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巻の十四、青天飛霹靂――よりビックリなこと
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「すまんな、里珠。急に訪れて」
すっかり日が落ちて。
鈴芳が、大慌てで整えた室に、如飛がやって来た。
「いえ、それはいいんですけど……」
急に「来る!」と言われて大変だったのは、鈴芳だし。その「すまんな」は、もう室から下がってしまった鈴芳に言って上げてください。
わたしは、「やべ! この刺繍とか見つかったらマズいじゃん!」で、布や糸を櫃のなかに隠しただけだもん。「すまんな」言われるほどのことはしてない。
「……しならくの間、都を離れることになった」
重い口調。
寝台に腰掛けた如飛。
「そ、それって、やっぱり戦……ってこと?」
隣に座ったわたしも、声が強張る。
「ああ。でも、大したことはない。よくある国境の諍いだ」
諍い。
それだけで、皇帝がご親征する――なんてことあるんだろうか。「大したことない」のならホニャララ将軍に軍を預けて、「ナントカ国の野望を蹴散らしてこい」でいいんじゃないの?
「諍いついでに、あの地の災害を取り除きに行く。それだけだ」
「災害?」
「ああ。先月の大雨で、崖が崩れているらしい。岸壁に沿うように作られている道が崩れた岩で通れなくなっているらしくてな。それを直すことがこの親征の主な理由だ。敵は……ある程度の戦をすることにはなるかもだが、そこまで重きを置いていない」
「そ、そうなんだ」
「ああ。だから、そんなに心配するな」
わたし、そんなに不安そうな顔をしていたんだろうか。
笑った如飛が、手を伸ばし、クシャッとわたしの髪を撫でた。
「ただ――」
「ただ?」
「ただ、即位の儀が延期となることだけが残念だがな」
「残念?」
そんなに即位したかったの?
皎月さんから聴いた話、現在の如飛は、あくまで〝皇太子〟という立場。政を取り仕切っているけど、まだ〝皇帝〟じゃない。皇帝位は空位のまま。
どれだけ政を掌握していたとしても、即位の儀を行わなければ、〝皇帝〟として認められない。仮に政を預かってるに過ぎない。
「即位の儀自体は、それほど興味はない。皇帝という立場にもな。むしろ面倒と思うことすらある」
そうなの?
ってか、面倒って。
「俺が残念に思ってるのは、お前だ。里珠」
「――へ? わ、わたし?」
驚き、自分を指差す。わたしを残念って、――ナニ?
「そうだ、お前だ。せっかくのお前の晴れの舞台を見ることが出来なくて、残念に思っている」
「晴れの舞台って。ちょっと待って! 即位の儀って、わたし、なにかするわけっ!?」
そりゃあ、〝陰陽の乙女〟とかいう奴だし? 儀式にちょっと顔出しさせられるのかな~ぐらいは思ってたけど! そこに列席するのなら、皇帝らしく素晴らしい仕立ての衣装をまとった如飛を見られるかな~ぐらいは思ってたけど。如飛、いい体してるから、きっと豪奢な衣装でも映えるだろうな~。織りとか染めもよぉく見たいから、その日は晴れてくれるといいな~、ぐらいは思ってたけど!
「特に何もしてもらうことはない」
あ、そうなんだ。
「ただ。俺の隣で、同じ明黄色の装いを着てもらうだけだ」
「めっ、明黄色っ!?」
ちょっと待って!
明黄色って! 皇帝は明黄色、皇太子は杏黄色、それ以外の皇子は金黄色と、男性の衣装に色が決まっているように、女性にも色が決まっている。
妃嬪は金黄色。明黄色、皇帝と同じ色は、色は……っ!
「里珠。俺はお前を妻に、皇后したいと思っている」
「つ、妻ぁっ!? こ、皇后って!」
「そうだ。俺の伴侶はお前だけでいい。お前以外の女性を妃に迎えるつもりはない」
ものすごく真剣な眼差しで、こっちを見てくる如飛。けど。
(信じられない……)
わたしを妻に、皇后にって。
わたし、ただの機織り女だよっ!? 布を織るしか能のない女だよっ!?
文字も書けなければ、読めもしないし、政の「ま」の字も知らない、そういう女だよっ!?
それが、皇帝の妻、こ、ここっ、皇后だなんて!
(あ、ダメだ……)
「里珠っ!」
グラッと倒れかけたわたしの体を、如飛が抱きとめる。
「大丈夫か?」
大丈夫じゃないわよ!
「ねえ、それ、本気で言ってる?」
「本気だぞ」
「わたしを皇后に?」
「ああ、皇后に」
抱きとめられたことで、ものすごく間近になった如飛の瞳。嘘をついてる、わたしをからかってるようには見えない。むしろ、とても真剣な目。
「後宮に美姫をわんさと集めるとかは?」
「そういうことをするつもりはない。言っただろう? 俺の代で宝珠宮の扉を開けるつもりはない、と」
ああ、そういえば、そんなこと言ってたっけ。
後宮には、わたしの暮らす瑠璃宮と、対になる玻璃宮、それと、美女三千人が暮らす宝珠宮がある。
その宝珠宮の扉を開けるつもりはない。
たしかに。たしかにそんなことを言ってたって、覚えてるけど。
(だからって、わたしを皇后にってのは、いくらなんでも!)
そういうのは、他国の姫君とか、皇族の誰かの娘とか。そういう方々が就く地位でしょ。わたしみたいな、ただの街の機織り女の就く地位じゃないわよ。
「それって。わたしが〝陰陽の乙女〟だから?」
少し唾を飲み込んで尋ねる。
わたしが陰陽の乙女だから? 乙女を皇后にしなきゃいけないとか、そういう掟があるとか?
「それは……」
それまで、打てば響くで返事をしてた如飛が口ごもった。わたしを抱きとめた腕の力もわずかだけど抜けていく。真摯だった眼差しも揺らぎ始める。
「あのさ。陰陽の乙女を皇后にしなくちゃいけないって、掟があるならともかく。そうじゃなければ、后は、真に愛する人にしたほうが良いよ」
「里珠……」
「別にわたし、アンタが誰を妻に迎えても、悋気とかそういうの、一切ないし」
それどころか、「おめでとう!」で奥さんに衣装を仕立ててあげるわよ。彼と幸せになってねて、祝福してあげるわ。
「わたしは、ここで機織りだけさせてもらえれば充分。だから――」
グッと如飛の胸を押す。
そんなに力を入れたわけでもないのに。わたしの体は、簡単に彼の腕のなかから抜け出せた。
「皇后は辞退させていただきます」
すっかり日が落ちて。
鈴芳が、大慌てで整えた室に、如飛がやって来た。
「いえ、それはいいんですけど……」
急に「来る!」と言われて大変だったのは、鈴芳だし。その「すまんな」は、もう室から下がってしまった鈴芳に言って上げてください。
わたしは、「やべ! この刺繍とか見つかったらマズいじゃん!」で、布や糸を櫃のなかに隠しただけだもん。「すまんな」言われるほどのことはしてない。
「……しならくの間、都を離れることになった」
重い口調。
寝台に腰掛けた如飛。
「そ、それって、やっぱり戦……ってこと?」
隣に座ったわたしも、声が強張る。
「ああ。でも、大したことはない。よくある国境の諍いだ」
諍い。
それだけで、皇帝がご親征する――なんてことあるんだろうか。「大したことない」のならホニャララ将軍に軍を預けて、「ナントカ国の野望を蹴散らしてこい」でいいんじゃないの?
「諍いついでに、あの地の災害を取り除きに行く。それだけだ」
「災害?」
「ああ。先月の大雨で、崖が崩れているらしい。岸壁に沿うように作られている道が崩れた岩で通れなくなっているらしくてな。それを直すことがこの親征の主な理由だ。敵は……ある程度の戦をすることにはなるかもだが、そこまで重きを置いていない」
「そ、そうなんだ」
「ああ。だから、そんなに心配するな」
わたし、そんなに不安そうな顔をしていたんだろうか。
笑った如飛が、手を伸ばし、クシャッとわたしの髪を撫でた。
「ただ――」
「ただ?」
「ただ、即位の儀が延期となることだけが残念だがな」
「残念?」
そんなに即位したかったの?
皎月さんから聴いた話、現在の如飛は、あくまで〝皇太子〟という立場。政を取り仕切っているけど、まだ〝皇帝〟じゃない。皇帝位は空位のまま。
どれだけ政を掌握していたとしても、即位の儀を行わなければ、〝皇帝〟として認められない。仮に政を預かってるに過ぎない。
「即位の儀自体は、それほど興味はない。皇帝という立場にもな。むしろ面倒と思うことすらある」
そうなの?
ってか、面倒って。
「俺が残念に思ってるのは、お前だ。里珠」
「――へ? わ、わたし?」
驚き、自分を指差す。わたしを残念って、――ナニ?
「そうだ、お前だ。せっかくのお前の晴れの舞台を見ることが出来なくて、残念に思っている」
「晴れの舞台って。ちょっと待って! 即位の儀って、わたし、なにかするわけっ!?」
そりゃあ、〝陰陽の乙女〟とかいう奴だし? 儀式にちょっと顔出しさせられるのかな~ぐらいは思ってたけど! そこに列席するのなら、皇帝らしく素晴らしい仕立ての衣装をまとった如飛を見られるかな~ぐらいは思ってたけど。如飛、いい体してるから、きっと豪奢な衣装でも映えるだろうな~。織りとか染めもよぉく見たいから、その日は晴れてくれるといいな~、ぐらいは思ってたけど!
「特に何もしてもらうことはない」
あ、そうなんだ。
「ただ。俺の隣で、同じ明黄色の装いを着てもらうだけだ」
「めっ、明黄色っ!?」
ちょっと待って!
明黄色って! 皇帝は明黄色、皇太子は杏黄色、それ以外の皇子は金黄色と、男性の衣装に色が決まっているように、女性にも色が決まっている。
妃嬪は金黄色。明黄色、皇帝と同じ色は、色は……っ!
「里珠。俺はお前を妻に、皇后したいと思っている」
「つ、妻ぁっ!? こ、皇后って!」
「そうだ。俺の伴侶はお前だけでいい。お前以外の女性を妃に迎えるつもりはない」
ものすごく真剣な眼差しで、こっちを見てくる如飛。けど。
(信じられない……)
わたしを妻に、皇后にって。
わたし、ただの機織り女だよっ!? 布を織るしか能のない女だよっ!?
文字も書けなければ、読めもしないし、政の「ま」の字も知らない、そういう女だよっ!?
それが、皇帝の妻、こ、ここっ、皇后だなんて!
(あ、ダメだ……)
「里珠っ!」
グラッと倒れかけたわたしの体を、如飛が抱きとめる。
「大丈夫か?」
大丈夫じゃないわよ!
「ねえ、それ、本気で言ってる?」
「本気だぞ」
「わたしを皇后に?」
「ああ、皇后に」
抱きとめられたことで、ものすごく間近になった如飛の瞳。嘘をついてる、わたしをからかってるようには見えない。むしろ、とても真剣な目。
「後宮に美姫をわんさと集めるとかは?」
「そういうことをするつもりはない。言っただろう? 俺の代で宝珠宮の扉を開けるつもりはない、と」
ああ、そういえば、そんなこと言ってたっけ。
後宮には、わたしの暮らす瑠璃宮と、対になる玻璃宮、それと、美女三千人が暮らす宝珠宮がある。
その宝珠宮の扉を開けるつもりはない。
たしかに。たしかにそんなことを言ってたって、覚えてるけど。
(だからって、わたしを皇后にってのは、いくらなんでも!)
そういうのは、他国の姫君とか、皇族の誰かの娘とか。そういう方々が就く地位でしょ。わたしみたいな、ただの街の機織り女の就く地位じゃないわよ。
「それって。わたしが〝陰陽の乙女〟だから?」
少し唾を飲み込んで尋ねる。
わたしが陰陽の乙女だから? 乙女を皇后にしなきゃいけないとか、そういう掟があるとか?
「それは……」
それまで、打てば響くで返事をしてた如飛が口ごもった。わたしを抱きとめた腕の力もわずかだけど抜けていく。真摯だった眼差しも揺らぎ始める。
「あのさ。陰陽の乙女を皇后にしなくちゃいけないって、掟があるならともかく。そうじゃなければ、后は、真に愛する人にしたほうが良いよ」
「里珠……」
「別にわたし、アンタが誰を妻に迎えても、悋気とかそういうの、一切ないし」
それどころか、「おめでとう!」で奥さんに衣装を仕立ててあげるわよ。彼と幸せになってねて、祝福してあげるわ。
「わたしは、ここで機織りだけさせてもらえれば充分。だから――」
グッと如飛の胸を押す。
そんなに力を入れたわけでもないのに。わたしの体は、簡単に彼の腕のなかから抜け出せた。
「皇后は辞退させていただきます」
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