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19.男女の機微
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「よかったじゃないですか、お嬢様」
ソニエが、わたしの髪を梳き、結い上げながら言う。
「あの、若旦那様と想いが通じ合って」
「う、うん……」
ソニエに髪を整えてもらって。目の前の鏡に映るわたしは、耳まで真っ赤に茹で上がってる。
「それにしても。なんて素敵なんでしょう!」
「そ、ソニエ?」
「幼い日の淡い恋! 運命に翻弄され引き離された二人が再び出会う!」
グワッとブラシを握りしめ熱弁するソニエ。おかげで、まとまりかけた髪がブワッと広がる。
「それだけでも最高ですのに! 公爵様の身勝手から守ってくださるなんて! あたしもあの場におりましたけど。サイッコーでございましたよ!」
「そ、そう?」
熱を入れるのは勝手だけど、お願い。髪を結ってくれないかしら。
「ええ。あの公爵様の呆気にとられた顔とか。もう、胸がスッといたしましたもの!」
そう……なのかな。
「自分たちの勝手でお嬢様を追い出したくせに。都合の良い時だけお嬢様を利用しようとなさるなんて。あたし、公爵様をぶん殴りたい衝動を抑えるのに必死だったんですよ」
そ、そうだったの。
シオンがいてくれて助かった。でなきゃ、ソニエが父様を殴っていたかもしれない。
「その上、公爵様から絶縁という最高の条件を引き出してくれて! よかったじゃありませんか! あたし、若旦那様に惚れてしまいそうでしたわよ!」
いや、ちょっとそれは……。
「おいおい。勝手に他のヤツに惚れてんじゃねえよ、ソニエ」
コンコンと、かろうじてマナーを守った程度の叩扉音。
「ベン!」
ふりかえったそこに立っていたのは、真新しい制服に身をつつんだソニエの恋人、ベン。開いた扉にもたれかかって、およそ従者らしくない態度で立っている。
父様と入れ替わるように、この屋敷にやって来たベン。彼は驚くほどの速さで、屋敷に馴染んで、シオンにも気に入られている。
マナーもなにもない話し方。父様は、気に入らないみたいだったけど、その裏表のない喋り方を、わたしは好ましく思っている。
「アンタ、淑女の部屋に、勝手に!」
ズカズカとソニエが彼に近づく。
「いいじゃねえか。ってか早く支度してくれ。その若旦那様が、お嬢様が来るの、待ち切れないご様子なんだよ」
――少し出かけないか?
シオンからの提案。
想い通じ合ってすぐ出かけるって何? って思ったけど。
互いに「好き」っていうのがわかって。それはうれしいし、幸せなのだけど。
だからって、その先、どう接したらいいかよくわからなくて。
好き同士なのに、いっしょの家で暮らしてるのに、離れるのもおかしな気がするし。だからって、ずっとそばでベッタリってのも、もっとおかしな気がする。
(こういう時、どうしたらいいのよ)
正解がわからない。
セスティアンとも王宮でいっしょに暮らしてたけど、わたしとの間に「好き」はなかったから、会ったところで、いっしょにいたところで、それを意識することもなかったけど。
普通の令嬢なら、婚約者や恋人と過ごしても、家に帰ったりとかで、その幸せな時間を終えることができる。けど、わたしはシオンと同居してるから、その終わらせ方がわからない。
いっしょに暮らしてるんだから、好き同士なんだから、ずっとそのままベッタリイチャイチャしてていいの? それとも節度を持って過ごしたほうがいいの? でも、節度ってどんなの?
だから、出かけようって誘われて、ちょっと、ほんのちょっとだけホッとした。
出かけたら安心。二人っきりで過ごすより安心。
なにをどう「安心」なのか知らないけど、少なくとも間は持つかな、と。
それで、出かけるならとソニエに支度をお願いしたのだけど。
ソニエ、支度にものすごい情熱を注いだ上に、熱弁でその手を止めまくるから。
支度に時間がかかって仕方ない。
同じように出かける支度をシオンもしてるだろうけど、きっと、とっくの昔に終わってる。そして、まだかまだかとしびれを切らしてる。
だから、従僕のベンが催促に来た。そういうことだろう。
「淑女の支度は、時間がかかるものなの!」
……いや、ソニエ、アナタが手を止めて熱弁してなきゃ、支度終わってたわよ。
ツッコみたいけど、やめておく。
「ソニエ、とりあえずでいいから髪をまとめてもらっていいかしら」
出かけ先は修道院。
王宮じゃないんだから。派手に結い上げなくてもいいし、そこまで意匠を凝らさなくてもいい。
シオンを待たせてるんだったら、いつもの髪型程度でいい。
「いいえ。いけませんわ、お嬢様」
ブラシを持ったソニエが、ズイッとこちらに近づいてくる。
「両想いになられたからって、手を抜いてはいけません」
手って。
「長く想い続けていただくためにも、もっと愛していただくためにも、いつにも増してお美しく仕立てませんと」
って、ちょっ、ソニエっ!?
「そういうことだから。若旦那様にはもうしばらくお待ちいただくように伝えて」
「まだ待つのかよ」
「お嬢様が美しくおなりになるなら、いくらでも待てるはずよ」
そうかな。待てるのかな。
いい加減、早く支度しろって怒らないのかな。
「若旦那はそれでいいけどさぁ」
俺達はどうなるんだよ。
ベンが不満を口にする。
「待て」
短いソニエの不満ぶった切り。
わたしの髪を結い上げることに集中してる彼女。目の前のわたしの髪に必死で、もう返事どころじゃないんだろう。
(大変だな、このカップル)
ソニエとベン。
仲は悪くないんだろうけど。ベンがソニエに振り回されているというか、尻に敷かれてるというか。
ベンって、長身でややゴツい印象なのに、ソニエに勝てないんだ。
それだけベンがソニエにベタ惚れしてるってこと? それとも、ソニエもベンが好きだから、甘えきって大きく出てるってことなのかしら。
男女のそういう機微は、当人たちにしかわからない。わからないけど。
(頑張れ、ベン)
鏡越し、室から出ていくベンの、うなだれた背中を応援する。
* * * *
「まあ、それで絶縁を?」
訪れた修道院。
わたしとシオンを迎えてくれた修道院長。
普段はとても穏やかな方なのに。今日は、向かい合ったソファに腰掛けながらも、興味津々といった体で、こちらに身を乗り出してくる。
「ええ。僕と親しくしていること、閣下はお気に召さなかったようで。絶縁は、閣下から申し出られました」
さっきから身振り手振りをつけて、饒舌に話しているのはシオン。
わたしは、こんな状況どうやってお話すればいいかわかんなかったから、こうして説明してくれるのは助かる。
「絶縁して正解ですわよ、そんなの」
あ。
そんなふうに断言しちゃうんだ。
院長の言葉に呆れる。
宗教者なら、親子の縁を切るなどとかなんとか、忠孝を説かなきゃいけないと思うのに。
「公爵閣下は、リューリア様を蔑ろにしすぎですもの。勝手にこの町に預けたかと思えば王子殿下と婚約。それでリューリア様の幸せを願ってくれるのならまだしも、妹と交代しろ、修道女になれ、ですもの。それで、今度は妹の代わりに仕事をこなせ? どれだけリューリア様をバカにすれば気が済むのやら。そんな親、こちらから縁を切ってやればよいのです」
いいのかなあ。修道院の院長がそんなこと言って。
でも、そうやって怒ってくれるのは、わたしのことを大切に思ってくれるからだ。そのお気持ちは、とてもうれしい。発言は、ヒヤヒヤするけど。
「それで? これからリューリア様はどうなさるのですか?」
「えっと……」
急に話を振られて返答に困る。
これから? これからなんて、全然考えていなかった。
シオンと両想いになれたことがうれしくて、幸せで。それ以上のことなんて考えてなかった。
「院長。そのことでご相談が」
わたしが困っていたら、シオンが話を受け持った。
「僕は、彼女と正式に夫婦となりたいのですが。こちらで挙式は可能でしょうか」
「シオンっ!?」
驚き、バッと立ち上がる。
「どうしたの、リューリア」
こちらを見上げてくるシオンは、どこまでも平然としてるけど。
「きょ、挙式って!」
それって、夫婦になるってことよね? 神様の前で夫婦になることを誓うってことよね?
「リューリア、キミは、恋愛と結婚は別に考える質?」
「――へ?」
「僕はキミが好き。キミも僕が好き。なら、結婚したいと思うのは普通じゃない? 結婚するべきだと思うんだけど」
どうなの?
視線が問いかけてくる。
「そうですわね。愛し合う男女が結婚する。それは神の嘉するところですわよ、リューリア様」
院長までシオンに加勢する。
「リューリア様は、これまで様々な困難、試練を乗り越えていらっしゃいました。エティファニール様とのご結婚は、そんなリューリア様への神の祝福かもしれませんよ」
そんな。
「リューリアは、僕が夫じゃ不満足? 僕と夫婦になるのは嫌?」
クゥン。
犬って、時折こんなふうに切なそうな表情で見上げてくるよねって、そんなことを思ってしまうシオンの顔。
「べ、別に、嫌じゃないわ」
どうしてこういう時、人って素直に「うれしい」って言えなくなるんだろう。どうしてムスッとした顔をしちゃうんだろう。
怒ったような態度。全然かわいくない。
「リューリア」
そんなわたしの手をグイッと引っ張って抱き寄せたシオン。
「では、くわしい日程などは後日相談させていただくとして。よろしくお願いいたします、院長」
「ええ。わたくしも楽しみにしておりますわ。よいお式にいたしましょうね」
どういう顔を作ったらいいのかわからず困ってるわたしを置いて。シオンと院長様が、勝手に話を進めた。
ソニエが、わたしの髪を梳き、結い上げながら言う。
「あの、若旦那様と想いが通じ合って」
「う、うん……」
ソニエに髪を整えてもらって。目の前の鏡に映るわたしは、耳まで真っ赤に茹で上がってる。
「それにしても。なんて素敵なんでしょう!」
「そ、ソニエ?」
「幼い日の淡い恋! 運命に翻弄され引き離された二人が再び出会う!」
グワッとブラシを握りしめ熱弁するソニエ。おかげで、まとまりかけた髪がブワッと広がる。
「それだけでも最高ですのに! 公爵様の身勝手から守ってくださるなんて! あたしもあの場におりましたけど。サイッコーでございましたよ!」
「そ、そう?」
熱を入れるのは勝手だけど、お願い。髪を結ってくれないかしら。
「ええ。あの公爵様の呆気にとられた顔とか。もう、胸がスッといたしましたもの!」
そう……なのかな。
「自分たちの勝手でお嬢様を追い出したくせに。都合の良い時だけお嬢様を利用しようとなさるなんて。あたし、公爵様をぶん殴りたい衝動を抑えるのに必死だったんですよ」
そ、そうだったの。
シオンがいてくれて助かった。でなきゃ、ソニエが父様を殴っていたかもしれない。
「その上、公爵様から絶縁という最高の条件を引き出してくれて! よかったじゃありませんか! あたし、若旦那様に惚れてしまいそうでしたわよ!」
いや、ちょっとそれは……。
「おいおい。勝手に他のヤツに惚れてんじゃねえよ、ソニエ」
コンコンと、かろうじてマナーを守った程度の叩扉音。
「ベン!」
ふりかえったそこに立っていたのは、真新しい制服に身をつつんだソニエの恋人、ベン。開いた扉にもたれかかって、およそ従者らしくない態度で立っている。
父様と入れ替わるように、この屋敷にやって来たベン。彼は驚くほどの速さで、屋敷に馴染んで、シオンにも気に入られている。
マナーもなにもない話し方。父様は、気に入らないみたいだったけど、その裏表のない喋り方を、わたしは好ましく思っている。
「アンタ、淑女の部屋に、勝手に!」
ズカズカとソニエが彼に近づく。
「いいじゃねえか。ってか早く支度してくれ。その若旦那様が、お嬢様が来るの、待ち切れないご様子なんだよ」
――少し出かけないか?
シオンからの提案。
想い通じ合ってすぐ出かけるって何? って思ったけど。
互いに「好き」っていうのがわかって。それはうれしいし、幸せなのだけど。
だからって、その先、どう接したらいいかよくわからなくて。
好き同士なのに、いっしょの家で暮らしてるのに、離れるのもおかしな気がするし。だからって、ずっとそばでベッタリってのも、もっとおかしな気がする。
(こういう時、どうしたらいいのよ)
正解がわからない。
セスティアンとも王宮でいっしょに暮らしてたけど、わたしとの間に「好き」はなかったから、会ったところで、いっしょにいたところで、それを意識することもなかったけど。
普通の令嬢なら、婚約者や恋人と過ごしても、家に帰ったりとかで、その幸せな時間を終えることができる。けど、わたしはシオンと同居してるから、その終わらせ方がわからない。
いっしょに暮らしてるんだから、好き同士なんだから、ずっとそのままベッタリイチャイチャしてていいの? それとも節度を持って過ごしたほうがいいの? でも、節度ってどんなの?
だから、出かけようって誘われて、ちょっと、ほんのちょっとだけホッとした。
出かけたら安心。二人っきりで過ごすより安心。
なにをどう「安心」なのか知らないけど、少なくとも間は持つかな、と。
それで、出かけるならとソニエに支度をお願いしたのだけど。
ソニエ、支度にものすごい情熱を注いだ上に、熱弁でその手を止めまくるから。
支度に時間がかかって仕方ない。
同じように出かける支度をシオンもしてるだろうけど、きっと、とっくの昔に終わってる。そして、まだかまだかとしびれを切らしてる。
だから、従僕のベンが催促に来た。そういうことだろう。
「淑女の支度は、時間がかかるものなの!」
……いや、ソニエ、アナタが手を止めて熱弁してなきゃ、支度終わってたわよ。
ツッコみたいけど、やめておく。
「ソニエ、とりあえずでいいから髪をまとめてもらっていいかしら」
出かけ先は修道院。
王宮じゃないんだから。派手に結い上げなくてもいいし、そこまで意匠を凝らさなくてもいい。
シオンを待たせてるんだったら、いつもの髪型程度でいい。
「いいえ。いけませんわ、お嬢様」
ブラシを持ったソニエが、ズイッとこちらに近づいてくる。
「両想いになられたからって、手を抜いてはいけません」
手って。
「長く想い続けていただくためにも、もっと愛していただくためにも、いつにも増してお美しく仕立てませんと」
って、ちょっ、ソニエっ!?
「そういうことだから。若旦那様にはもうしばらくお待ちいただくように伝えて」
「まだ待つのかよ」
「お嬢様が美しくおなりになるなら、いくらでも待てるはずよ」
そうかな。待てるのかな。
いい加減、早く支度しろって怒らないのかな。
「若旦那はそれでいいけどさぁ」
俺達はどうなるんだよ。
ベンが不満を口にする。
「待て」
短いソニエの不満ぶった切り。
わたしの髪を結い上げることに集中してる彼女。目の前のわたしの髪に必死で、もう返事どころじゃないんだろう。
(大変だな、このカップル)
ソニエとベン。
仲は悪くないんだろうけど。ベンがソニエに振り回されているというか、尻に敷かれてるというか。
ベンって、長身でややゴツい印象なのに、ソニエに勝てないんだ。
それだけベンがソニエにベタ惚れしてるってこと? それとも、ソニエもベンが好きだから、甘えきって大きく出てるってことなのかしら。
男女のそういう機微は、当人たちにしかわからない。わからないけど。
(頑張れ、ベン)
鏡越し、室から出ていくベンの、うなだれた背中を応援する。
* * * *
「まあ、それで絶縁を?」
訪れた修道院。
わたしとシオンを迎えてくれた修道院長。
普段はとても穏やかな方なのに。今日は、向かい合ったソファに腰掛けながらも、興味津々といった体で、こちらに身を乗り出してくる。
「ええ。僕と親しくしていること、閣下はお気に召さなかったようで。絶縁は、閣下から申し出られました」
さっきから身振り手振りをつけて、饒舌に話しているのはシオン。
わたしは、こんな状況どうやってお話すればいいかわかんなかったから、こうして説明してくれるのは助かる。
「絶縁して正解ですわよ、そんなの」
あ。
そんなふうに断言しちゃうんだ。
院長の言葉に呆れる。
宗教者なら、親子の縁を切るなどとかなんとか、忠孝を説かなきゃいけないと思うのに。
「公爵閣下は、リューリア様を蔑ろにしすぎですもの。勝手にこの町に預けたかと思えば王子殿下と婚約。それでリューリア様の幸せを願ってくれるのならまだしも、妹と交代しろ、修道女になれ、ですもの。それで、今度は妹の代わりに仕事をこなせ? どれだけリューリア様をバカにすれば気が済むのやら。そんな親、こちらから縁を切ってやればよいのです」
いいのかなあ。修道院の院長がそんなこと言って。
でも、そうやって怒ってくれるのは、わたしのことを大切に思ってくれるからだ。そのお気持ちは、とてもうれしい。発言は、ヒヤヒヤするけど。
「それで? これからリューリア様はどうなさるのですか?」
「えっと……」
急に話を振られて返答に困る。
これから? これからなんて、全然考えていなかった。
シオンと両想いになれたことがうれしくて、幸せで。それ以上のことなんて考えてなかった。
「院長。そのことでご相談が」
わたしが困っていたら、シオンが話を受け持った。
「僕は、彼女と正式に夫婦となりたいのですが。こちらで挙式は可能でしょうか」
「シオンっ!?」
驚き、バッと立ち上がる。
「どうしたの、リューリア」
こちらを見上げてくるシオンは、どこまでも平然としてるけど。
「きょ、挙式って!」
それって、夫婦になるってことよね? 神様の前で夫婦になることを誓うってことよね?
「リューリア、キミは、恋愛と結婚は別に考える質?」
「――へ?」
「僕はキミが好き。キミも僕が好き。なら、結婚したいと思うのは普通じゃない? 結婚するべきだと思うんだけど」
どうなの?
視線が問いかけてくる。
「そうですわね。愛し合う男女が結婚する。それは神の嘉するところですわよ、リューリア様」
院長までシオンに加勢する。
「リューリア様は、これまで様々な困難、試練を乗り越えていらっしゃいました。エティファニール様とのご結婚は、そんなリューリア様への神の祝福かもしれませんよ」
そんな。
「リューリアは、僕が夫じゃ不満足? 僕と夫婦になるのは嫌?」
クゥン。
犬って、時折こんなふうに切なそうな表情で見上げてくるよねって、そんなことを思ってしまうシオンの顔。
「べ、別に、嫌じゃないわ」
どうしてこういう時、人って素直に「うれしい」って言えなくなるんだろう。どうしてムスッとした顔をしちゃうんだろう。
怒ったような態度。全然かわいくない。
「リューリア」
そんなわたしの手をグイッと引っ張って抱き寄せたシオン。
「では、くわしい日程などは後日相談させていただくとして。よろしくお願いいたします、院長」
「ええ。わたくしも楽しみにしておりますわ。よいお式にいたしましょうね」
どういう顔を作ったらいいのかわからず困ってるわたしを置いて。シオンと院長様が、勝手に話を進めた。
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