口内を蹂躙される。
息ができない。
酸素を奪われ、代わりに彼の熱と、焦げ付くような激情が注ぎ込まれる。
「んっ、んんーっ! はぁっ、んっ……!」
(苦しい、けど……熱い……っ)
私が苦しげに胸を叩いても、蒼は止まらない。
むしろ私の抵抗を楽しむように、私の両手首を片手で頭上に押さえつけ、さらに深く舌を絡めてくる。
チュッ、ジュルッ……と、水音が静かな部屋に生々しく響いた。
ようやく唇が離れた時、私は酸素を求めて激しく喘ぐことしかできなかった。
「はぁ、はぁっ、あお……っ、なんで……っ」
涙目で睨む私を、蒼はギラギラした瞳で見下ろしている。
彼は私の乱れた前髪を指で払いながら、低い声で囁いた。
「そんなクズ男のことなんか忘れろよ。……次はさ」
彼の指が、私の頬から首筋へとツーっとなぞり落ちる。
「お前が『好きにならない男』にしろよ」
「……え?」
「例えば……お前がただの『友達』だと思ってるやつ、とかな」
意味が分からなくて瞬きを繰り返す私に、彼はニヤリと妖艶に笑った。
「――この間の続き、な」
ゾクリ。 背筋に電流が走った。
彼の空いている手が、私のブラウスの裾から侵入し、迷いなく脇腹の敏感なスポットを指圧する。
「ひゃぁっ!?」 「ここだろ? お前が弱いとこ」
「やっ、だめ、あお……っ! おねがい、そこは……っ!」
ビクンッ! と身体が跳ねる。 昨日マッサージされた場所。
快感の回路がまだ残っていたのか、彼の指が触れただけで、脳が溶けるような痺れが走る。
彼は私の反応を楽しみながら、じわじわと指を這わせ、私の理性を削り取っていく。
部屋の空気が、湿り気を帯びて重くなる
。 私の荒い息遣いと、衣擦れの音、そして時折響く濡れた水音だけが支配する空間。
友達同士の距離感じゃない。 これはもう、オスとメスのそれだ。
「んぁ……っ、うう……っ、やぁ……」
拒絶の言葉を口にしているはずなのに、私の声は甘く濡れていて、まるで誘っているようにしか聞こえない。
蒼の手が、ゆっくりと腰を滑り降り、膝丈のスカートの裾を掴んだ。
「お前が俺を男として見ないなら、分からせるしかねぇよな」
スッ……。 大きな手が、スカートの中へと侵入してくる。
「ッ!!?」
太ももの内側を、熱い掌が這い上がってくる感触。
ストッキング越しの摩擦が、信じられないほど扇情的で。
「いやっ、だめっ……! ほんとに、だめぇ……っ!!」
恐怖と、それ以上の快感に襲われ、私の背中が弓なりにしなる。
許容範囲を超えた刺激に、目尻から涙が溢れ出した。
(こわい……っ。蒼が、蒼じゃなくなっちゃう……っ)
ポロポロとこぼれ落ちる涙。
その一雫が、蒼の手の甲に落ちた、その時だった。
ピタリ。 太もものかなり際どい位置まで来ていた彼の手が、止まった。
「…………っ」
蒼の動きが凍りつく。
彼はハッと我に返ったように目を見開き、私の涙で濡れた顔と、恐怖で震える身体を見つめた。
その瞳から、さっきまでの激情がサーッと引いていき、代わりに深い後悔の色が浮かぶ。
彼はスカートの中からゆっくりと手を引き抜くと、私の拘束を解き、身体を起こした。
「……悪かった」
絞り出すような、苦渋に満ちた声。
「意地悪しすぎた。……ごめん」
彼は私と目を合わせようともせず、逃げるように背を向けた。
その背中は、どこか痛々しくて、拒絶された子供のように小さく見えた。
「頭冷やしてくる」
それだけ言い捨てて、蒼は自分の部屋へと戻っていく。 バタン、と扉が閉まる音。
残された私は、はだけた服を直すこともできず、ソファの上で小さく丸まった。
まだ太ももに残る彼の手の熱さと、最後の悲しそうな彼の顔が、頭から離れなかった。
(……なんで、あんな顔するの……?)
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