8 / 31
8.厚意と好意
しおりを挟む
「そうだな、ここには、この壁紙を使ってもらおうか。――それでいい? リューリア」
庭の次は邸内。
あちこちに職人らしい男性たちが入る。
その中の一人、壁紙の見本を持ってきた親方というよりは商売人らしい中年男性と、話を終えたシオンがわたしに確認を取る。
「え? ええ。それでいいわ」
色とりどりの鮮やかな壁紙の見本。
どれを選んでもステキな壁になる。今の、剥がれ落ちかけた壁紙と違って。
(というより、わたしが文句なんてつけられる?)
確かに、ここはわたしの(父親の)邸宅だけど。直してくれるのはシオンの厚意であって。お金を出してくれてるのもシオンなのであって。そこに暮らしてるだけのわたしが、彼に意見してもいいのだろうか。
と思うのに。
「リューリアは、どれか好きな柄はある?」
壁紙の見本をわたしに見せてくるシオン。
「僕としては、この柄をキミの寝室に使いたいと思うんだけど、どうかな?」
「わたしの……寝室?」
今いるのは、屋敷の応接室。
人に一番見られる場所だから、直すことに賛成してるけど。寝室はわたししか目にしない場所だし、直してもらうなんて考えたこともなかった。
「キミの寝室、僕もチラッと見せてもらったけど、四隅とか剥がれ具合、結構酷かったよね?」
う。
そ、そうなんだけど。
(シオン、見たの?)
わたしの寝室を? 彼が?
「気を悪くしたらゴメン。キミの侍女に案内してもらって、見せてもらった」
そうなの?
ソニエが見せたの?
ソニエが見せたのなら、朝起きたままの寝乱れた寝台じゃなかっただろうし。見られても平気な程度には整えられてたとは思うけど。
「せっかく直すんだし、寝室もキレイにしたいなって思ったんだけど」
わたしが黙ったことを、不機嫌ととらえたらしい。シオンが謝ってくる。
そういうわけじゃないんだけどな。
まあ、寝室なんていう私的な空間を、知らない間に見られてたのは、ちょっと気分悪いけど。
「大丈夫よ。でも、そんなに色んなところを直してもらって、申し訳ないわ」
不機嫌になってたわけじゃないの。申し訳ないなって思ってただけなの。
そういうことにしておく。
「そんな。僕が好きにやってることなんだから。キミは、この屋敷の主として、思う存分、好きなように自分の意見を言ったらいいんだよ。お金を出すのは僕けど、キミには忌憚なく意見を出して欲しい。ここは、キミの家だからね」
わたしが機嫌を悪くしてないことに安心したのか。シオンの声に、いつもの柔らかさが戻る。
「わたしの、家――」
修道女になるまでの、仮の住まい。父さまが所有してる屋敷の一つ。父さまの意志一つで、追い出されることもある屋敷なのに。
「そうだよ。ここはキミの家だ」
塞ぎ込み、落ち込みそうになるわたしを、真っ向から上向きにさせてくれるシオンの言葉。
「キミはここの女主として、思いっきり好きなように命じてくれて構わないんだよ」
そう……なのかな?
今だって、こうして修繕してること、父さまが聞いたら激昂するかもしれないのに? すぐにでも、「なにしてるんだ!」で追い出されるかもしれないのに?
不安で、怖くて仕方ないのに。微笑みかけてくれるシオンのその顔を見ていたら、「大丈夫なのかな?」が少しずつ晴れていく。根拠もないのに、「ここにいていいんだ」って気持ちになっていく。不思議。
「ってことで、寝室の壁紙を選んでほしいんだけど。僕としては、これがオススメなんだけど。――どう?」
数ある中から、シオンが一枚、見本を取り出す。
薄紫の下地に、細かく菫の花が散りばめられた壁紙。
散らされた菫の濃い花びらと葉っぱが、とても清楚で美しく、若い女性の部屋に似合いそうな壁紙だけど。
(どうして、これがオススメなの?)
若い女性の部屋にっていうのなら、他にもスズランとか、チューリップの壁紙でもいいのに。バラとかユリでもいいのに。
以前の、ボロボロになった壁紙は、お祖母様の趣味なのか、青いトゥイーディアが描かれていた。
シオン、あえてこれを選んだの? それとも、たまたまこれを選んだの?
前の壁紙に似た色だから? それとも……。
「気に入らない?」
「ううん、そんなことないわ。とてもステキね、この菫」
気に入らないわけじゃない。むしろ気に入ってるというのか。
「これで、お願いしてもいいかしら?」
「――よかった。じゃあこれで壁紙を貼り直してもらうよ」
わたしの許可がおりたことにホッとしたようなシオン。わたしが選んだ見本を持って、親方に近づいていく。
――この花、僕の一番好きな花なんだ。
(――え?)
風に乗って、聞こえるか聞こえないか、ギリギリの大きさで運ばれてきた呟き。
シオン、菫が好きなの?
好きな花を、わたしの寝室に散りばめようとしてるの?
どうして菫が好きなの?
あの時、菫で指輪を作ってくれたのは、一番好きな花だったから?
混乱する。
あの時、指輪にして贈ってくれたのは、たまたま近くで咲いていたからじゃないの? 好きな花がたまたま近くで咲いてて、それをたまたま選んでわたしに贈っただけなの?
あれ以来わたしも菫が好きな花になったのだけど。
その菫を、わたしの寝室に散りばめるのは、好きな花で飾ってあげたいってのは、厚意? それとも――。
「リューリア」
「ひゃいっ!」
呼びかけに声が裏返った。
「ゴメン、驚かせた?」
「う、うん。大丈夫」
全然大丈夫じゃないけど。
「壁紙の貼り替え、親方とも相談したんだけど、かなり大掛かりな工事になりそうなんだ」
「うん」
壁紙を貼り替えるだけじゃない。
壁紙が剥がれる原因となった、雨漏りによる壁の傷んだ箇所も直さなくてはいけない。だから、大掛かりな工事になることは理解してたし、だからこそ、そこまでやってもらうつもりはなかったのだけど。
「この屋敷のあちこちに職人が入ることになる。だから――」
シオンがちょっと言い淀む。
視線を床に落として。息を吐いて、吸って。
「しばらく、工事が終わるまで、僕の家で暮らさないか?」
真っ直ぐこっちを見て言ったシオンの顔は、頬が赤く染まっていた。
「シオンの家?」
「うん。夜はいないとはいえ、人の出入りの多い屋敷で暮らすのは大変だろうし、それに、侍女と二人暮らしはなにかと物騒だ」
それはそうなんだけど。
「でも、いいの?」
幼なじみとはいえ、わたしがお邪魔しちゃっても。そこまで厚意に甘えても。
そりゃあ、子どもの頃は遠慮なんてナシで、シオンの家に泊まらせていただいたこともあったけど。
「いいよ。コッソリ工事を続けて、完成した姿を見せてキミを驚かせたいって魂胆だからね」
そこでようやくニッコリ笑ったシオン。
「じゃあ、お言葉に甘えて、お邪魔するわ」
そういうことなら、わたしも乗ってあげるわよ。
驚かされるわたしも、「まあ!」って目を丸くする準備をしておかなくちゃね。
楽しいイタズラを共有してるみたいで。応えるわたしも自然と笑みがこぼれた。
庭の次は邸内。
あちこちに職人らしい男性たちが入る。
その中の一人、壁紙の見本を持ってきた親方というよりは商売人らしい中年男性と、話を終えたシオンがわたしに確認を取る。
「え? ええ。それでいいわ」
色とりどりの鮮やかな壁紙の見本。
どれを選んでもステキな壁になる。今の、剥がれ落ちかけた壁紙と違って。
(というより、わたしが文句なんてつけられる?)
確かに、ここはわたしの(父親の)邸宅だけど。直してくれるのはシオンの厚意であって。お金を出してくれてるのもシオンなのであって。そこに暮らしてるだけのわたしが、彼に意見してもいいのだろうか。
と思うのに。
「リューリアは、どれか好きな柄はある?」
壁紙の見本をわたしに見せてくるシオン。
「僕としては、この柄をキミの寝室に使いたいと思うんだけど、どうかな?」
「わたしの……寝室?」
今いるのは、屋敷の応接室。
人に一番見られる場所だから、直すことに賛成してるけど。寝室はわたししか目にしない場所だし、直してもらうなんて考えたこともなかった。
「キミの寝室、僕もチラッと見せてもらったけど、四隅とか剥がれ具合、結構酷かったよね?」
う。
そ、そうなんだけど。
(シオン、見たの?)
わたしの寝室を? 彼が?
「気を悪くしたらゴメン。キミの侍女に案内してもらって、見せてもらった」
そうなの?
ソニエが見せたの?
ソニエが見せたのなら、朝起きたままの寝乱れた寝台じゃなかっただろうし。見られても平気な程度には整えられてたとは思うけど。
「せっかく直すんだし、寝室もキレイにしたいなって思ったんだけど」
わたしが黙ったことを、不機嫌ととらえたらしい。シオンが謝ってくる。
そういうわけじゃないんだけどな。
まあ、寝室なんていう私的な空間を、知らない間に見られてたのは、ちょっと気分悪いけど。
「大丈夫よ。でも、そんなに色んなところを直してもらって、申し訳ないわ」
不機嫌になってたわけじゃないの。申し訳ないなって思ってただけなの。
そういうことにしておく。
「そんな。僕が好きにやってることなんだから。キミは、この屋敷の主として、思う存分、好きなように自分の意見を言ったらいいんだよ。お金を出すのは僕けど、キミには忌憚なく意見を出して欲しい。ここは、キミの家だからね」
わたしが機嫌を悪くしてないことに安心したのか。シオンの声に、いつもの柔らかさが戻る。
「わたしの、家――」
修道女になるまでの、仮の住まい。父さまが所有してる屋敷の一つ。父さまの意志一つで、追い出されることもある屋敷なのに。
「そうだよ。ここはキミの家だ」
塞ぎ込み、落ち込みそうになるわたしを、真っ向から上向きにさせてくれるシオンの言葉。
「キミはここの女主として、思いっきり好きなように命じてくれて構わないんだよ」
そう……なのかな?
今だって、こうして修繕してること、父さまが聞いたら激昂するかもしれないのに? すぐにでも、「なにしてるんだ!」で追い出されるかもしれないのに?
不安で、怖くて仕方ないのに。微笑みかけてくれるシオンのその顔を見ていたら、「大丈夫なのかな?」が少しずつ晴れていく。根拠もないのに、「ここにいていいんだ」って気持ちになっていく。不思議。
「ってことで、寝室の壁紙を選んでほしいんだけど。僕としては、これがオススメなんだけど。――どう?」
数ある中から、シオンが一枚、見本を取り出す。
薄紫の下地に、細かく菫の花が散りばめられた壁紙。
散らされた菫の濃い花びらと葉っぱが、とても清楚で美しく、若い女性の部屋に似合いそうな壁紙だけど。
(どうして、これがオススメなの?)
若い女性の部屋にっていうのなら、他にもスズランとか、チューリップの壁紙でもいいのに。バラとかユリでもいいのに。
以前の、ボロボロになった壁紙は、お祖母様の趣味なのか、青いトゥイーディアが描かれていた。
シオン、あえてこれを選んだの? それとも、たまたまこれを選んだの?
前の壁紙に似た色だから? それとも……。
「気に入らない?」
「ううん、そんなことないわ。とてもステキね、この菫」
気に入らないわけじゃない。むしろ気に入ってるというのか。
「これで、お願いしてもいいかしら?」
「――よかった。じゃあこれで壁紙を貼り直してもらうよ」
わたしの許可がおりたことにホッとしたようなシオン。わたしが選んだ見本を持って、親方に近づいていく。
――この花、僕の一番好きな花なんだ。
(――え?)
風に乗って、聞こえるか聞こえないか、ギリギリの大きさで運ばれてきた呟き。
シオン、菫が好きなの?
好きな花を、わたしの寝室に散りばめようとしてるの?
どうして菫が好きなの?
あの時、菫で指輪を作ってくれたのは、一番好きな花だったから?
混乱する。
あの時、指輪にして贈ってくれたのは、たまたま近くで咲いていたからじゃないの? 好きな花がたまたま近くで咲いてて、それをたまたま選んでわたしに贈っただけなの?
あれ以来わたしも菫が好きな花になったのだけど。
その菫を、わたしの寝室に散りばめるのは、好きな花で飾ってあげたいってのは、厚意? それとも――。
「リューリア」
「ひゃいっ!」
呼びかけに声が裏返った。
「ゴメン、驚かせた?」
「う、うん。大丈夫」
全然大丈夫じゃないけど。
「壁紙の貼り替え、親方とも相談したんだけど、かなり大掛かりな工事になりそうなんだ」
「うん」
壁紙を貼り替えるだけじゃない。
壁紙が剥がれる原因となった、雨漏りによる壁の傷んだ箇所も直さなくてはいけない。だから、大掛かりな工事になることは理解してたし、だからこそ、そこまでやってもらうつもりはなかったのだけど。
「この屋敷のあちこちに職人が入ることになる。だから――」
シオンがちょっと言い淀む。
視線を床に落として。息を吐いて、吸って。
「しばらく、工事が終わるまで、僕の家で暮らさないか?」
真っ直ぐこっちを見て言ったシオンの顔は、頬が赤く染まっていた。
「シオンの家?」
「うん。夜はいないとはいえ、人の出入りの多い屋敷で暮らすのは大変だろうし、それに、侍女と二人暮らしはなにかと物騒だ」
それはそうなんだけど。
「でも、いいの?」
幼なじみとはいえ、わたしがお邪魔しちゃっても。そこまで厚意に甘えても。
そりゃあ、子どもの頃は遠慮なんてナシで、シオンの家に泊まらせていただいたこともあったけど。
「いいよ。コッソリ工事を続けて、完成した姿を見せてキミを驚かせたいって魂胆だからね」
そこでようやくニッコリ笑ったシオン。
「じゃあ、お言葉に甘えて、お邪魔するわ」
そういうことなら、わたしも乗ってあげるわよ。
驚かされるわたしも、「まあ!」って目を丸くする準備をしておかなくちゃね。
楽しいイタズラを共有してるみたいで。応えるわたしも自然と笑みがこぼれた。
13
あなたにおすすめの小説
冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─
あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」
没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。
しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。
瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。
「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」
絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。
嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
夫に君も愛人を作ればいいと言われましたので
麻麻(あさあさ)
恋愛
「君も愛人を作ればいい」と夫に言われたので売り言葉に買い言葉で出会った愛人候補は自分が魔法使い伯爵と言いました。
全15話。プロローグから4話まで一挙公開。
翌日からは20時に2話ずつ公開。11日は最終話まで3話一挙公開。
登場人物
マーリン・ダグラス
結婚2年目にして夫の不倫を問い詰めたら黒だった令嬢。母に聞かされた結婚は夫となる人を大事にという言葉を守ってるが夫のギルバートにブチギレてこの度愛人を探すと決める。
デミトリアス・ドラモンドまたはアロン
マーリンが仮面舞踏会で知り合った自称魔法使い伯爵。次の日にマーリン好みの執事アロンに姿を変えて彼女の屋敷に来る。
ギルバート・ダグラス
マーリンの夫で伯爵。ギルと呼ばれている。愛人を作れば発言をした。
シェリー・モーヴ
ギルバートの愛人
エミリー
マーリンの親友で既婚者。
ララとリリー
マーリンの屋敷のメイド達。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる