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第八章:世界の理と終焉の物語

第一一九話:恥ずかしながら帰って参りました

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「話って、親父――」

 いつもは、ヘラヘラした親父が真剣な顔。
 やるときはビシッとやる親父なのだ。一応は勇者なのだ。

「シャラートのことだ」
「シャラートの」
「ああ―― よく助けてくれたな……」

 ポロリと口からこぼすように親父は言った。

「いや…… だって俺の大事な……」

 親父にそう言われるのは意外だった。

 シャラートは、俺の大事な許嫁で、腹違いの姉でこの世界で俺が赤ちゃんだったときからの付き合いだ。
 チャクラムの使い手の元暗殺者で俺の護衛メイドだった。
 サイコで痴女で、ガチの変態かもしれないが、外見は完ぺきなクールビューティ。
 俺専用の大きく至高の弾力をもった奇跡のおっぱいの持ち主。

 俺が助けるのは当たり前だと思っていた―― しかし、結果として彼女は光を失った。
 あの、クールで涼しげで、そしてゾクリとする眼差しは永久に失われた。
 俺の詰めが甘かったせいだ。

「オマエに頼りすぎた―― なんというか…… 俺は、父親として、情けないな……」

 ポツリ、ポツリとその言葉を口にした。
 その時になって、やっと親父の態度の理由が分かった。
 シャラートは、親父にとっては実の娘だ。
 俺の母親であるルサーナと出会う前に作った子だったのだ。
 
「いや、親父は、親父でやることが多すぎるだろ――」

 親父は勇者であり、このパンゲア王国の将軍職にも就いている。
 ガチホモ王国との第二次ノンケ狩り戦争の戦後処理。
 そして、天変地異(あくまで天変地異だ。絶対にだ)から復興もしなければいけない。
 親父は貴重な転移魔法の使い手なのだ。

 そういえば……
 復興についてなんか忘れているような気が――
 まあいいか。

「あまりに優秀な息子に甘えすぎだったな。でだ、俺もシャラートに―― ぬぅッ!!」

 親父の言葉が止まった。
 ザッっと、下がる。
 背中に差していた「覇王神剣ドラゴンザバッシュ」を一気に抜いた。
 鉄塊のような大剣を構える。

 ぐにゃん――
 空間がゆがんでいく。

 なんだ? 
 俺も後方に跳んだ。

『サラーム、これは?』
『空間転移だわ。なにかが来る―― 分からない。とびきりヤバい…… そんな気がする』
 
 俺の中に引きこもる精霊サラームの声が脳内に響く。
 心なしか、その声が震えている。

「親父、空間転移だ! なにか来る!」
「分かっている! なんだ一体? この魔力量――」

 奴か――
 もしかして、あのクソ錬金術師。
【シ】の復活を望み、この世界を滅ぼそうとするクソアホウ野郎。

 俺と俺のオヤジのシュバインの間で、空間のゆがみが大きくなっていく。
 
「魔法陣―― なんだこの複層魔法陣は」

 黒く歪んだ空間を中心に、青白い光で描かれた複層魔法陣がゆっくり生成されていく。
 ゆっくりと自転し、光りの濃淡を脈動させるかのように変化させていく。
 目の前にオーロラ-の光が展開されていくようだった。眩暈を覚える光のハーモニーだ。

「いきなり、城の中に来るか…… 舐めてくれるぜ」
 
 親父が獰猛な笑みに、牙のような歯を見せている。
 はっきり言って、このように精悍な顔になったときの親父は頼りになる。
 雷鳴の勇者のふたつ名が伊達ではないことを示す。
 
『サラーム、出てきたら、即、攻撃だ。ぶち殺せ――』
『あははは! 楽しくなってきたわ。轟雷ぶちかまして、黒焦げにするわ』
『よっしやッ』

 俺の身体の中の七つの魔力回路も回転を開始する。連結し、膨大な魔力を生成していく。
 俺は、破格の魔力のパワーユニット搭載している存在なのだ。

 光りが徐々に弱くなっていく――
 
「三人…… ひとりじゃない――」

 光りの中に見える人影は三人。そして、そのシルエットも俺の予想と違うような気がしてきた。

「おい、アイン―― なんか、違う気がするんだが……」

 親父が戸惑ったような声で言った。

「なんか…… 見覚えのあるシルエットが……」

(ああは~ぁん♥、三人いっしょなんて♥、先生もドキドキするのよぉ♥~ ああ、でも先生が本当に好きなのは―― ああ…… 生徒でもいい。天成君なのよ♥。分かって欲しいの~ ふふ♥)

 俺の予想は「ヤバいモノ」というとこだけが当った。
 先生だ――
 池内真央先生だ。
 魔族と融合し、人外の存在となった先生。

 いったいなんで…… 

 光りが止んだ。そして、そこに三人の―― ひとりは「にん」という単位で数えていいかどうか疑問の存在もいるが……

「おお!! アイン! 天成! 帰ってきたぞぉぉ! このエルフの千葉、恥ずかしながら帰って参りましたぁぁぁ!」

 千葉だ。千葉の声だった。
 俺の親友にして、エルフとなり許嫁となった男子高校生だ。

 空間転移魔法で出現したのは、池内先生、エルフの千葉、そして…… 誰だこれ?
 
「千葉…… オマエ、どこに? って―― ああ『イオォール』かッ!」

 思い出した。確か、千葉たちは宝があるといって、イオォールに一緒に行ったのだ。
 帰りは、シャラートがあんなことになっていたので、すっかり忘れていた。
 
「アインちょっと俺は、退散する。話は後で―― まずい――」
 
 覇王神剣ドラゴンザバッシュを構えたまま、周囲を警戒するシュバイン。
 ダラダラと顔中から汗をかいている。

「あはぁん。あら、三年生の天成君も一緒なのね。うふ。どうしたのかしら、そんなに慌てて(ああん、天成君のお父さん―― やっぱり似ているわ。もし、私より年下だったら―― ああ、ダメよ真央。私は天成君一筋なの、そんな淫売じゃないわ―― あはぁん、でも、どうなのかしら、親子で一緒で…… ああ、想像しただけで、キュンときちゃうの。ダメ! 教師がそんなふしだらな…… あはぁん)」

 相変わらず、不健全極まりない内面描写を垂れ流し、クネクネと肢体をゆらす先生だった。
 人外の巨乳を持った身体を「裸の方が健全ではないか?」と思わせるようなボンテージで彩った存在。
 ふわりと緩ウェイブのかかった金髪を揺らし、親父を見ている。金髪の間からはクルリとループした角が生えている。

「とにかく、俺は行く―― こんなことを見られたら死ぬ――」

 先ほどまでの精悍な勇者の顔はどこにもなくなっていた。
 親父は剣をおさめ、その場を去って行った。周囲を警戒しながらだ。
 嫁のルサーナの襲撃を警戒しているのだ。

「なあ、千葉、それ誰だ?」

 ひとりよく知らないのがいた。なんか見たことあるような気もするが、分からない。

「うむ、よく分からんが、見捨てるわけにもいかず、連れてきた。空間転移の魔法で酔ったようだ。軟弱な輩であるな」
「まあ、いいか――」
「うむ、そうだな。雑兵! 雑兵! この者を、どこかへ置いておけ!」

 千葉が叫ぶと、城の中の人間がやってきて、ひっくり返った男を運んで行った。
 誰だかしらんが、どーでもいい。
 それよりも千葉と先生だ。いきなり、戻ってきたわけだが、宝とやらは見つかったのだろうか?

「千葉、宝って?」
「うむ! あった! とんでもない宝だ。これで、パンゲア復興計画は一気に進む」

 エメラルドグリーンの瞳を輝かせ、エルフの千葉が言った。
 相変わらず、その外見だけは神秘と幻想をまとったエルフの美少女のままだ。

「どこにあるんだ? それは」
「持って帰ったぞ。先生が持っている」
「先生がぁ?」

 そう言って、千葉は先生を見た。俺も先生を見る。

「あはぁん、視線が熱いわ♥。思春期の男の子の視線を浴びると、真央はダメになってしまいそう♥…… あ♥、あ♥、あ♥、あ♥(いいの、先生の姿を目に焼き付けて、いいの♥…‥ そうして、夜のオナニーに使うのね♥…… ああん、真央のことを思って、オナニーするんでしょう♥? だって、真央も天成君で―― やってしまうの♥……)」

 なんで、そんな人が高校の教師をやっていたのか疑問を感じるが、彼女は何も持っていない。
 そして、内面描写はフランス書院だ。

「なにも持っていないように見えるけど」

 先生は、相変わらず、巨大なおっぱいを揺らして、そのエロティックな肢体をウネウネさせているだけだ。

「アイテムボックスだ! 女だけにしかないアイテムボックスで持ってきた」
「おおッ! そうかぁ」

 この世界には、女だけがアイテムボックスを持っている。なんでだか知らないけど。
 そこに、武器とか色々なモノを入れている。
 シャラートが、チャクラムとか俺を誘うための「ゴザ」とかをいきなり出すのもアイテムボックスからだ。
 ライサの釘バットもそうだし。ただ、エロリィはアイテムボックスがあまり大きくないと言っていたな……

 今のところ、そのアイテムボックスの存在は謎だ。どんなものかは見たことがない。

「ふふふ、凄いものを発見した」
「なにを?」
「大量のオリハルコンだ。それも精製済、結晶化している」
「ほう……」
「金以上の価値がある」
「なるほど」
「このオリハルコンを信用として、大量の貨幣を発行する。オリハルコン本位制だ」
「ふーん」

 俺には経済のことはよく分からん。
 ただ、復興するにあたって、支払う金が王国にないということだけは分かっていた。
 要するに、その金ができたということだろう。

「復興需要を満たすためのオリハルコンの硬貨を大量に発行するのだ!」

 千葉は王国の復興大臣となっている。
 要するに、オリハルコンを手に入れたので、それで足らん支払いをするということなのだろう。
 まあ、なんにせよ、よかったということか。

「で、そのオリハルコンは先生のアイテムボックスの中ってことか」
「うむ、そうだ」

「あはぁぁぁん♥、もう♥、私のアイテムボックスがパンパンなのよぉ♥、ああん♥、裂けちゃいそうなの♥、さっきから、中でビクンビクンいってるのよ♥。あああ♥、だめ、もう出して欲しくなっているのぉぉ♥。ああん、大人の女をこんなにいたぶらないでぇ♥~(ふふ♥、こんなに大きなモノを私にいれるなんて、千葉君も…… ああ♥、違うの、♥♥天成君♥♥。これは仕方ないことなの。そうしないと―― あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥ 私の中でぇぇ、アイテムボックスがぁぁぁ―― 痺れるわ♥。ああ♥、見ないで、こんなはしたない先生をみないでぇ♥♥♥♥)」

 アイテムボックスの謎を深めながら、先生は全身をブルブルと震わせていく。
 なんか、先生の周囲だけが、別の世界になっているような感じがしてくるんだけど。

「うーん、ちょっと大きいからなぁ―― 大広間で出すことにするか。先生、そこで、出してください」
「あはぁん、そんなことで、私のアイテムボックスから、オリハルコンを出せっていうのね…… 天成君の目の前で……(ああ♥、そんなイヤラしい姿を、生徒の前でみせるなんて♥、考えただけで、アイテムボックスが開いてしまいそうだわ♥…… あ♥、あ♥、あ♥、あ♥。ダメ―― あはぁ♥~)」

 池内先生が柔肌を震わせ、肉の奥に生じた快感に耐えるかのように震えた。
 でも、いつものことなので、俺も馴れた。久しぶりだけど。

「んじゃ、大広間に行くか」
「うむ」

 そして、俺たちは大広間に向かうのであった。

        ◇◇◇◇◇◇

「もうね、アイテムボックスを見たいとか、なに考えてるのよ! アインは! スケベなのよッ」
「アインが見たいというなら―― 私のなら、見せてあげたいのです…… でも、それは――」
「あははは、ガバガバだからなぁ。シャラートのアイテムボックスはゴザが入るくらいだしなぁ」
「ほう…… 釘バットをいれる、アナタに言われるとは思いませんでした…‥」
「とにかく、ダメなのよ! もうね、本当に見たいなら…… 私が見せてあげてもいいのよ……」
「あはッ、私だって、アインならいい!」
「ふふ、じゃあこんど、じっくり見てもらいましょう――」

 俺の許嫁たちのガールズトークが展開する。エロリ、ライサ、シャラートもやってきたのだ。
 でもって、俺と千葉は、大広間から追い出された。
 アイテムボックスから、物を取り出すとこをガン見するのは、よろしくないとのこと。
 
「性別の波動収束しない俺には、アイテムボックスがなにか分からん――」

 千葉が呟くように言った。
 外見は、美少女エルフであるが、下半身の状態は揺らぎの中にある存在だ。
 性別は、観測した時点で決定するのだが、本人の意識が作用するようで、女より男になることが多い。

「なんだろうなぁ。アイテムボックスって……」

 この異世界の謎のひとつだ。まあ、いずれ見せてもらえばわかることではあるのだが。
 
 俺たちは外に出て、先生から、オリハルコンを取り出すのを待つことにした。

「あはぁあああああ♥~ あらめぇぇ♥、大きいのぉぉぉ♥、こんな大きいのが♥ぁぁあぁ、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、私の敏感な場所にぃぃぃ♥~ あ♥、出る       ♥、でちゃうのぉぉ。アイテムボックスから、オリハルコンがでちゃうぅぅ、あああん。ああああ、すごいのぉぉ、こんな大きいの初めてよぉぉぉ。ああああ、天成君、あああ、ダメ、ダメよぉ――」

 なんで、アイテムボックスから、オリハルコンを取り出すのに、俺の名を呼ぶのか?
 しかも、なんなの。この声は……

 そして、先生の淫靡な響きをもった叫びは止まった。
 どうやら、オリハルコンを取り出したらしい。

 ぎぃぃーっとドアが開いた。

「エロリィ、終わったの?」
「もうね…… なんなのよ―― すごいののよぉぉ――」
 
 なんかすごく火照った顔でエロリィが俺に言った。
 はぁはぁとピンク色の唇から、荒い呼気を吐き出している。
 美しい碧い瞳がなにか蕩けるようになっている。 

 俺は大広間に入った。

「ん、オリハルコンって――」

 その場で塊、声に詰まる俺。
 広間に山ができていた。これは……

「これ、俺がぶち壊したピラミッドか? オリハルコン製だったのか?」
 
 そこにはピラミッドができていた。
 シャラート助け出したピラミッドだ。そいつがここにあった。
 大広間の天井をぶち抜いてオリハルコンの巨大な塊が存在していたのだ。

「あはッ♡、すげぇ…… あんなアイテムボックス…… 初めてみた……」

 ライサが見上げている。その声が震えていた。

「あああ♥、アイン、アインですね―― こんな淫売のアイテムボックスなど見たら目が腐ります。さあ、私と――」

 シャラートが超ロングの黒髪を揺らし、的確に俺に抱き着く。
 目が見えてないが、周囲の状況は分かっているようだった。

「つーか、これ…‥ 先生のアイテムボックスの中に……」

 シャラートに抱き着かれたまま、俺は見あげる。
 で、先生は? おれは先生を探す。

「はぁ♥、はぁ♥、はぁ♥~ あああああ♥、天成君―― 見ないで欲しいの。ああ、恥ずかしいわ♥。これが先生のアイテムボックスの中に入っていたなんて♥―― ああああ、そんなに、そんなに、見つめないでぇぇ♥~ 先生、ダメになってしまうわ(熱いの♥、まだ、私のアイテムボックスが熱いわ。どうしたらいいのかしら、真央―― ♥♥天成君♥♥のもので、鎮めて欲しいの? ああ、そんなダメ♥―― 教師としてそんなことは言えない♥。あああ♥、でも、女として―― もう牝の快楽を知ってしまったわ♥。こんな、オリハルコンをアイテムボックスにいれることで♥――)」

 意味不明の内面描写がダラダラに流れる中、俺の身体には、いつの間にか、シャラートだけでなく、ライサとエロリィも抱き着いていた。

「ああ♥…… もう、我慢できません。アイン―― 私とドロドロになって欲しいのです♥」
「もうね、あんなの見たせいなのよぉ! アインに優しく抱っこして欲しいのよぉ♥~」
「あはッ♡、始めるか? ここで、いいよ。いつでも、久しぶりに四人でやるかぁ♥」

 俺の服を脱がし始める許嫁たち。
 なし崩しにエロいことが始まりそうだった。
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