4 / 9
4.わたしを食べないでください
しおりを挟む
ぐくぅ~とお腹がなった。お腹がすいている。
でも、お腹いっぱい食べると、お肉がついて、ドラゴン様に美味しく頂かれてしまう。要するに食べられてしまう。
わたしは出された料理に少しだけ口をつけて残すことにした。
だけでも、本当にどの料理も美味しくて、食べないでいるのは、本当に辛いことだ。
村にいたときは、そもそも満足に食べることができないのが当たり前で、初期地の量も少なく、味なんか考えている場合じゃなかった。
生きるためにただ食事をするという感じだった。
それが今では生きるため―― 生き残るために、食事をしないということになっている。
目の前に美味しそうな(実際、美味しい)料理があっても食べちゃだめというのは、食べ物が無いより辛いことだった。
(でも、食べてお肉がついたら食べられてしまう……)
「シャノーラ嬢よ」
いきなりわたしは呼びかけられた。
「はい」
と、返事をして声の方をみると、すっごい美形の男の人が立っていた。
でも、人間じゃないのはすぐに分った。
だって、頭に二本の角が生えていたのだから。
いつもの給仕の竜人じゃない。
これは、いったい……
すごく、美形。で、よく見ると威厳というか威圧感もあった。
「あの…… わたしに……」
もしかしたら、食事をしないことに業を煮やし、もう食べてしまおうということになったのかもしれない。
わたしは、カクカク震えた。
絶望感に顔が真っ青になっていたかもしれない。
ああ、これでわたしは食べられて死ぬんだ……
と、思うと涙が自然に溢れてきた。
◇◇◇◇◇◇
(あ、あ、あ、あ、あ、あ―― 泣いてる! 泣かしてしまったぁぁぁ!)
ドラゴンの王太子・リュークは慌てた。どんでもなく、生涯記録を振り切るくらいに慌てたのだった。
「な、泣くな! 俺は――」
「わーーーーん!! 食べられる、食べられちゃうんだぁ~」
「食べない。食べたりするものか!」
「え?」
シャノーラは、ヒク、ヒクとえづきながらも、泣くのを止めた。
「最近、出された料理を食べないのが心配だったので見にきたのだ」
「え――!! 食べないというのは「今は食べない」という意味ですか」
「違う! ずっと食べない」
「え? ずっとですか」
「ああ、ずっと食べることはしない」
「本当ですか?」
シャノーラはそもそも、この人物が誰なのか知らない。
言っていることが本当なのかも分らない。
猜疑心の篭った目で、ジッとリュークを見つめた。
「本当だとも! この王太子・リュークが言ったことだ。前言を翻すことはない」
「誓って、本当ですか?」
「本当だ」
「じゃあ、一体? なんで……」
「一緒に食事をするのだ! この俺と。あははははは」
この言葉がまたしても誤解を生んだ。
シャノーラは「やはりわたしは食べられるんだ」と、思い込む。
結局、泣いているシャノーラを宥めるまで、ドラゴンの王太子・リュークは四苦八苦するのであった。
でも、お腹いっぱい食べると、お肉がついて、ドラゴン様に美味しく頂かれてしまう。要するに食べられてしまう。
わたしは出された料理に少しだけ口をつけて残すことにした。
だけでも、本当にどの料理も美味しくて、食べないでいるのは、本当に辛いことだ。
村にいたときは、そもそも満足に食べることができないのが当たり前で、初期地の量も少なく、味なんか考えている場合じゃなかった。
生きるためにただ食事をするという感じだった。
それが今では生きるため―― 生き残るために、食事をしないということになっている。
目の前に美味しそうな(実際、美味しい)料理があっても食べちゃだめというのは、食べ物が無いより辛いことだった。
(でも、食べてお肉がついたら食べられてしまう……)
「シャノーラ嬢よ」
いきなりわたしは呼びかけられた。
「はい」
と、返事をして声の方をみると、すっごい美形の男の人が立っていた。
でも、人間じゃないのはすぐに分った。
だって、頭に二本の角が生えていたのだから。
いつもの給仕の竜人じゃない。
これは、いったい……
すごく、美形。で、よく見ると威厳というか威圧感もあった。
「あの…… わたしに……」
もしかしたら、食事をしないことに業を煮やし、もう食べてしまおうということになったのかもしれない。
わたしは、カクカク震えた。
絶望感に顔が真っ青になっていたかもしれない。
ああ、これでわたしは食べられて死ぬんだ……
と、思うと涙が自然に溢れてきた。
◇◇◇◇◇◇
(あ、あ、あ、あ、あ、あ―― 泣いてる! 泣かしてしまったぁぁぁ!)
ドラゴンの王太子・リュークは慌てた。どんでもなく、生涯記録を振り切るくらいに慌てたのだった。
「な、泣くな! 俺は――」
「わーーーーん!! 食べられる、食べられちゃうんだぁ~」
「食べない。食べたりするものか!」
「え?」
シャノーラは、ヒク、ヒクとえづきながらも、泣くのを止めた。
「最近、出された料理を食べないのが心配だったので見にきたのだ」
「え――!! 食べないというのは「今は食べない」という意味ですか」
「違う! ずっと食べない」
「え? ずっとですか」
「ああ、ずっと食べることはしない」
「本当ですか?」
シャノーラはそもそも、この人物が誰なのか知らない。
言っていることが本当なのかも分らない。
猜疑心の篭った目で、ジッとリュークを見つめた。
「本当だとも! この王太子・リュークが言ったことだ。前言を翻すことはない」
「誓って、本当ですか?」
「本当だ」
「じゃあ、一体? なんで……」
「一緒に食事をするのだ! この俺と。あははははは」
この言葉がまたしても誤解を生んだ。
シャノーラは「やはりわたしは食べられるんだ」と、思い込む。
結局、泣いているシャノーラを宥めるまで、ドラゴンの王太子・リュークは四苦八苦するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる