ボクのオチンチンがオチンチンの国をめざして旅にでちゃったよ

中七七三

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2話:オチンチンをさがせ

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 ママはそんなボクをみて、ニッコリ笑いました。
 なんで、笑っているのか分かりません。
 ボクはオチンチンが家出(いえで)してとても悲しいのに。

「ボクちゃん、あとで、オチンチンをさがしにいけばいいと思うわ。オトコノコがくよくよしちゃだめよ、うふ」

 ママは人差し指をでボクの鼻をツンと指していいました。
 
「でも、オチンチンがどこに行ったか分からないよ」

「あわてないの。ボクちゃん―― オトコノコはあせっちゃだめなのよ。そんなことじゃ、リリコちゃんにキラわれちゃうわよ、うふふ」

「ええーー!! もう、ママったら、なんでリリコちゃんが出てくるんだよぉ!」

 ボクは同じクラスのリリコちゃんが好きです。
 でも、それどころじゃないのをママは分かっていないのです。
 オチンチンが無くなったら、リリコちゃんに嫌われちゃう。
 ボクはまた泣きそうになりました。目の中にあつい物がふき出してきそうでした。

「だめよ、ボクちゃん。そんな顔して、ほら、よくごらんなさい。うふ」

 ママはそう言って、カーペットの上を指さしました。

「あ!! オシッコの後が……」

「そうよ、ボクちゃんのオチンチンは、オシッコを残しながら、動いたのね、うふ」

 床にはナメクジが這ったあとみたいに、オシッコの後がついています。
 ボクの部屋の扉を抜けて、廊下に続いて、そして玄関まで続いていました。
 なんか、ボクのオチンチンは、オシッコのキレが悪いようでした。

「外に出て行ったんだ…… どうしよう」

 家の中にいるなら、まだ探して戻ってくるように言うことができたかもしれません。
 でも、外に行ってしまっては大変です。
 見つけるのも大変だし、もし、ノラ犬やノラ猫に見つかったら食べられてしまうかもしれません。

「ボクのオチンチンが食べられちゃう……」

 ボクは思わずふるえてしまいました。もし、オチンチンが食べらてしまったら、もう男の子に戻れません。
 
「すぐに、さがしに行かなくちゃ! ママ! 虫取り網! 虫取り網は?」

「ダメよ、ボクちゃん、お外に行く前には、まず夏休みの宿題をやるおやくそくでしょ?」

「そんな場合じゃないよ! オチンチンだよ! オチンチン! 家出(いえで)したオチンチンを見つけて、もどってくれるように言わないと」

「もう、しかたないわね、うふ。でも、朝ゴハンを食べてからにしなさい」

「うん分かったよ!」
 
 朝ゴハンは冷やしお汁粉と、甘いタマゴ焼きと、ハチミツあんこかけかけごはんでした。

「いただきます!」「ごちそうさま!」

 ママのご飯はいつもサイコウです。
 ボクはそれを一気に食べました。
 ボクは、オチンチンを早くさがしたいからです。

「虫取り網あった!」

 玄関のクツ入れの上に、虫取り網がありました。
 
「行ってきます!」
 
「ボクちゃん、パジャマで外にいっちゃだめなの。もう2年生なんだから、分かってほしいわ、うふ」

 ママに言われて気が付きました。
 確かに、パジャマで外は歩けません。
 ボクは着替えるため、部屋にもどろうとしました。

「まって、ボクちゃん」

「なに、ママ?」

 部屋に行こうとしたボクをママがよび止めました。
 そして、部屋の奥に戻っていったのです。ボクは玄関でまっていました。
 ママが、服を取って来てくれると思ったのです。
 ボクのママはヤサシイから。

 ママは、なにかをもって戻ってきました。

「ボクちゃん、はい、お外にいくなら、これを着て行かないとダメなの、うふ」

 そういって、ボクにたたまれた服を渡しました。
 ボクはそれを広げます。オドロキきました。

「これは、女の子の服じゃないか! ママ、ボクはオトコノだよ!」

「ああん、でもおトイレに行きたくなったらどうするのかしら? オシッコはできないのよ」

「あっ! そうか!!」

 そうです。オチンチンがなくなったボクは立ったままオシッコはできません。
 座らないとオシッコができないのです。

「お外で、オシッコがしたくなったら、女の子のおトイレにいくしないの…… 分かって、ボクちゃん」

「でも……」

 たしかにそうです。ママの言うとおりです。
 男の子のトイレに入って、ウンチする方に入ることもできます。
 でも、外でそれを誰かにみられたら、大変なことになります。

 小学生の固いオキテとして「外でウンチはできない」というのはジョウシキです。
 学校でウンチしたら、「ウンチ」とあだ名がつきます。「ウンコ」かもしれません。
 学校以外でも見つかったら運命は同じです。
 
 ボクはガクガクとふるえました。それは「きょうふ」といっていいカンジョウなのです。

「それで、女の子の服を……」

「うふ、そうなの。こんなこともあろうかと思って、ママが用意していたの。女の子の服を着ていれば、女の子のおトイレに出入り自由なのよ、うふ――」

「すごいや! ママ!」

 ボクのママはやっぱり、すごいや。世界一のママなんだ。
 そんな、すごいアイデアを聞かされたら、ボクは、女の子の服に着替えるしかないのです。
 
「ボクちゃん、ママがヌギヌギさせて、着替えさせてあげましょうか、うふ」

「もう、赤ちゃんじゃないよ、ママ! 自分で着れるよ、もう!」

 ママは少しボクを赤ちゃん扱いすることあります。確かに、お風呂でときどきおっぱいを触るけど……
 だって、ママのおっぱいは、とってもきれいで大きいから……

 ボクは、女の子の服に着替えました。
 それは夏にぴったりの真っ白なワンピースでした。
 かたのところが丸見えです。
 スカートがヒラヒラしてなんか、頼りない感じです。

「じゃあ! いってくるよ、ママ!」

「がんばって、さがしてきなさい。ああ、それから――」

 そういって、ママはボクにリュックサックを渡しました。

「中には、お弁当と、水筒と、色々は言っているのよ、ボクちゃんのために用意しちゃったわ」

「ありがとうママ!」

 ボクはそのリュックを背負い、首から虫かごを下げました。
 そして、虫取り網を持って、家を出たのです。

 外に出て、オシッコの後がないか確認します。
 
「あれ? アリさんが……」

 オシッコの後には、なぜかアリがたかっていました。
 フシギなことがあります。
 ボクのおしっこって甘いのかな?

 でも、それでボクのオチンチンの逃げた先が分かりました。

「森だ! カブトムシの森に、にげたんだ!」

 ボクはカブトムシの森にむかって走りました。
 フワフワしたスカートが風をはらんで、ふくらむように揺れるのを感じていました。
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